軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

230.爆誕メイ先生

「【バンビステップ】」

メイは速い足の運びで、一気に距離を詰める。

すると目前で、強烈な輝きが広がった。

「【ラビットジャンプ】! 【アクロバット】!」

しかし炎があがる直前に、なんなく山羊の大型モンスター『グレートゴート』の頭上を飛び越える。

「【キャットパンチ】」

着地と同時に猫パンチの連打で、HPを削っていく。

「【加速】【紫電】」

程よいところで飛び込んできたのはツバメ。

駆ける雷光が敵の動きを止める。

「それでは香菜ちゃん。最後はお願いしますっ!」

「はいっ!」

駆け出したのは『カナ』こと星城香菜。

「四足のモンスターが足を引いたら……【突撃】の合図っ」

メイの教えを、すぐさま思い出す。

香菜はグレートゴートの【突撃】を、横っ飛びで回避した。

「ないすーっ!」

拳を突き上げるメイ。

「前足を上げたら、次は――」

振り返ったグレートゴートが前足を叩きつけると、足元に炎の絨毯が広がる。

これも香菜は、メイにならってジャンプ一つで見事に回避。

「ここだよっ!」

「はいっ! 【雷光旋風脚】!」

この攻撃の後に隙ができる。

そう聞いていた香菜は走り出し、跳躍から身体を一回転。

稲光をまとった派手な蹴りスキルを叩き込んだ。

「やったー!」

大喜びで飛び跳ねるカナ。

「香菜ちゃん! まだだよーっ!」

しかしグレートゴートは、わずかにHPを残していた。

最後の一撃を放つために、1ドットで生き残るスキルを持っていたようだ。

大きく禍々しい【角】に灯る、深紅の炎。

最後の一撃を放たんと、カナに向けて猛スピードで特攻する。

「きゃああああー!」

「【ブリザード】」

思わず硬直してしまったカナに助け船を出したのは、姉のレン。

氷嵐の壁で、グレートゴートの足を止める。

「香菜ちゃん、もう一回!」

「はいっ! 今度こそっ!」

残りHPはもうわずか。

香菜は一気に距離を詰めると、そのままグレートゴートに【掌底】を叩き込んだ。

こうして見事、オーグ山脈のボスモンスターを打倒。

「やりましたー! メイちゃーん!」

そのままメイに飛びつく香菜。

「カッコよかったよ香菜ちゃん!」

二人はそのまま抱き合ったままクルクル回る。

「これもメイちゃんのおかげだよーっ!」

今回メイは、グレートゴートに苦戦していた香菜に頼まれて、立ち回りを披露。

敵の攻撃の全てを、目の前で洗い出してみせたのだった。

「これで四足型のモンスターとの戦い方が少し分かったかも! でも、ダメージゼロで全部の攻撃を回避しちゃうって、すごいなぁ」

「いえいえー」

初見ボスモンスターの攻撃を、かすりもせずにかわしてみせたメイ。

説明しながら足を一歩動かすだけで回避を成功させる芸当に、香菜は感動していた。

「自分より、敵が攻撃に使う部位を見てると分かりやすいよ」

そうアドバイスして、ほほ笑むメイ。

「ツバメちゃんの連携もすごかったです!」

「常にメイさんの背後に着いていっているので」

少し恥ずかしそうにするツバメ。

「それにしても、香菜は詰めが甘いわねぇ」

今や『星屑』の新星として名をドンドン上げていっているメイを前に、はしゃいでいる香菜。

姉のレンは、妹の様子に苦笑する。

「可憐姉は、メイちゃんの足を引っ張ってないですか?」

「レンちゃんなくては成り立たないパーティだよ」

「ええー……」

中二病だった姉の奇行を、香菜は目前にし続けてきた。

レンも魔導士職の中でかなりの使い手扱いされ出していることがいまいち信用できず、懐疑的な視線を向ける。

「だから言ってるでしょ。夜な夜な怪しい儀式を始めていた私は、もういないのよ」

「夜中に突然『ヤツらが来る!』とか言って部屋に入ってくる可憐姉も、もういないってこと?」

「そ、それは早く忘れてよ……」

夜の儀式中に突然強風で窓が鳴ったりすると、ちょっと怖くなって香菜の部屋に駆け込んでいたレン。

うっかり顔を赤くする。

「ありがとうねメイ。香菜ったらはしゃいじゃって」

「いえいえー、もっと一緒に遊びたいです!」

「本当ーっ!? 今度はルナも連れてきますね!」

メイの言葉に、香菜は大喜び。

「香菜さんは普段、どんな感じで遊んでいるのですか?」

「友達のルナと一緒にイベントに参加したり、クエスト探ししたりしてます。この前は雪山のクエストに行ったんですよ」

「雪山!」

「晴れてるとすっごく綺麗だし、吹雪の中を進むドキドキ感もすごかったんですよー」

「おおーっ!」

「氷結系の攻撃が多かったのと、『凍結』の状態異常がちょっと大変だったけど楽しかった!」

香菜はメイの腕に抱き着いたまま、楽しそうに語る。

その姿を見て、メイも目を輝かせ出す。

「なるほどねぇ、雪原とか雪山なんかも楽しそうね」

「いいと思いますっ!」

「私も異存はありません」

「それなら次の行き先は『ノルディカ雪原』なんかはどう?」

「いいですね。山に平原、湖もありますし、街も綺麗です。北方の美しいもの全てがそろっていると聞きます」

「おおーっ!」

ツバメの説明に、いよいよ尻尾をブンブンさせ始めるメイ。

砂漠の冒険もたっぷりと楽しんだ三人は、早くも新たな世界を想像して意気込む。

「雪山となると何かと吹雪が出てきそうですし、あれの出番になりそうですね」

「うっ」

「まあ、そうなるでしょうね」

「どうしたの?」

雰囲気の変わったメイに、香菜が首を傾げる。

「まあ、ルナイルでもらった物がちょっとね」

苦笑を浮かべるレン。

メイがルナイルで手に入れたのは、一枚のマント。

それは豪華な作りの『毛皮』製。

もちろん……獣耳が異常に似合う。