作品タイトル不明
1474.街づくりを始めます!
「ぜひメイさんたちも、街づくりに参加していってください!」
マーちゃんがそう言うと、ハウジング勢も大きくうなずいた。
「今街に作ろうと思っている施設はこの辺りです。もちろん豪邸や異世界用倉庫なんかを建ててもいいですよ!」
見れば街づくり組は、先に描いたマップに基づいて『初期の街』作り、そこを基礎に二次三次と拡張するやり方のようだ。
「メイさんたちは、何か作りたいものはありますか?」
そんなマーちゃんの言葉に、四人は思案する。
「冒険者の集まる酒場って、楽しそう!」
「いいですね」
メイがそう言うと、ツバメが大きくうなずく。
「考えてみれば、飲食システムが拡充したことで酒場に大きな意味ができていそうですね」
「その通りです。クエスト前の作戦立てなどにも、酒場は良い場所になっていますよ」
マーちゃんが応える。
飲食システムで、人の往来が多くなった酒場。
今ではすっかり集合場所の一つとして、人気になっている。
「資材は色んな種類のものを用意しているので、メイさんたちにはどんな内装にするかやメニューを決めて、『構築』をしていただくというのはどうでしょうか」
「楽しそうね……!」
「と、とてもいいと思いますっ!」
冒険者酒場に使う素材や家具の選択配置をメイたちに任せ、それをハウジング勢が用意もしくは製作。
そしてそれをまたメイたちが、実際に並べていくという形を取るようだ。
「どうせなら、そこそこの大きさが欲しいわね」
「丸形のテーブル席がいくつもある感じですね。カウンターから店員が料理を持って行く。またはお客さんが持って戻る形式でしょうか」
「ここはやはり、冒険者さんが集まるおしゃれな店を」
メイ、ここぞとばかりに大人のお姉さんが似合うような雰囲気を希望。
「そ、そういうことならアイリッシュパブのような感じでしょうか。外観は石造り、中に入ると濃く艶やかな色をした木材で作られた感じです」
「おおっ! それはお洒落かもっ!」
「カウンターも木製で、背後には樽やビンが積まれている感じでしょうか」
冒険者たちが集まっても似合い、それでいておしゃれな雰囲気となればアイリッシュパブはうってつけだろう。
暖炉があり、重厚な木製カウンターが妖しい面持ちを見せる。
ケルト文化を感じさせる装飾は、剣士やバイキングがいても違和感がないのに、温かみのあるオシャレが演出できる。
「さっそくこれを見てください!」
するとさっそく、いくつもの『資材』や『調度品』を荷車に乗せてハウジング勢の一人がやって来た。
「木はこれだけある。この中から好きなのを選んでくれ」
「すごーい!」
サンプル用に持ってきた小さな木材は、パブに合いそうなものがいくつもある。
「カウンターと客席用のテーブル、丸椅子なんかをこの辺の木材で作る形だな」
「これがいいですっ!」
もちろんメイは、おしゃれな雰囲気を優先して選択。
「ダークマホガニーか! さすがメイちゃん、いいところを選ぶな!」
「えへへ」
さっそくハウジング職人が、硬木にどのような装飾の彫刻を施すかを提案。
メイは得意げに話を聞く。
「私はこの辺を置いて欲しいわね」
そう言ってレンが選んだのは、架空のビールの名前が書かれたヴィンテージのパブミラー。
そして、雰囲気を感じさせるウィスキー樽だ。
やはり調度品は、パブの雰囲気を左右する。
鏡に直接書かれた架空のビールのエンブレムには、ちょっとワクワクしてしまう。
「照明はこれがいいです」
ツバメが手にしたのは、磨き上げられた真鍮の笠で魔法珠を覆ったものを、天井からいくつも吊り下げる形。
「あと、できればでいいのでフットレストをお願いします……」
「了解」
高い椅子に座ると確実に『足プラプラ』になるツバメ、さりげない注文。
「ま、窓は紋様柄の擦りガラスか、ステンドグラスが良さそうです……」
あまり窓が大きすぎたり、中が丸見えだと雰囲気が出ない。
そこでまもりが選んだのは、色鮮やかなステンドグラス。
これなら外からの視線を遮りつつ、店内に幻想的な光を取り込むことができそうだ。
「これはいいお店になりそうですね!」
メイたちの選択を見て、早くも楽しそうにするマーちゃん。
実際のパブと少し違うのは、広いため割と開放的なところだろうか。
それでも仲間と集まって話す時には程よい、閉鎖感もあり。
「暖炉も置きますか?」
「おねがいしますっ!」
そんなマーちゃんの問いに、メイが大きくうなずいた。
「完成したら、どんなメニューを置くのがいいでしょうか」
「あ、あの……」
早くも冒険者酒場にどんな料理が並ぶのかを、想像して楽しむハウジング勢。
声をかけたのはまもりだ。
「じ、実は、五月晴れでこれまで食べたものや作った料理のメモがあるのですが……それを並べるのはどうでしょうか」
「いいですね! 一言で表現するなら……最高です!」
まもりの提案には、マーちゃんも目を輝かせる。
タヌキレストランなどで作ったものなども含めて、五月晴れに関わるものを出せるというのは面白い。
これで異世界に人が増えれば、厳しいこの世界を進むための良い原動力になるだろう。
そしてどうせ酒場を、街を作るのなら、やはり人が集まってくる楽しい場所がいい。
過酷な異世界なら、なおさらだ。
「五月晴れプロデュースの冒険者酒場……最高ですな!」
「人気になりそうだね」
「ローチェちゃん、ここでウェイターになっちゃおうかな!」
早くも楽しそうな酒場作り。
その様子を見たなーにゃたちも、完成を期待しながら街づくりの手伝いを始めるのだった。