軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

150.後を追いかけます!

「あっちから甘い匂いがするよー」

北部の広い森林地帯。

そこには、エルフの小集落が点在する。

目印になるユリの匂いを追いかけるという方法で、メイたちは早くも二か所目にたどり着いた。

「地図製作者さんを見ませんでしたか?」

樹上で談笑する二人のエルフに、『地図製作者』の動向をたずねる。

「イノーさんですか。彼なら一昨日、次の集落目指して旅立ちました」

「ここで二日前ね。次に行きましょう」

再び三人は、地図製作者イノーを追って森を行く。

「確かに、メイさんの目と鼻がなければ厳しい状況でしたね」

広い森の中での人探し。

ただ歩いて探すというのは、本来かなり難しいはずだ。

「レンちゃん」

急にメイが、樹の上から降りてきた。

「もう次のユリを見つけたの?」

「そうじゃないんだけど、足跡があったから」

見ればそこには、むき出しの土の上に残された足跡。

「足跡?」

「この方向に追って行けばいいと思うんだ。これまで他の足跡はなかったから、たぶん地図製作者さんのものだよ」

「あ、足跡を追うなんて……初めて聞いたわ」

「ジャングルでのトカゲ探しには、足跡を追うのも一つの手だったんだよー」

「「…………」」

しれっととんでもないことを言うメイ。

あらためて、ジャングルでの7年の凄さを実感するレンとツバメだった。

「こんにちはー! 地図製作者さんを見ませんでしたか?」

たどり着いた新たな集落。

メイの見立て通り、足跡の向かう先にその場所はあった。

「イノーなら昨日、ここを旅立って行ったわ」

「近づいて来てるわね。一気に行きましょう」

「はいっ!」

ついつい足取りが早くなるレン。

たどり着いた、次の集落での返答は――。

「つい五時間ほど前に、北へ向けて旅立ったところよ」

「いよいよです」

「次で捕まえられそうね」

イノーの影が見え出し、小走りになる三人。

新たな集落に着くと、すぐさまエルフに声をかける。

「地図製作者さんを見ませんでしたかっ?」

「つい四時間ほど前に、北に向けて旅立ちました」

「急に刻み出さないでよ……」

「あはは……」

意外な展開に苦笑いしながらも、三人はそのまま次の集落へ。

「つい三時間ほど前に」

さらに次の集落へ。

「つい二時間ほど前に」

さらに次の次の集落へ。

「つい一時間ほど前に」

「つ、次よ。次でようやくつかまるわ!」

道中、突然立ち込めてきた霧もおかまいなし。

三人は突っ切るようにして森の中を進んでいく。

そしてたどり着いた、北限近くの集落。

優雅にティータイムを過ごしているエルフたちに、レンは身を乗り出すようにして問いかける。

「地図製作者、来てるわよねっ?」

「いいえ。そんな人は来てないわ」

「なんでよー!」

「追い抜いちゃったのかなぁ?」

「だとすると、あの深い霧の中を探すということになるのでしょうか」

ツバメがつぶやくと、エルフが『霧』という言葉に反応する。

「あの霧は、昔人間が戦争をしていた時に置いていった仕掛けが生み出しているのよ」

「仕掛け……? なるほど、戻りましょう」

レンは先頭に立って、霧の中へと戻って行く。

「なにか策でもあるのですか?」

「もしかするとだけど……その仕掛けって【罠解除】で止められるんじゃないかしら」

「なるほど、そういうことですか」

霧は、かすかにだが流れている。

逆走すれば、その発生源にたどり着けるはず。

しばらく進むと、レンの狙い通り火の灯ったランタンを発見。

どこが禍々しい装飾の大きなランタンから、もくもくと霧が吐き出されている。

「ツバメ、お願いするわね」

「はい、やってみます」

ツバメが灯篭に触れながら【罠解除】のスキルを発動すると、灯篭の火が消えた。

それに合わせて、森を包んでいた霧も消えていく。

「レンちゃん! 人が歩いてるのが見えるよ!」

「さすがメイ、発見も早いわね。これで後はイノーを捕まえるだけなんだけど……」

レンのそんな言葉に応えたのは、狼たち。

そしてその背後に立つオーガだった。

「そろそろ、出て来る頃よねぇ」