軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

223.大祭壇から先に進みます!

「むはははは! 負けてしまったな! さすがメイだ!」

「アルトリッテも後半どうなってたのよ……とんでもないことになってたじゃない」

ピラミッド前からリスポーンで帰還したアルトリッテたちは、すぐにメイたちのところに戻ってきた。

メイと剣撃の撃ち合いをしてみせたアルトリッテに、呆然とするレン。

「【サンクチュアリ】は、時間と範囲限定で聖属性のスキルを大幅に能力上げすることができるのだ。制限時間はMPが尽きるまでだがな」

「色々と限定することで向上させていたのね」

「とはいえ、メイに当てたのは奇策の【ハードコンタクト】だけだったがな。しかも【ソードバッシュ】には削られっぱなしだったぞ」

それでもメイが極力使用を避けている【四足歩行】を出させたということは、それだけの状況だったのだとレンは思い至る。

時間や場所が限定でも、メイと良い勝負ができただけで素直に「すごい」と感心するのだった。

「……そもそも、【サンクチュアリ】状態のアルトから逃げずにいたのはメイだけ」

「その通りだ! 真っ向から【サンクチュアリ】の範囲内で戦ったのは、メイが初めてだぞ」

これまでの対戦者は、何があっても『聖属性スキル上昇範囲』から全てを捨てて逃げ出すような戦法を取ってきた。

真正面から戦って切り抜けたものなど、他にはいない。

またその範囲内でアルトリッテを下す者は、今後も早々現れないだろう。

「むはははは! 最高に楽しかったぞ!」

「わたしもだよっ!」

そんなこともあって二人は楽しそうに笑い合う。しかし。

「ところでメイ、やはり途中で動物のような走り方に――」

「気のせいですーっ!」

一転、慌ててブンブンと頭と尻尾を振るメイ。

「すごかったなぁ」

「本当だな。さすがにトップの戦いは見ごたえがある」

「アルトリッテは【サンクチュアリ】使い出してからの強者感がいいんだよな」

「それにしてもメイちゃんの無敵感よ」

メイとアルトリッテの戦いを見終えて、感想を言い合う観戦者たち。

大祭壇前は、わいわいと賑やかだ。

「まさか秘策の【グランドクルス】を、発動する直前に駆け抜けてくるとはなぁ」

長い距離を高速で走るのは、メイの得意技の一つ。

「……一瞬メイが本物の猫みたいに見えた」

「【グランドクルス】発生までの短い時間を駆け抜けていく画は、とても野生的だったな」

「そそそそんなことはないと思いますっ! おそらく体勢が低かったからそう見えたのかとっ!」

最後には猫耳に尻尾姿で【四足歩行】を使っていたメイ、これを慌てて否定する。

「そうだ。もしこの先に薬や呪いなんかのアイテムの情報があったら教えてくれないか」

「薬か呪い? 【エクスカリバー】じゃないの?」

てっきり聖剣の話かと思ったレンの問いに、アルトリッテは首を振る。

「実はマリーカにも、目的があるのだ!」

「そうなのですか?」

「なに? やっぱり強力な魔法の杖とか?」

脅威の重火力攻撃を行うマリーカが欲しがるもの。

自然とその答えに、皆の意識が集中する。

「……小さく可愛くなること」

「はい?」

「……とてもうらやましい」

アルトリッテやツバメ、そしてメイを見てため息を吐く。

とても平均的なメイと、小さいツバメとアルトリッテ。

そして二回りは大きなマリーカ。

「要するに、外見を小さくするようなアイテムってことね」

向けられる視線に、わずかに顔を赤くしながらうなずくマリーカ。

「まあ、ちょっと分かるけど」

レンは「ふふ」と笑う。

「……現実がどうであっても、ここでなら可能性は十分にある」

「呪いで獣人化するくらいだものね。それに比べたら身長が小さくなる方が簡単だわ」

マリーカはこくこくとうなずく。

アルトリッテが【エクスカリバー】を探しているように、マリーカも体型を小さくする方法を探しているようだ。

「でも、呪いだったらまた何かマイナス要素もありそうだけど……」

「……それでも、呪いのままいく」

「そうなんだ」

「……そして絶対に解かない」

強い決意を見せるマリーカに、レンは笑う。

「そういうわけだから、何かヒントを見つけたら教えてほしいんだ」

「もちろん構わないわよ」

「……そのためなら何億でも払う」

「目が本気です」

これまでにないほど熱い目を向けるマリーカに、驚くツバメ。

「また共に戦いたいぞ! こんなに楽しい協力プレイは初めてだったからな!」

「本当だねぇ」

メイもうれしそうに笑う。

「また大きなイベントとか、クエストに挑むのもいいかもね」

「いいと思いますっ!」

「だが一つだけ、大きな問題があるな」

「なに?」

「私たちが手を組んでしまったら、敵になれるものがいないということだ!」

そう言って、得意げに胸を張るアルトリッテ。

「むはははは! ぬはー!」

次の瞬間、罠にかかって転送されてきた重装戦士が目の前に落ちてきて、驚きに飛び上がる。

「……いつものこと」

「いつもではない!」

いつものことなのだが、しっかりとツッコミを入れた後、アルトリッテは再びメイたちに向き直る。

「ここから先は1パーティのみ。ルナイルの平和はメイたちに任せたぞ!」

「おまかせくださいっ!」

尻尾をピンと立てて、敬礼するメイ。

「私たちはのんびり、新ピラミッド探索でもしていよう」

「……ぜひクリアして、この後の展開を聞かせて欲しい」

「おまかせくださいっ!」

「ええ、もちろんよ」

「期待に応えられるよう頑張ります」

そうしてまた、新ピラミッドのお宝探しに戻っていくアルトリッテたち。

「私たちも行きましょうか」

「こうなったらもう、負けられませんね」

「ルナイルの平和を守るため、がんばりましょうっ!」

「メイちゃんたち、がんばれよー!」

聞こえてくる観戦者たちの応援。

アサシンを追い、大祭壇からピラミッド深部へと踏みこんで行くのだった。