軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

591.街へ戻ります!

「そろそろだな……」

「それじゃ行くか! 今行くと例のクエストが見られるぞ!」

「メイちゃんたちなら余裕でクリアだろ!」

メイたちが鳳の街にいると知って集まってきたプレイヤーたちが、賑わい出す。

中には点心を手に、ワクワクしながらクエスト開始を待つ者もいるほどだ。

「このクエスト後の合戦、俺たちも参加できるってのがいいよな!」

「絶対盛り上がるよなぁ!」

どうやらこの後起きるクエストはすでに有名らしく、観客が各々好きな場所を取っている状況。

「街に戻ってきましたが、まだ終わった感じがありませんね」

「この後何かあるのかなっ」

シオンは兵舎へ戻るということで、そこまで一緒とのこと。

修行が終わった時点で解散にならない辺りに、続く展開の気配を感じる三人。

「姉弟子とは何年も一緒だったが、私たちの代表と言えるほどの強さを持っていた」

そんな中、過去を語り出すシオン。

「その貪欲に全てを得ようとする姿勢は、時に皆が恐れる程。そして老子の教えを守らず、強い力を求めすぎたがゆえに……才を持ちながら破門となった」

道を違えた二人の才能。

「だがその力は本物。今では多くの手下を引きつれる鳳の脅威となってしまった」

そう言ってシオンが、ため息をついたその時。

「探しました! シオン兵長ッ!」

駆け込んで来たのは、朱色の古びた鎧をまとった一人の衛兵。

「ファーランの道場の者たちが、ならず者を集めて暴動を起こしました!」

「なんだって!?」

「その狙いは……青龍塔です!」

「青龍塔……やはり姉弟子は、四神の力を狙っているんだ……っ!」

「すでに秘仙郷道場を破門された者や、雇われたならず者たちが街で暴れています!」

「青龍塔へ向かわなくては。あの場所には四神である青龍が宿っている。度々申し訳ない。どうやら少し面倒なことになりそうだ、再び力を貸してもらえないだろうか」

「はいっ!」

「ここまで来たら当然ね」

「がんばりましょう」

「青龍塔は街の東端にある! ついて来てくれっ!」

そう言って走り出すシオンを、追いかけるメイたち。

すでに街のあちらこちらで、衛兵とならず者たちの戦いが始まっていた。

そして青龍塔を目指すメイたちを狙って、敵が集まってくる。

「それじゃ、俺たちも見学に行きますか!」

「まあ、ここはがんばっても兵長があれだしな」

「そうそう。ここで大ケガして、そのままリタイアだもんなぁ」

不穏な言葉と共に、始まったクエスト。

「【フレアストライク】!」

迫り来るならず者集団に向けて、先手を打ったのはレン。

生まれた爆発が敵を半減。

ここで先頭を行くメイに集まる武術家の一団。

メイはさっそく飲食店の長椅子を抱え、大きく足を踏み出した。

「【フルスイング】!」

「「「うおおおおおおーっ!?」」」

豪快な振り回しで、まとめて弾き飛ばして敵を一掃。

その隙に屋根から飛び降りてきた男たちが剣を振り上げたのを見て、メイはテーブルをつかむ。

「いっくよー!」

木製テーブルの板面を前に向け、そのまま走り出す。

「「「なっ!?」」」

そしてそのまま敵三人をまとめてバーン! と、壁にめり込むほどに押し付け一発打倒。

「【射連気砲】!」

「っ!」

近接戦の途中で放たれた攻撃に、ツバメが驚く。

『気』による戦いにも、中距離からの攻撃を得意とする者がいるようだ。

機関銃のような連射を前に、ツバメが手に取ったのは金物屋の鉄鍋。

気弾の連射を前にそれを突き出すと、銃弾を弾いているかのような金属音と共に防御に成功。

「【加速】」

連射が終わるのと同時に、駆け出し接近。

そのまま敵武術家の頭に鍋を叩き付けると、予想通り渋い音と共に火花が散った。

男は大きくフラついて、そのままダウン。

「ここもやっぱり、オブジェクトが活きるクエストになってるわね」

二人の戦いを見ながら、敵武闘家たちを初級魔法の連発で倒していたレン。

「オラァァァァ――ッ!!」

「しまった!?」

後衛狙いの盗賊が、突然襲い掛かってきた。

飛び上がってダガーを抜き、そのままレンを狙う。

これには完全に虚を突かれた形になったが――。

「レンちゃん! その荷台を踏んでみて!」

「わ、分かったわ!」

レンはメイに言われるまま、目前の荷車を思いっきり踏み付ける。

「ふぎゃっ!」

すると取っ手側が強く跳ね上がり、盗賊のあごに激突して一撃必殺。

「ありがとう!」

「いえいえーっ!」

「おおーっ! これがメイちゃんたちのオブジェクトバトルか!」

「すげー! 本当にこんなことできるんだな!」

荷車の取っ手で盗賊を倒すというめったに見られない戦闘に、歓声をあげるプレイヤー。

さらにここで、メイのもとに迫ろうとする武術家の姿。

【すり足】は、足音を消しつつ速い移動を可能にするスキルだ。

「はっ!」

それに気づいたツバメは、雑貨店の一角に積まれていた山菜などを入れる大きな竹カゴをつかんで放る。

するとカゴは空を飛び、そのまま武闘家の頭にすっぽりとかぶさった。

「なにっ!?」

驚きに思わず声をあげてしまったことで、メイはターゲットを変更。

一気にカゴ男のもとへ踏み込むと、拳を振り上げる。

「【キャットパンチ】! パンチパンチパンチ! からのーっ!」

カゴをかぶった状態の男には、反撃のチャンスもなし。

「【カンガルーキック】だーっ!」

その一撃に転倒し、そのまま緩い坂道を転がり書店へ転がり込む。

そして落下してきた大量の本に、潰される形でダウンとなった。

「「「うおおおおーっ!」」」

「これが本当の鳳のクエストなんだな……!」

見事なオブジェクト利用アクションに、いよいよ盛り上がる観戦プレイヤーたち。

シオンもきっちり敵武術家たちを打倒し、道を作り出す。

「いたぞシオンだ! ここでこいつらを止めるんだっ!」

迫る者たちを倒しつつ、駆ける四人。

目的の青龍塔が見えてきたところで、集まってきたならず者たちが目前に立ち塞がった。