作品タイトル不明
1478.連携で勝負!
採石場に現れた敵は、付近の素材を集めて身にまとうという変わり者。
【御光石】で作られた硬い鎧は、侮れない強度だ。
またダメージを入れる度に弾けて装甲が薄くなっていくのだが、放っておくと再び厚く身にまとってしまう。
まさに、異世界らしい癖のある敵だ。
「生息場所にある素材次第で、『防御特性』とかも違ってくるんでしょうね」
レンはそんな想像をしながら【魔神の黒杖】を構える。
「それならこういうのはどう!? 【滅多打ち】【フレアストライク】【フレアストライク】【フレアストライク】【フレアストライク】【フレアストライク】!」
放たれる五連発の炎砲弾。
直接打撃程ではないが、その身体を覆う【御光石】を弾いて飛ばす。
「効いてそうね!」
すると腕から胸部にかけての装甲が弾けて、薄くなった。
ここで魔物が反撃に入る。
伸ばした掌から、【御光石】片が嵐のように飛んでくる。
「【コンティニューガード】【地壁の盾】!」
「ヘルメスちゃん! 【イージス】!」
これに対して、まもりとドールが前に出て盾を構える。
そして見事な防御が、パーティを守ったところで――。
「問題はこの直後! 【超高速魔法】【ファイアボルト】!」
レンは最速の攻撃で、再装着の隙を与えない。
これによって魔物は鎧の修復を諦め、さらなる攻撃を選択。
前衛組を狙って、激しい足音を鳴らして駆け寄ってくる。
「なんですか、これは……!?」
その右腕に集まっていく、大量の【御光石】の欠片たち。
アンバランスな大きさになった右の【巨拳打ち】が、放たれる。
その狙いはシオールだ。
「範囲が大きいっ! きゃああああーっ!」
突き出された拳は長さも増しており、バックステップでの回避は不可能。
容赦なく殴り飛ばされたシオールは、地を跳ね転がる。
「間に合わなかったですな……!」
魔物はシオールを守ろうと出てきた、ヘルメスに狙いをつける。
容赦なく振り下ろされる一撃は、防御スキルを以てしても高いダメージと弾き飛ばしが確実だ。
「【かばう】【不動】【地壁の盾】!」
しかし真上から来る一撃を、隕石を止めるかのような体勢で受けたまもり。
「アルカナちゃん! 【ソニックアサルト】!」
ここで即座にアルカナを走らせる。
まもりの盾の横を通り、煌々と熱した白槍を高速で突き出した。
見事な返しの一手。
だが敵の厚さと重さを前に、足を引かせるには一歩足りない様相だ。
開いた左手から放たれる破片の嵐は、まだ足をフラつかせているまもりを狙う。
「ヘルメスちゃん! 【イージス】!」
だがこれもヘルメスが前に立ち、敵の攻撃を見事にカット。
だがやはり、近距離での殴り合いのような状態では、強敵を上回る事は難しい。
「今ですな! アルカナちゃん、スワローちゃんっ!」
しかしなーにゃは、ここでMP消費が激しく操作が難しい、三体同時使用を開放して攻める。
「もう一度【ソニックアサルト】!」
アルカナが白槍を突き出し、敵の外装を削る。
「【加速】【アサシンダンス】!」
さらにスワローが回転しながら三連撃を加えて、計四連発。
ようやく魔物が体勢を崩した。
「【弐雷金威】!」
両手の武器を、敵に刺すことでダメージとなるその一撃は、大きな雷撃を生み出す。
目を焼くほどにまばゆい閃光が、地から天に上りゆく。
見事な一撃だが、これでもまだダメージは軽減されたもの。
「【加速】【リブースト】【雷光閃火】!」
しかし続くツバメが突き刺した短剣【デッドライン】が炸裂し、防御装備無視のダメージを与えた。
魔物は大きく傾き、体勢を崩した状態だ。
「さすがですな!」
「ドールの皆さんも、素晴らしかったです」
「は、はひっ! お見事でした!」
アルカナたちと喜び合うツバメに、思わず歓喜の声を上げるなーにゃ。
三体のドールとツバメの全員が無表情寄りなのが、楽しくて仕方がない。
「ではそろそろ、攻め切ってしまいましょう!」
そう言って、ツバメが走り出した。
魔物は拳を巨大化させたまま、強引に振り回す。
「【加速】!」
強烈な叩きつけの下を、潜ってかわす。
「【回転跳躍】!」
続く拳の振り回しを、横に跳び越える形で回避。
「【スライディング】!」
そのまま一回転しての二周目拳撃を、さらに地を滑って避ける。
ここで魔物が左手を突き出し、【御光石】が弾けて迫る。
「【加速】!」
即座に斜め前方への移動で攻撃軌道から外れると、魔物は大きな右手を全力で叩きつけにきた。
「重さを武器にした攻撃の最後は結局、『振り降ろし』になります! 【加速】【リブースト】!」
『く』の字を描く形で急加速して、敵の攻撃範囲を駆け抜ける。
直後、深々と魔物の巨拳が地面に突き刺さった。
「いくよっ! 【爆震脚】!」
地面を強く踏みつけ、円形に広がる衝撃波と共に跳びかかる移動スキルで、飛び込んできたのはシオール。
「【地烈爆炎撃】――――っ!!」
乗った敵の手甲に拳を叩き込むと、生まれたヒビ割れに紅蓮の輝きが灯る。
直後、噴き上がる猛烈な炎と共に魔物の石腕が瓦割りのように砕けて散った。
盛大に飛び散る石片が舞う中、しかしシオールは攻撃の手を止めない。
「まもりちゃん、お願いっ!」
「は、はひっ!」
緊張するまもりに、シオールは優しい笑みを見せて肩の力を抜かせる。
「【ゴッドハンド】発動! 【爆炎正拳突き】! 右ぃぃぃぃ!!」
放つ右拳は圧倒的。
猛烈な炎と共に巻き起こる拳の爆発に、吹き飛ばされた魔物の先にはまもり。
「【不動】【地壁の盾】!」
弾かれた魔物の脚が、まもりの盾にぶつかり止まる。
「【シールドバッシュ】!」
そこに衝撃波の一撃を放てば、大きく身体が揺らいで前方へ踏み出してしまう。
飛び込んでくるのは、やはりシオールだ。
「【爆炎正拳突き】! 左ぃぃぃぃ!!」
上級拳撃スキルの左右連発を可能にする技【ゴッドハンド】を、新たに覚えてきたシオール。
二発目の左拳が、盛大な爆発と共に敵の鎧を剥がし取った。
「【加速】【リブースト】」
ツバメの接近に、魔物は慌てて防御態勢を取る。しかし。
「【アサシンピアス】」
その隙間から難なく短剣を突き刺すと、見事に敵のHPを削り切った。
バラバラと剥がれ落ちる【御光石】の欠片。
むき出しになって倒れ込んだ粘土質の小竜は、そのまま溶けるようにして消えていった。
「ツバメちゃん、最高の連携だったよ!」
「いえ、見事な瓦割りでした」
爽やかにハイタッチを決める二人に、レンとまもりが拍手を送る。
「やりましたな!」
なーにゃも大きくMPを減らしたが、どうにか切り抜けることに成功。
そのまま五人と三体が集まって、歓喜に抱き合う。
見事な勝利だ。
「敵が落とした【御光石】は、拾えばそのままアイテムとして回収できるみたいね」
これなら、後は全てを荷車に乗せるだけで良し。
レンたちは皆で【御光石】を荷車に乗せると、採石場を後にするのだった。