軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1512.女王再来

――――運命の日、到来。

各所に掲載された宣伝映像の文字が、その日がやって来たことを知らせる。

与えられた7日間の猶予は、あっという間に過ぎ去った。

プレイヤー陣は、各都市に分散して配備を完了。

その中でも一番多くを集めたのは、やはりネオヨークだった。

「エキドラを叩き潰すぞ、メイ」

「グラムちゃん!」

「うむ! 準備はできているぞ!」

「アルトリッテちゃん!」

女王はネオヨークの海岸の一角、前回来た場所に再びやって来る。

そのためまずは、いきなり戦闘が始まってもいいように三大パーティをネオヨークに集結させた。

神槍【グングニル】を持ち、長い外套をまとうグラムは、近接と投擲を得意とする最強槍士。

聖なる剣【エクスカリバー】と黄金の盾を持つアルトリッテは、見事な盾防も光る聖騎士だ。

「「「おお……」」」

とにかく高火力の攻撃スキルを、詰め込んだ三人。

星屑最強前衛と呼ばれる組み合わせに、集まったプレイヤーたちが感嘆の声をあげる。

「あの女王気取りに、我が槍を直接叩き込んでやる」

「この聖なる剣【エクスカリバー】が、世界を守るぞ!」

二人は早くも、十分な気合を入れている。

「まあそういうわけだからよ、よろしくな」

「よろしくね」

そんなグラムを見ながら苦笑いするハンマー使い金糸雀と、弓術師ローラン。

「……こちらこそ」

そしてアルトリッテの相棒である、魔導士マリーカ。

こうして三つのパーティが、一か所に集結した。

「これは頼もしいなぁ!」

「ああ、そうだな!」

その心強さに、集まったプレイヤーたちも意気を上げる。

「来たよ……!」

海岸線に立った五月晴れを中心に、すでに数千のプレイヤーが付近を固めている状況。

最初に声をあげたのは、やはりメイだった。

「やっぱ、デケえ……」

黒の巨大帆船が無数に並んで海をやって来る光景には、圧倒的な迫力を覚える。

「あんなのと戦うって、とんでもないよな……」

「ああ。でも乗ってるやつらは普通の人間だ、ビビる必要はないだろ」

やがて船が止まり、追従していた大型グリフォンが高度を下げ滑空に入る。

そして女王は今回も、その足につかまりメイたちのいる海岸まで到来。

緑に飲まれて半壊したネオヨークを前に、余裕を見せる着地を見せた。

「猶予は、終わりを迎えた」

古代文明エキドラの女王シャナ・ルドラジャ。

「それでは、今一度問おう」

翼を広げたグリフォンを背後に控えさせ、圧倒的な余裕を感じさせる笑顔で問う。

「脆弱なる者たちよ、隷属と滅亡――――どちらを選ぶ?」

「……滅亡だ」

そう告げたのは、アルトリッテ。

するとすぐに、グラムが続く。

「ただし滅ぶのは――――お前たち蛮族だがな」

二人の意図せぬ言葉の連携に、思わず楽しそうに「おおっ!」と尻尾を振るメイ。

「勝って――――この世界を守りますっ!」

最後にビシッと、女王を指差し宣言する。

「「「おおおおおおおお――――っ!!」」」

すると最強前衛たちの見事なコンビネーションに、集まったプレイヤーたちのボルテージが一気に突き上がる。

「そういうことね!」

「申し訳ありませんが、引くことはできません!」

「は、はひっ! 負けませんっ!」

レンたちもそれに続けば、女王はその目をギラリと輝かせた。

「クク、クククク……ハッハッハ!」

いよいよ笑いがこらえられなくなった女王シャナは、豪快に笑い出す。

「それでこそじゃ! どうせ弱き腰抜け共だろうと思っておったが、面白くなってきおったではないか! 大いに結構! 血が沸くぞ!」

『武』を尊ぶエキドラ。

シャナはギラギラと輝く目のまま、右手を掲げる。

「……じゃが。まずはお前たちに、わらわが相手をするほどの価値があるのかを試させてもらおうぞ。ゼナ、メナ、アナ、ラナ」

「「「「ハッ!」」」」

笑う女王の言葉に、生まれる四つの古代魔法陣。

そこから以前の三人とはまた別の、褐色の娘たちが現れた。

「この四人娘の侵攻を止められぬのであれば、わらわはおろか、親衛隊にすら届くことはないと知れ」

女王は楽しそうに言って、あごで合図を一つ。

「船を率いて侵略を開始せよ。立ち塞がるもの全てを蹂躙し、都市を攻略。全てを緑に喰わせるのじゃ」

「「「「ハッ!」」」」

するとエキドラの四人娘たちは一つ大きくうなずき、巨大船へ移動するためバングルを輝かせる。

「行かせるな!」

それを見たプレイヤー陣から、上がる声。

すると女王シャナは、余裕の笑みを浮かべたまま指を鳴らす。

「そう急くな。お前たちの相手はこいつじゃ……サモン、ティガキマイラ」

「「「っ!!」」」

魔力を使った転移。

闇色の輝きの中から出てきたのは、巨大な一頭の魔物だった。

通常の三倍ほどの巨躯に、灰色の紋様の入った黒虎。

しかしその頭部には大きな山羊の角が飛び出ており、魔力がバチバチと弾けている。

尾は蛇のように見えるが、その正体は黒い龍だ。

見た瞬間に分かる、大物ぶり。さらに。

「サモン・ソルジア」

「「「っ!?」」」

巨大船のエキドラ兵たちも、大量に展開。

「わらわはエキドラの女王。ここからは国に戻っての指揮、盤遊びじゃ……くふふふ、期待しておるぞ。わらわが出張らなくてはならぬほどの激しい抵抗を。我が力を存分に振るえるほどの強者の登場を……待っておる」

「あっ! 帰っちゃうの!?」

女王はそう言い残してグリフォンの翼に触れると、そのまま魔力による瞬間移動で消えてしまった。

この場に残されたのは唸りをあげるティガキマイラと、ネオヨークからの侵攻を指示された兵士たちだけだ。