軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1513.ティガキマイラと兵士たち

女王の召喚に反応して、現れた黒虎ティガキマイラ。

頭部には大きな山羊の角を持ち、尾には黒龍。

「サモン・ソルジア」

さらに女王の真横には、ズラリと居並ぶ数百人ほどのエキドラ兵たち。

こちらは革の鎧に毛皮の腰巻、兜に武器や盾を持つ密林のグラディエーターといった様相。

どうやら、巨大船から召喚されてきたようだ。

圧倒的迫力を見せる敵部隊を配置すると、女王は踵を返す。

「ここからは、玉座にて盤遊びじゃ」

どうやら女王は、各地への侵攻の指揮を執るため帰還するようだ。

「さらばじゃ、再び相まみえることを楽しみにしておるぞ。いや、野生の女王たる我が前まで来て見せろ――――雑兵ども」

そうメイたちに、命令するように告げて帰還した。

「来るよ!」

女王の姿が消えた瞬間、ティガキマイラのわずかな動きにメイが反応した。

「ゴオオオオオオオオ――――ッ!!」

【魔烈砲】は広範囲への咆哮であると同時に、盛大な輝きを起こす攻撃。

単純な威力はそこそこだが、広く強い衝撃を起こすことで優位な状況を得る一撃だ。

本来であれば、いきなりの一撃で優勢を取られるところ。

事実多くのプレイヤーがダメージと共に転がったが、メイの早い合図で防御には成功。

「助かった!」

戦いは、ほぼ五分の状態で幕を開けることになった。さらに。

「【フレアバースト】!」

レンが【ヘクセンナハト】で広範囲化した爆炎を叩き込めば、エキドラ兵たちがダメージを受けて陣形を崩す。

「今だ!」

この隙を突き、一気にプレイヤー側が攻撃を仕掛ける。

「「「【フレイムストライク】!」」」」

「「「【エクスプロードアロー】!」」」

戦いの始まりと同時に、次々に炸裂する攻撃。

ダメージをもらった敵兵はさらにHPを減らしながら、進攻を開始する。

即座に前衛組が、応戦に走り出した。

「【ローリングソード】!」

放つ剣の回転斬りを、エキドラ兵は急停止でかわして反撃。

「【ヘビィブレイダ】!」

「うおおっ!?」

刃を重量化して放つ大きな振り下ろしは、盾で防御しても大きく弾かれる。

動きも洗練されており、敵のレベルの高さがうかがえる。

「だが、これくらいならどうにかっ! 【雷光剣】!」

放つ一撃は、防御させて硬直を奪える好スキル。

「チィッ!」

「もう一度【ローリングソード】!」

動けずにいるエキドラ兵に、大きなエフェクトと共に叩き込まれる剣。

そのまま追撃に踏み出したところで――。

「しまっ!」

体勢を崩したエキドラ兵の頭を跳び越える形で、斧を持った兵が飛び込んで来た。

「【アクスプリッター】!」

「【ライトニングアロー】!」

だが敵の刃は届かない。

ローランの放った矢が突き刺さり、そのまま転倒。

「助かった! 【大地斬り】!」

倒れ込んだところに振り下ろす形の剣技を叩き込めば、一気に大ダメージだ。

「【チャリオット】【シールドバッシュ】!」

体勢を崩していた剣の兵士は、敵陣を戦車の様に突き進んできたまもりが盾の一撃で打倒。

見事な援護一つで、ローランは危機を好機に変えてみせた。しかし。

「【スラスト・ハルバータ】!」

「っ!? うおおおおおお――――っ!?」

大量のエキドラ兵の中に紛れた、飾りをつけた特別な兵士。

ハルバードによる高速接近突きは、防御してなお大きく体勢を崩す。

そこで踏み出した『兵長』はハルバードと大きく回転して一撃、そこから全力で一回転して追撃へとつなぐ。

「ぐ、ああっ!」

速い上に強烈。

明らかに自身のレベルを上回る敵の攻勢に、そのまま弾き飛ばされるプレイヤー。

「「「させるかっ!」」」

危機を見た付近の仲間が、慌てて援護に入る。

「【グランストーミア】!」

「「「うわああああ――っ!!」」」

しかし豪快な回転撃は猛烈な突風を生み出し、場にいた四人をまとめて転がす。

多対一でも抑えられない部隊長の攻撃に、生まれたさらなる危機。

「【バスター・エクスプロディア】!」

高く掲げたハルバードを全力で振り下ろせば、この四人は一撃で落ちてもおかしくない。しかし。

「【加速】【リブースト】【紫電】」

そこに飛び込んできたのはツバメ。

即座に兵長の懐に踏み込むと、二発の斬撃を叩き込んでスキルを強制停止。

そのままエキドラ兵長を、電撃で硬直させる。

「【電光石火】!」

そして斬り抜けを喰らわせながら、距離を離したところで――。

「くらいやがれええええーっ! 【アクセルスウィング】【キャンセル】【ギガントハンマー】!」

金糸雀が、大型化させたハンマーによる一撃を叩き込む。

生まれた盛大な衝撃波が、兵長を吹き飛ばして打倒した。

「金糸雀さん、狙われてます!」

しかしその瞬間を狙ったエキドラ兵たちが、同時に斧の【投擲】に入る。

ツバメは慌てて声をあげるが――。

「……問題ない【霊鳥鳳火】」

霊鳥たちが集結して一羽の輝く巨鳥となり、空中で一回転して突撃。

鳴き声のような高音を響かせ、まばゆいほどの魔力光が飛沫をあげる。

マリーカの一撃で、多くの兵たちがまとめて吹き飛んだ。

「やっぱ、トップたちは違うな……!」

「一人居るだけで、戦いの安定感がまるで違う!」

エキドラ兵たちの強さに押されていた戦場は、レンやローラン、マリーカといった後衛組の攻撃で優勢を取る。

こうして意気が上がれば、集まったプレイヤーたちも波に乗る。

レベル的に不利な戦いも、良い勝負になっていく。そして。

「ふん。この程度の雑魚で、この神槍を止めるとでも思っているのか?」

頬をふくらませながら、言ったのはグラム。

見ればその瞬間に強敵であることが、誰にでも分かるほどの威容を持つティガキマイラ。

「とっとと終わらせるぞ。アルトリッテ、メイ」

「もちろんだ!」

「りょうかいですっ!」

しかし三人は、怖がる様子もない。

これだけの迫力を持つ魔物を前にしても、むしろ楽しそうですらある。

グラムを中心に全員が武器を手に取り、構えを取った。

するとティガキマイラも、メイたちを『敵』と見なして動き出す。