軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

365.爆進! 遺跡保存組!

お宝奪取組の先頭をひた走るトップ姉妹を、メイたちは猛烈な勢いで追い上げてきた。

たどり着いたのは、1メートル四方のブロックが凸凹に積まれた空間。

そこはまるで山谷のような地形をしている。

「遺跡保存組だ!」

鉢合わせになったのは、トップ姉妹を追うお宝奪取組の面々。

思わずメイたちが足を止めると、先行していたトレジャーハンターはメモ帳を手に魔法石を取り出した。

「チッ、しつこいやつらだ! ここで使えるのは……こいつか。宝は武器やアイテムだけじゃないってことを教えてやる!」

魔法石を起動すると、足元が一度大きく震えた。

振動でいくつかの床ブロックが落ち、その場所に穴が開く。

「くらえ【バーストアロー】!」

端から少しずつ落下していくブロック。

さらにトレジャーハンターは、弓で攻撃を仕掛けてきた。

それはメイたちには届かなかったものの、巻き起こった爆発が着弾点付近のブロックをまとめて落下させる。

「急がないと足場がなくなって進めなくなるし、高火力の範囲攻撃を使ってもブロックが落下してしまうってわけね」

「そして、落ちたら死に戻りですか」

「この危険度の高さ。ここも近道なんでしょうね」

レンたちはこのフロアの意図を理解する。すると。

「「「【エーテルバレット】!」」」

「うおおっ!?」

お宝奪取組の魔導士たちが、遺跡保存組に向けて魔法攻撃を仕掛けてきた。

「魔導士と弓術師はすぐに陣を組め! 高所ブロックの陰から攻撃しまくるんだ!」

即座に動き出す、お宝奪取組の遠距離攻撃部隊。

高い位置にあるブロックの背後に陣取ると、魔導士隊はリキャストの早い初級魔法を連射する。

「くっ!」

遺跡保存組は、慌てて近くのブロック山に隠れる。

するとその隙に敵弓術隊も高所へ到着、矢を連発し始めた。

「……マズいわね」

こうなってしまうと、人数の多いお宝奪取組が有利だ。

「とにかく撃て! 撃って撃って撃ちまくれ!」

「こっちはトップ姉妹が先行してるんだ! ここで遺跡保存組に回り道をさせられれば勝利は確定だぞ!」

止まらない魔法と矢の連射に、遺跡保存組は動けない。

「隊を二つに分けて、リキャストの時間に次の隊が攻撃する戦法で隙をなくしてるわ……」

「鉄砲隊みたいです」

魔法と矢のがむしゃらな連射で足を止めてる間に、前衛隊も出口側に陣を敷く。

こうしてお宝奪取組は、完璧な布陣を構築。

「気を付けろ! メイちゃんとアサシンちゃんは速いぞ!」

「範囲の広い一撃が使えるヤツは、敵が走り出したらブロック床の方を叩いちまえ!」

「これなら止められる! お宝は俺たちのもんだ!」

さらにメイ、ツバメ対策までし始めた。

「……まずは魔導士隊と弓術師隊を何とかしないといけないわね。ただ強引にたどり着いて倒しても、今度は損耗した状態で前衛と戦うことになる……」

一方レンは悩む。

ここでメイとレンが回避しながらの進行にだけ全力を尽くせば、どうにかなる可能性はある。

しかしそれではブロック床を落とされて、遺跡保存組が着いて来られなくなりそうだ。

そして、こうしている間にもブロック床は端から崩れ落ちていく。

「……レンちゃんツバメちゃんが一気に得意の距離に飛び込む感じになれば、どうにかできないかな?」

そんな中、メイがそんなことをつぶやいた。

「角度的にちょっと難しそうだけど……いけそう?」

「おまかせくださいっ!」

元気よく応えるメイに、レンは即座にその提案を承諾。

「まずツバメ、続いて私が先行するわ。遠距離攻撃部隊が片付いたら一気に皆で攻め込む形ね」

「そんなこと、可能なのか?」

やまない魔法と矢の嵐を前に、困惑する遺跡保存組の面々。

「……皆さん。その、振り返らないでくださいねっ」

「分かった。メイちゃんが言うならそうしよう」

応えて、遺跡保存組は前を向いた。

下手にあれこれするより、メイと共に突っ走る方が良いことを彼らは知っている。

「合図は私が出すわ【コンセントレイト】」

レンは魔力をため、杖をホール中央の空中を向ける。

「……準備完了! いくわよ【フレアバースト】!」

「「「ッ!?」」」

レンの魔法は、猛烈な爆炎を空中に巻き起こす。

生まれた煙で、視界が悪くなったところで――。

「【ゴリラアーム】」

皆に声が聞こえないくらいの場所まで下がったメイは、ツバメの手を取ってグルグルと三回転。

「それぇぇぇぇーっ!」

そのまま敵の魔導士隊に向けて、ツバメを投擲した。

「……お、おい! なんだあれ!?」

これに驚いたのは、お宝奪取組の魔導士隊。

爆炎の残り火を割って、砲弾のような軌道で空からアサシンが落ちてくる。

距離も角度も、見事としか言えない投擲だ。

「アサシンちゃんが……飛んで来たーっ!?」

「【エアリアル】【アクアエッジ】【四連剣舞】!」

あいさつ代わりの剣舞で、魔導士たちを打ち倒して着地。

「【紫電】!」

「「「うおおおおおっ!?」」」

続く雷光の一撃で、まとめて敵の動きを止める。

こうなってしまっては、高速のアサシンを止めることはできない。

「【疾風迅雷】」

【加速】の連発から放つ高速の剣舞で、ツバメは一気に魔導士の一団を壊滅させた。さらに。

「……なんだあれ?」

「や、闇の使徒ちゃんだ! 闇の使徒ちゃんまで飛んで来た!」

「闇の使徒って言わないで! 【氷塊落とし】!」

「ちょっと待て! ……空中から魔法が撃てんのかよッ!?」

メイによる投擲で一気に弓術師隊への距離を詰めたレンは、【コンセントレイト】で集中させておいた魔力で【氷塊落とし】を敢行。

巨大な氷塊は、そのまま弓術師隊の頭上に落下し――。

「「「うおおおおおおお――――っ!!」」」

足元のブロックまでまとめて崩落させた。

「今だ! いけぇぇぇぇーっ!!」

敵の遠距離攻撃部隊が一気に片付いたところで、一斉に走り出す遺跡保存組。

落ちていくブロックを跳び越えながら、敵前衛部隊のもとへ。

「「「【アイスエッジ】」」」

「「【ファイアボルト】」」」

魔導士たちが先だって放った魔法が、お宝奪取組前衛の体勢を崩す。

「【忍び駆け】【雷遁・突牙】!」

「【爆進】【破天衝】!」

そこに足の速い前衛が駆け込み、優勢を取る。

見事な連携に、慌てふためくお宝奪取組は統制も喪失。

そこに前衛火力組が追い付き、状況は完全に逆転した。

「な、なんてやつらだ! こうなったら!!」

まさかの逆転を喰らったお宝奪取組の戦士は、ここで大型のハルバードを振り上げた。

「まとめて叩き落してやる! 【爆裂戦斧断】!!」

「マズい! 間に合わない……っ!」

派手なエフェクトが輝き、戦士は足元のブロック目がけて大技を叩き込む。

「【裸足の女神】!」

戦闘状態の中でも、メイはその破れかぶれの声を聞き取っていた。

戦闘中の前衛組の間を風のように駆け抜けて、そのままハルバード戦士のもとに踏み込むと――。

「【フルスイング】!」

【戦斧爆裂断】がさく裂する寸前に、強烈な一撃でハルバード戦士を討ち取ってみせた。

「「「よっしゃああああーっ!!」」」

見事に作戦が決まり、拳を突き上げる遺跡保存組。

ブロック落下フロアをほとんどダメージを受けずに駆け抜けた勢いは、もう止まらない。

逃げていくトレジャーハンターを追い、最短距離を最速で駆けていく。

そして、行き着いた先は――。

「いよいよ……って感じかしら」

「雰囲気が変わりました」

いくつものブロックが、空中を行きかう広大な空間。

コンテナの様に積まれた石灰ブロックと、天井に描かれた円形の紋様が目に入る。

その神秘的な造りから、最奥の道の先に動力部があるのだと誰もが理解する。

「……追いついた!」

そしてメイの【遠視】に映った、お宝奪取組の最前列。

ついに遺跡保存組は、トップ姉妹の背を捉えた。