軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

361.蘭の作戦と迷子の奇跡

「ここが三つ目のスイッチだね!」

お宝奪取組のボス押し付け計画を、まさかの『ボス投げ返し』で打ち破ったメイたちは、敵チームの足止めに成功。

動力部の『魔法障壁』用レバーをロックした。

『――――動力部の魔法障壁が確保されました』

流れるアナウンス。

これで動力部は『扉』こそ開いてしまったが、『物理』と『魔法』に対する障壁を残すことに成功。

「やったあ!」

メイは拳を突き上げながら小さくジャンプ。

「あとは動力部自体の防衛ですね」

「障壁が二つ残せたから、ある程度有利に働いてくれると思うけど……」

人数の不利を覆せるくらいの効果になってくれればいいわねと、レンがつぶやく。

レバーの背後にあったブロックの紋様が輝き、三人が乗るとブロックはゆっくりと降下。

中央部の玄関口といえるようなホールに戻ってきた。

「最後は動力部への道だけど……」

そこには、駆けるクエスト参加者の面々。

「なあ、蘭すみれ姉妹を見たか?」

「いや、見てねえな」

遺跡保存組の参加者たちが、慌ただしく付近を見回している。

「あ、メイちゃん!」

「はいっ! メイですっ!」

「蘭とすみれの姉妹を、どこかで見かけなかった?」

「三つ目のスイッチに向かう途中で、ちょっと見たのがそうじゃないかしら」

「スイッチの方には向かってなかったね、そういえば」

メイが最後の目撃情報を口にする。

「ということは、その後か……」

「どうしたの?」

「姉妹とお宝奪取組の結構な人数が、急にいなくなったんだよ」

「それって、もしかして」

「お宝奪取組は人数も多い。姉妹は三つの目のスイッチを任せて早々に動力部への道探しに切り替えたんじゃないかと思ってさ」

「あの時トップ姉妹が三つ目のスイッチを狙いに来なかったのは、動力部への道を先に見つけるためだったってこと……?」

ロボット格納庫に一瞬現れた姉妹は、メイたちにロボット兵をけしかけた後三つ目のスイッチには向かわなかった。

それは見つけるのに苦労しそうで、かつ勝負を分ける最大のポイントである動力部への道探しを優先したから。

「その可能性が高いわね。私たちも急いで探しましょう!」

三つ目のスイッチをロックした直後に、動力部への道が開けると踏んでいたレン。

蘭はその瞬間までに怪しいポイントを見つけておくことで、最速で向かう事に成功したのだろう。

「どこかに怪しい仕掛けなどはなかったですか?」

「俺たちも分散して探してきたんだけど、道につながるものは見つかってない。ここにも盗賊の【サーチ】を使ったり、従魔士の【仕掛けの嗅覚】を使ったりしながら戻ってきたんだが……」

「私たちもそれらしいものは見てないわよね?」

「はい」

「見ておりませんっ」

「そうなると広い遺跡の中を下手に動き回るより、あのロボット格納庫に戻ってトップ姉妹が向かった方向に行くのが一番早いかもしれないわね。道のりとしては……かなりの後追いになっちゃうけど……」

「そうだな。もしバラけて探して俺らが道を見つけた場合、そこからまたメイちゃんたちを探すことになるからなぁ……」

「やっぱり、アテもないっていう状況は厳しいわね……」

現状は、どこに進路があるのかも分からないという難しい状態。

単純なようで意外と計算高く動いていた蘭に先を越された遺跡保存組は、だいぶ時間差を付けられてしまったようだ。

「移動時もできる限り【サーチ】や【仕掛けの嗅覚】は使っておこう」

もし別ルートが見つかれば、姉妹の後を追いかけるよりは確実に早く動力部へ着けるはずだ。

付近の探索も、可能な限りはしていくという形で進むことを決めたメイたち。

「でも、私たちは一つ目のスイッチから続く通路を使ってロボット格納庫にたどり着いたことを考えると……」

最初に通った雷光の落ちる通路を駆け抜け、もう一度あのブロック塔を登ることになる。

「それなら俺たちが使った道で行く形か? 少し距離があるんだが……」

ただそうなれば、足の速いメイたちが『後に着いていく』形になる。

「……それでなくても差を付けられてるのに、さらに遅くなるわね」

「どうするのがいいのかな……」

植物園ロボットの安否がかかっていることもあり、悩み出すメイ。

その時、ツバメの視線はちょうどホールの左奥側に向いていた。

「……どうしたのでしょう」

まるで迷子にでもなっているかの様に、辺りをキョロキョロしながらやって来た一人の少女。

ホール左奥にあるブロックの上に乗って魔法石を発動させると、いくつかのブロックが降下して下り階段のようになった。

そして少女はそのまま、階段を降って行った。

「……み、皆さん! あれを見てくださいっ!!」

ツバメが思わず叫ぶ。

今まさに、塔を使わず進むルートへと動き出した遺跡保存組は急停止。

「ツバメ、どうしたの?」

「なんだ? 何かあったのか?」

そしてツバメが指さした方向に、全員が視線を向ける。

「……なんだあれ。あんなのさっきまでなかったろ!」

「なんで急に階段が……っ!?」

「魔法石をどこかで手に入れないと出てこない仕掛けだったようです……今誰かが階段を降りて行きました!」

「最終目的地への道は、入ってすぐのホールにあった……行ってみる価値はありそうね」

「先を行ったトッププレイヤーを追いかけるよりは、新しい道に賭ける方が可能性はありそうです」

「行ってみようよ! レンちゃん!」

メイの言葉に、深くうなずく遺跡保存組。

こうしてかなりの後追いになってしまったメイたちは、新たなルートで動力部を目指すことにしたのだった。