軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

252.雪山と言えばこのモンスターです!

「聞いたか? マンモス大行進のクエスト」

「なーにゃとシオールのパーティが片付けたんだろ? あれって数十人単位の大パーティを作ってやるクエストじゃないのか?」

「見ろよ、もうポイントも完全な独走状態だ」

『闇の血盟』は、北部の街になだれ込んできたマンモスの一団を掃討するという大クエストに挑み、たった四人でクリアした。

「やっぱトップはレベルが違うな……」

その凄まじさに、愕然とする参加者たち。

「次はどうしましょうかぁ」

メガネの素敵なお姉さんシオールが、なーにゃに尋ねる。

「次はヘルメスちゃんも出してあげたいので、また戦闘系がいいですなぁ」

その言葉に思わずギョッとする参加者たち。

「なーにゃに至ってはまだ、全力を出してるわけじゃないのか……?」

二体いるホムンクルスのうち、片方しか使っていない。

その事実に、唖然とする。

「どこであろうと構わない。我が闇の力の前には全て等しく無に帰るのみ」

レクイエムは静かにつぶやいた。

余裕を見せる闇の血盟の面々。

「んんー、それだったらこれとかはどうかなっ?」

長く淡い白金の髪を水色レースのリボンでとめ、紺色の【魔法学院の制服】から目立つくらいに太ももを出したお姉さん。

どこか軽い雰囲気をしたローチェが指さしたのは、一枚の討伐クエストだった。

「次はどのクエストがいいかなぁ」

「これだけあると、やっぱり悩みますね」

ポイントよりも、何をしてみたいかでクエストを決めるメイたち。

もはや百位どころか順位の掲載枠からもこぼれ落ちそうな状況だが、特に気にする様子もない。

大掲示板を見ながら、次の楽しそうなクエストを吟味する。

「……うん?」

すると「これも楽しそう、あれもいいなぁ」と目移りしていたメイが、一人の少女に目を付けた。

もこもことした淡い水色の冬山装備に、長い髪を後頭部で巻いた少女。

深いため息をつくほどに、落ち込んでいるようだ。

「どうしたのー?」

このワイワイと賑やかなギルドの端で、一人肩を落としている少女にメイが声をかけた。

「……ずっと追っていたクエストが……」

少女の前には、『イエティ討伐』のクエスト票。

「このイベントが始まる前に偶然見つけて、対策したりしながら戦っていたんです。もう50回以上リスポーンしてるんですが、一人ではなかなか難しくて。でも今回のイベントでクエストとして出てしまっていて……」

「もしかして、どこかのパーティが受注してしまった感じですか?」

「はい」

ツバメの問いに、肩を落としながら応える少女。

「本当ね。これも複数のパーティが同時に受注できるクエストで、すでに受注してるところが1つある。要は協力か早い者勝ちかになるクエストなのね」

「しかもそれを受けたのが……噂のトップパーティなんです」

それを聞いて、レンが「なるほど」と息をつく。

「せっかく見つけて何度も挑んできたのに、今回のイベントで先を越されちゃいそうな感じなわけね」

「はい。普段ほとんど一人で遊んでいるので、苦戦していたんです」

そう言って、静かにうなずく少女。

「そういうことなら、一緒に行きましょう!」

すると肩を落とす少女に、メイが誘いの声をかけた。

「……でも、トップの人たちはもう行っちゃいました」

「先に倒せばいいのよ。私たちも手伝うわ」

少女の肩に手を乗せて、そう提案するレン。

「いいですね」

ツバメもすぐに賛同する。

一人遊んでいた時に見つけたクエストが、目前で強パーティに奪われるという状況は、ツバメにも似たような経験がある。

乗り気の三人。

だが少女はすぐに「そうしましょう」とは言い出せない。

何せトッププレイヤー四人が手を組んだ、最強パーティが先行しているのだ。

それを追い抜いて先に打倒するなんていう目論見は、誰が聞いても「無理」と答えるだろう。

「おまかせくださいっ!」

しかしメイは立ち上がる。

「さっそく行きましょうっ!」

そう言って笑顔で少女の手を引き走り出したメイは、そのままギルドを出て街の外へ。

程よいところで右手を高く突き上げる。

「――――少々急ぎではございますが、何卒よろしくお願いいたしますっ!」

輝きと共に空中に現れる魔法陣。

舞い降りてきたのは、青緑から橙、黄色のグラデーションをした彩色の巨鳥。

メイたちの前に降りたのはケツァール。

「乗ってくださいっ!」

そう言って手を伸ばすと、もこもこ少女をそのままケツァールの背に乗せた。

「それでは行きますっ!」

メイの合図で羽ばたくケツァール。

そのまま四人は、ウェーデンの空へと舞い上がる。

「……すごい」

思わず感嘆の声を上げ少女。

視界に広がる一面の雪渓に見惚れる。

「イエティはどこにいるのっ?」

「あ、む、向こうです」

「りょうかいですっ!」

ケツァールは真っすぐに、指定の方向へと向かう。

空からであれば、地形も関係ない。

すでに闇の血盟は先を行っている。

そのまま四人は真っすぐに、最速でイエティ討伐へと向かうのだった。