軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

149.地図の知識

「レンちゃん、もう一つのスキルはどこにあるの?」

無事【フルスイング】を手にしたメイたちは、次のスキル目指して進む。

「グランダリア大洞窟に向かう前に取りたいスキル。二つ目は運の良し悪しも絡むって話なんだけど……」

「も、もしや……何かを盗めというクエストですか……?」

ツバメが震え出す。

「違う違う。NPCを見つけて話しかければいいの」

「そんなに簡単でいいのですか?」

「それがね。そのNPCは常に移動を続けていて、世界のどこかにいるっていうやっかいなキャラなのよ」

発見難易度が高いのに、手に入るスキルは【地図の知識】という地味さ。

「だから、あんまり情報もないのよね」

攻略にも『世界中を歩き回っているため、確実に会う方法はない』『見つけたら声をかけるといい』程度の記述しかない。

「でも、グランダリア大洞窟に行くって決めた後にSNSとか掲示板を回って目撃情報を探したら、最近のものがあったの。場所は北部森林地帯だったわ」

そこでレンが使った手は、目撃者の『投稿』を追うことだった。

「その前の情報ではもう少し南にいたから、進路は北。エルフの住処の方に向かってるはず」

「その後を追う形ですね」

「目的は旅の地図製作者『イノー』の発見と、スキル【地図の知識】をもらうことよ」

「はい」

「エルフの住処かぁ……どんなところなんだろう」

早くも足取りがはずみ始めるメイ。

三人はロンベルクからポータルを使い、北部への移動を開始した。

ポータルを乗り継いで、ロンベルクから大きく北上。

北欧風の街並みが並ぶ、『星屑』の北西部へとたどり着いた。

そこからはあえて馬車に乗り、森林地帯の入り口まで移動。

「なんだか神秘的だねぇ」

密林とは違い、動物の鳴き声が少ない北部の森の中。

どこかひんやりした雰囲気が、何とも心地よい。

ゆっくりと歩を進める事しばらく。

メイが足を止めた。

「……なにかな。少し甘い匂いがする」

「もしかして、ユリじゃないかしら」

「そうかも!」

「さすが、メイは鼻も利くわね。だとしたらエルフの集落はこの辺りね」

「……レンちゃん」

メイが、聞こえてきた音に振り返る。

するとそこには、五匹ほどの狼。

「メイ、ちょっと引き付けててもらえる? 魔法を試したいの」

「りょうかいですっ」

メイは即座に走り出し、先頭の狼の前に飛び出して行く。

「【キャットパンチ】!」

飛び掛かって来た狼を軽快な猫パンチで叩き落すと、即座に粒子に変わる。

HPは決して高くない。

「【設置魔法】【フレアストライク】」

レンは足元に向けて杖を向け、新スキルを発動してみる。

すると地面に、魔法陣が描かれていく。

大きさは魔法によって違うようで、【フレアストライク】は直径2メートルほどだ。

「準備できたわ。こっちに連れて来て!」

「りょうかいですっ!」

メイは狼たちの飛び掛かり攻撃を、わずかな脚の動きだけで回避。

あえてゆっくり逃げを打ち、狼たちに後を追わせる。

「そこ、気をつけて!」

「りょうかいですっ! 【ラビットジャンプ】!」

魔法陣を見つけたメイは大きくジャンプ。

あとを追って来た狼たちは、そのまま魔法陣の上を通過して――。

吹き上がる炎の砲弾に、まとめて粒子になった。

火の粉をまき散らしながら、燃え上がる炎。

「……この魔法、楽しいわ。設置に少し時間がかかるけど、色々できそう」

思わず笑みがこぼれるレン。

「あっ、レンちゃん!」

「なに……って、きゃああああっ」

逃げるメイの跳躍した先には、棒立ちでニヤニヤしているレン。

当然、空中で軌道を変えるすべはない。

「わ、わわわわーっ!」

そのままメイはレンに飛びつく形になり、ごろごろと二人転がる。

「レンちゃん、大丈夫?」

「……ありがと。ふふ、こういう展開には気をつけないといけないわね」

これくらいなら衝突ダメージもなし。

メイに手を引かれて起き上がるレンは、とにかく楽しそうだ。

「さてと、この辺りにエルフがいるはずだけど……」

「あっ、あの子じゃないかな?」

すぐにメイの【遠視】が、耳の長い少女の姿を捉える。

「エルフさーん!」

少し離れた樹の上でまどろんでいた少女NPCに、メイはさっそく声をかける。

「はい?」

「この辺りに地図製作者さんが来ていませんかっ?」

「イノーさんですね。それだったら北の集落へ向かいましたよ」

「北の集落だって」

「……普通なら、ここは諦めどころでしょうね」

「そうなの?」

レンはどこまでも広がる北部森林地帯に目を向ける。

「この中に点在する小さな集落のどこかにいる。って、見つけるのかなり大変よ」

何せヒントは、集落の目印であるユリの花のみ。

それなら歩き回って探すより、南部の街で『イノーの帰還』を待つ方が確実だろう。

「でも、ユリが目印になっているということは……」

「目と鼻が利くメイさんには、そう難しい話ではない」

「そういうことね」

エルフの子供に手を振るメイを先頭に、三人は次の集落目指して歩き出した。