軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

318.つばめ家の騒がしい朝

「朝ごはんですよー」

母が部屋にやってきて、つばめはいつもどおりの感じで目を覚ます。

「おはようございますっ」

目をこすりながらも、元気にあいさつするさつき。

「んんーっ」と体を伸ばす姿は、どこか伸びをする猫のような雰囲気がある。

「メイさん、寝癖になってますよ」

そう言ってつばめは、さつきの頭をなでる。

「ありがとう、ツバメちゃんっ」

朝日の中、笑いかけるさつきに思わずほほえみ返すつばめ。

「レンちゃん、朝だよーっ」

「う、うう……」

一方、昨夜の夜更かしが如実に効いているのは可憐。

さつきに手を引かれて、ふらふらと立ち上がる。

「なんか、いい匂いがするね。玉子焼きとか、海苔とか、トースト、ベーコン、目玉焼き、スープ、焼き魚」

「…………そんな……和洋の混ざり方ある……?」

目を閉じたまま、さつきとつばめに抱えられながら居間へと向かう可憐。

足元はふらふらでも、ツッコミは忘れない。

「あら、さつきちゃんすごいわね」

そんな中、居間の前で待っていたつばめ母が笑う。

どういう意味か分からず、首を傾げるさつき。

居間に入ってすぐに、その意味に気がついた。

「すごーい!」

並んだ朝食はまさに、和も洋もそろった盛りだくさん。

「お母さん……これはもう朝食ビュッフェです」

今朝も元気に作り過ぎたつばめ母、並べてみたらビュッフェ形式になってしまった模様。

娘が連れてきた友達という奇跡に、今回も一切手加減なし。

「玉子焼きに、焼海苔、トーストも、ベーコンも目玉焼きも焼き魚もあるんだけど、よく分かったわねぇ。それを匂いだけで当てちゃうなんて、なんだか野性的だわ」

「わあっ! た、たいへんだあーっ!」

青山さつき、ついによその家のメニューを複数品まとめて言い当てる。

自身の放った荒技に、自分自身で驚愕してしまう。

「さつきちゃん、飲み物はどうする? お水とお茶、紅茶にカフェオレ、オレンジジュースもあるわよ」

「あ、カフェオレでお願いしますっ!」

「メイさん、朝にコーヒーを飲むんですか?」

ちょっと意外な選択。

つばめの問いかけに、さつきはうれしそうに応える。

「えへへ、そうなんです!」

なんだったらミルク9割レベルのカフェオレで、素敵なお姉さん風を吹かして、得意げなさつき。

「コーヒー、飲めちゃいますっ!」

わかりやすく「えっへん」と、胸を張ってみせる。

「それにしても、ツバメちゃんのお部屋にはぬいぐるみがいっぱいだったね」

「実は最近増えたのです。召喚の大きなクマとそっくりな子を見つけまして」

「あっ! グレイト・ベアクローの!?」

「はい……メイさんたちと出会えたきっかけのクマなので思わず手を伸ばしてしまいました。ちゃんと子グマもいますよ」

「おおーっ!」

部屋に帰ったら絶対に見なくては! と息巻くさつき。

「……もしかしたら、今のツバメちゃんなら一緒に何かできるかもしれないね」

不意にそんなことを口走る。

楽しそうに語り合う二人。

気がつけば、白と黒の二匹の猫もさつきの横にやってきて腰を下ろしていた。

白色の方もすっかり、さつきへの警戒はなくなったようだ。

「……ん?」

そんな中、さつきが異音に気づいて窓の外へ視線を向ける。

すると砂煙を上げながら、つばめ宅の駐車場に一台の車が停まった。

「今帰った! つばめの友達が泊まりに来たというのは本当か!?」

ドタバタと家に駆け込んできたのは、仕事の予定を変更して帰宅したつばめ父。

「写真は!? 写真はちゃんと撮れているのか!?」

「もちろんですよ」

つばめ母の自信有りげな返しに、父は大きくうなずく。

「そうか! それなら早速プリントして居間の中心に飾ろう! 帰り道で写真立ても買ってきたぞ!」

「ッ!?」

そう言って父が取り出した写真立てに、つばめは衝撃を受ける。

「それは写真立てではなく、貴族が肖像画を飾る時に使うやつですっ!」

高さも幅も、抱えて運ぶレベルの額縁を持ち込んできた父に、つばめもさすがにツッコミを入れざるをえない。

「……レ、レンちゃん?」

そんな中、可憐はいまだ寝ぼけモード。

「それは焼鮭だよ? パンじゃなくてご飯じゃないかな?」

「……? サーモンとパンは……合うんじゃないの?」

そのままトーストに焼鮭を乗せてかぶりつく。

「……あれ、メイって朝はカフェオレ飲んだりするのね」

「えへへへ、コーヒーの似合う素敵なお姉さんも夢ではありませんっ!」

今度は可憐の前でカフェオレを飲み、ちょっと鼻の下を白くする。

「んーっ……寝ぼけていたけど、話してるうちにだんだん目が覚めてきたわ」

そう言ってオレンジジュースを飲み干す可憐。

目が覚めるともう……ゲームがしたい。

「ここからは、王の子を連れて地上に戻る感じでしょうけど……ただで帰してはもらえないでしょうねぇ」

「そうなの?」

「ここまでの難易度を考えると、まだ波乱がありそうです」

元老院卿を倒し、王の子は取り戻した。

しかし、山場はこの後のどこかになる形だろう。

「今日も、気合入れていきましょうか」

「いきましょう!」

「はいっ!」

こうして三人は、これからの展開などを話し出す。

「……あれは本当に友だちの感じだな」

「そうなのよ、ついにつばめが……」

「父さん、早く写真の選定を始めよう。枚数は300を超えてるんだから大変だよ」

つばめ兄の言葉に、さっそく写真の確認を始めるつばめ家の面々。

写っているのは、どれも楽しそうなつばめの姿。

まさかここから、額に入れる一枚を決められない地獄が始まるとは誰も思ってはいなかった。