軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

261.現れる『光』

「王国軍副官が捕らえられているのは、氷海側の大倉庫だ」

ヴァイキングから助け出した商館の跡継ぎ息子が、新たなクエストを持ち込んできた。

それは捕らえられた王国軍の副官を救出して欲しいというもの。

「どういうわけかヴァイキングは、的確に王国の要地を抑えてきている。この攻勢からフィンマルクを守るには、この人物の力が不可欠と言っていい」

そう言って「頼む」と頭を下げる。

「おまかせくださいっ!」

もちろんメイはこれを受諾。

さっそく三人は、港を回り込むようにして倉庫へと向かうことにした。

「港に続く道は、ヴァイキングの数もかなり多いわね」

「いっぱいだねぇ」

聞こえてくる魔法や剣のぶつかる音は、他のプレイヤーたちが受けているクエストのものだろう。

やはり、ヴァイキングの数自体は多いようだ。

見張りの目から隠れきれずに始まった戦闘も、当然あるだろう。

そんな中でもメイの野生能力は、難なくその隙間をすり抜ける。

レンガ積みの海運倉庫へとたどり着いた三人は、並んで付近を見て回ることにした。

「正面から入り込むしかなさそうね」

侵入経路として使えそうなのは、大きな木製の門扉の隣に付けられた勝手口のみ。

「【アサシンピアス】」

敵がこちらに気づいていない状態は、完全にこちらの優位。

一撃でヴァイキングを倒し、鉄製のドアノブに手を伸ばす。

そっと内部に侵入すると、中は地上三階建てほどの高さがあり、木製のコンテナがいくつも積まれていた。

「さて、副官はどこにいるのかしら……」

並んだコンテナの隙間を進みながら、王国軍副官探しに動き出す三人。

先行するメイたちに続くレンが、割れたコンテナを確認すると――。

「「ッ!?」」

まさにその陰に身を隠していた何者かと鉢合わせになった。

慌てて杖を構えるレン。

正面からの戦いが始まれば、当然その音に反応してヴァイキングが集まってくる。

そうなれば状況は一気に面倒になってしまう。

しかし目前に現れた剣士も、即座にレイピアを掲げた。

「ファイアボル――――」

「エーテルジャベリ――!」

すぐさま出の早い【ファイアボルト】で先制攻撃を仕掛けにいくレン。

敵も負けじとレイピアを向けてきて――。

「「……あれ?」」

両者共に動きが止まる。

「誰かと思えば……闇の使徒ではありませんか」

「ちょっと何を言ってるのか分からないですね……」

すっとぼけるレン。

真正面から剣を突き付けて来たのは、白の中二病少女こと九条院白夜だった。

サン・ルルタンで海の冒険をした時に出会った、15,6歳ほどの少女だ。

淡い橙色の髪に、北部仕様の白コートをまとっている。

「あ、こんにちはっ」

「お久しぶりです」

そんな二人のやり取りに、やって来たメイが声をかける。

「あなたは……噂の最強野生児ですわね。ルルタンではお世話になりましたわ」

「野生児ではございませんっ。ちょっと自然風味な普通の女の子ですっ!」

「でも、こんなところで会うなんて予想外ですわね。闇の使徒……あなた一体何を企んでいますの?」

「どうして皆、私が何かを企んでると思い込んでるのよ」

「闇の使徒たちが常に『意図』を持って動いているのは、すでに承知済みだからですわ」

得意げに胸を張る白夜に、レンは目を虚ろにする。

「私たちは商館オーナーの依頼からの派生クエストで来たのよ。貴方はどうなの?」

「わたくしは王国軍からの依頼を受けて、王国軍副官の救助に来たのですわ」

「同じ目的でも、依頼主が違う場合もあるってことなのね」

「そういうことなら、ご一緒いたしましょう!」

楽しそうに提案するメイ。

「それもいいですわね。まさか再び闇の使徒と手を結ぶことになるとは、思いもしませんでしたわ」

そう言って笑みを浮かべる『光の使徒』こと白夜。

「ですけど、勘違いはなさらないで。おかしな動きをした時は、容赦なくその背中を狙わせていただきますわ」

得意げに笑う白夜。

もちろん、同じクエストに共に挑む光と闇の使徒という状況に酔っている。

「…………また、ややこしいのが来たわねぇ」

北の大地に集まる中二病たち。

レンは頭を抑えて、ため息を吐いた。

「メイ、この先はやっぱり戦いが中心になりそう?」

「そうだね、結構多くの敵がいそうだよ」

メイからの情報で、ある程度の敵数や配置を知ることは可能。

ここからはできるだけ的確に数を減らしていって、ある程度敵の数を絞ってからたたみ掛けに行くのが適当か。

ここからの流れをシミュレートし、まずは隠密からと提案しようとしたその瞬間――。

「そこまでですわ!」

ヴァイキングたちの前に、白夜が打って出た。

「フィンマルクを占拠し民を不安に陥れ、そのうえ王国軍副官を人質に取る非道。この光の使徒、九条院白夜が許しませんわっ!」

レイピアを手に華麗に一回転。

「全ての闇を、白日の下にさらして差し上げます!」

決めポーズと共に、そう宣言して見せた。

「もう、あの子は……」

わざわざ大勢をまとめて相手にする形を取った白夜に、ため息を吐くレン。しかし。

「普通の女の子メイも、許しませんっ!」

すぐにその横で仁王立ちを決めたメイと、こっそりその後ろに並ぼうとするツバメを見て、諦観の笑みを浮かべたのだった。