軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

155.牙をむくグランダリア

6階は、岩壁に少し不思議な植物が生えている。

それは壁を覆い尽くし、洞窟内を明るく照らす光の苔。

どうやら、暗闇の区間は抜け出せたようだ。

「意外とどうにかなったな」

「私たちなら、このまま目標の15階まで到達できるかもね」

「余裕余裕! どんどん進んでやろうぜ!」

最初の難所と呼ばれる5階を乗り越えて休んでいたのだろうパーティが、勢いづいて先を行く。

「なんだか不思議な光景だねぇ。ファンタジーって感じで幻想的だよ」

一方メイは、洞穴を覆うほどの苔に指先で触れて「おおー」と感嘆の声をあげた。

「まずは地図で危険を確認して、私たちも後に続きましょうか」

「はいっ!」

「そうしましょう」

5階の仕掛けに全く苦労しなかった三人だが、ここでしっかり6階の地図を確認。

危険な罠に注意しながら、先を行ったパーティに続くように洞穴を進む。

「「「うわああああああああ――――っ!!」」」

しばらく進んだところで、突然前方から聞こえて来た悲鳴。

「…………な、なにかしら」

「地図には、何かヒントはないのですか?」

「この先は『とにかく左側を歩く』としか書かれてないわ」

そんな中、メイがピタリと足を止めた。

「レンちゃん、何か聞こえるよ」

メイの猫耳が、音のする方向に向く。

「……何か大きなものが、すごい勢いで近づいて来る」

「モンスター?」

「違うみたい……何か重くて大きなものが……これ、岩だよっ!」

メイが言葉にした瞬間、道を塞ぐほどの巨岩が道を転がってきた。

ここは前方のパーティが起動させてしまった罠が、そのあとに続くパーティまで問答無用で巻き込む作りの様だ。

グランダリアの容赦のなさが、早くも牙をむく。

「マズいわね」

ここは完全な一本道ゆえに、大岩を回避できる隙間などない。

もちろん防御でやり過ごせるような大きさでもない。

可能性があるとすれば――。

「レンちゃん、罠って壊せたよね?」

「毒の設置弓は【投石】で壊せたから、可能性はあるはずだけど」

「やってみるよ!」

そう言ってメイは、レンとツバメの前に立つ。

転がって来る大岩を前に、剣を抜き腰を落とす。

「いくよぉぉぉぉー!」

重低音を響かせながら、真正面から転がって来る大岩。

接触までには、わずかに時間がある。

ここでメイは【フルスイングⅢ】だからこそ可能な、【溜め撃ち】を使ってみようと思いつく。

手にした剣が、キラリと大きく一度エフェクトを輝かせた。

そして巨岩を目前まで引き付けたところで、大きく右手を引く。

「せーのっ! 【フルスイング】ッ!!」

大きな挙動と共に、手にした剣を地面に叩きつけるかのようなフォームで振り下ろす。

凄まじい風切り音と共に放たれる、あまりにシンプルな一撃。

決して攻撃範囲の長くないこのスキルは、上手に当てるのが難しい。

しかしジャングルで感覚を研ぎ澄ましてきたメイは、タイミングを取るのが大の得意。

直撃。猛烈な勢いで転がって来た大岩は、砕け散って粉々になった。

それを見て、レンは大きく息をつく。

「よかった……ありがとメイ」

「これでまだまだ一緒に進めるね!」

「メイ一人なら、普通に逃げ切れたものね」

「でも……三人一緒だったら岩に押しつぶされちゃっても楽しいよきっと」

そう言って、笑顔で真っすぐレンを見つめるメイ。

「う、うれしいけど……まぶしい……っ」

その神々しさに、思わず浄化されかけるレン。

そんな光景を前に、ツバメはくすくすと笑う。

即死罠を見事に回避した三人はまた、足を進めていく。

すると、大岩に敗れた先行パーティの面々が倒れ伏していた。

「……悪いな。ドジっちまった」

「大岩が転がっていったでしょう? 迷惑かけたわね」

「ていうか……どうやってあの大岩を回避したんだ?」

「剣で斬りました!」

「「「……はい?」」」

まさかの返答に、困惑する先行パーティ。

「……え、力技であの岩を何とかするとか……あんの?」

そして、不思議そうな顔をしたままリスポーンしていく。

「……この流れだと、次ここに戻ってきた時に力技で立ち向かおうとしないでしょうか」

「あっ」

あれはどう考えてもメイの【腕力】だからなせる技だ。

「つ、次来る時は左側通行よ! それだけ守って!」

慌てて注意をうながすレン。

思わず苦笑い。

「今回はメイのおかげで助かったけど、発動させたら即死の罠もあるみたいだから気をつけないといけないわね」

「りょうかいですっ!」

「私も気をつけます」

こうして三人は6階もそのまま難なくクリア、新たな階層へと足を進めるのだった。