軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1469.橋作りをお手伝いします!

逃げる不死ドラグニアが、盛大な爆発によって空に消える。

見事な【魔砲術】で撃ち落としたのは、レンだった。

「これはありがたいですな……!」

「ドロップも回収できたよ、ありがとうレンちゃん」

安堵を見せる、なーにゃとシオール。

「おいしいところは持っていかれちゃったけど、経験値もしっかりゲットだねっ!」

ムチが届かず悔しそうにしていたローチェも、うれしそうだ。

「やっぱり攻撃を受けてたのね。本当に助かったわ」

「ありがとうございますっ!」

「なーにゃさんたちのおかげで、石材は全て無事だったようです」

「さ、さすがですね」

「何をおっしゃいますやら。ツバメさんをこの距離で拝めるのなら安いものですな」

そう言って互いを無言のまま見つめ合うツバメとスワローに、満足そうにするなーにゃ。

「ツバメさんと勘違いされて、よく声をかけられるのですな」

「私の方は特に声をかけられないのですが……」

ツバメに存在感がないせいか、なぜかニセモノの方が声をかけられるという不思議な状況。

よく似ている両者を見ながら、笑い合うメイたち。

「さすがトップ勢だな……」

「あんな恐ろしい敵を倒しても、どこか余裕があるもんな」

ハウジング勢はトップが手を組むことのすごさに、あらためて驚きを見せる。

そしてそうなれば、おのずと気合も入ってくる。

「でもこれなら今度こそ、橋が架かるぞ」

「ああ、そうだな!」

「始めましょうか、橋作り!」

マーちゃんの合図に、メイがペコッと頭を下げる。

「皆さん、よろしくお願いいたしますっ!」

「「「「おお――っ!!」」」」

勢いのままに、動き出すハウジング勢。

今回作るのは、二つのアーチを持つ石橋だ。

それは現実でも古くから作られている、伝統的な形状のもの。

「最初の問題はとにかく、この急流の真ん中に【不腐鉄】でコートした基礎鉄材を埋めることなんだよな」

「最初にして最大の難関なんだよね」

急流の真ん中にしっかりと固定され、水面からわずかに顔を出す小さな三角形の島を作る。

続けてそこに石材を乗せて、二つのアーチの片側を支える足場とする。

これが『橋』の作り方らしい。

だが重い重い鉄材を、流れの急な川の中心に持っていくのはかなりの難易度。

三人がかり、四人がかりでの運搬でも、気を抜けばプレイヤーが流されてしまうような状況だ。しかし。

「お任せくださいっ!」

ここで手を上げたのはメイ。

川に沈めるための基礎鉄材を、一人で四つまとめて抱え上げた。

「「「っ!?」」」

一つを四人がかりで往復する流れだったことを思い出して、目を見開くハウジング勢。さらに。

崖に作った道を軽やかに降りると、そのまま大きくジャンプ。

「【アメンボステップ】!」

そのまま水面に着地して、その上を歩いていく。

「…………マジか」

揺れる足場に時々フラつきながらも、川の中央にたどり着いたメイは、上流に『三角形』の天辺が来るように鉄材を配置。

「続けていきますっ!」

すぐに戻ってきて、新たな鉄材を運んでいく。

「命綱を使って、どうにかっていう難所だったんだけどな……」

「一番の問題点が、こんなにあっさり片付くのか」

こうしてメイは異常な早さで、急流の中心に三角形の島を作ることに成功。

「できましたーっ!」

うれしそうに手を振ってみせた。

「よ、よし! ここからは俺たちの番だっ!」

「「「おう!」」」

この後は【重鎮石】を積み上げ、アーチを二つ作って道を作り、両岸を結ぶという作業を進める形だ。

「運べ運べ! 組み立ては俺が先導する!」

メイの作った小島に木製の梯子をつなぎ、次々に石を組んでいく。

中央に柱が経てば、今度はそこに木材を骨組みにしてアーチを作り、それを元に石を組む。

ここに【腕力】と【技量】が必要になるのだろう。

ハウジング勢は分担して、テキパキと橋を作っていく。

「こちら、次の石になりまーす!」

「助かるよ!」

各所の石を切り分けるハウジングプレイヤーは高い【技量】と石切スキルで、次々に石材を成形。

それをメイが中心になって、次々に運んでいく。

「こういうハウジングを見るのは、初めてですな!」

「料理クエストもそうだけど、仕事として残す部分が絶妙なのよね」

「ローチェちゃん、完成したらテープカットしたーい!」

楽しそうに見学する三人。

しっかり者のシオールが、その工程を見ながら立ち上がった。

「私少し、石を運ぶの手伝ってくるね」

「それなら、微力ながら行きましょうぞ」

「わたしもいくー」

こうして三人も【重鎮石】を少しずつ運んで、アーチを作っているハウジング勢のもとに。

「この形の石は、ここでよかったよね……?」

「ははははいっ!」

シオールの笑顔に、ハウジング勢が思わず謎の敬礼。

「さすがお姉さん……っ!」

その見事な立ち振る舞いに、メイが目を輝かせる。

一方レンやツバメたちは武器を持ったまま視線を走らせ、新たな敵の登場に注意する。

「レ、レンさん! 向こうに小型のグリフォンのような敵がいます……っ!」

「【魔砲術】【誘導弾】【コンセントレイト】【フレアストライク】!」

すぐさま先行して攻撃を放ち、危険を未然に回避。

「おい、あれっ!」

「【加速】【リブースト】【稲妻】!」

迫っていた四足二尾の黒骸骨も、早々にツバメが対応。

「残念、ローチェちゃんはこの位置からでも攻撃で来ちゃいまーす! 【ファイアウィップ】!」

中距離でコソコソこちらの隙をうかがっていたハイエナのような魔物も、ローチェの一撃で消えた。

トップが一緒に動くことで、作業効率は大幅に上昇。

石橋は驚くべき速さで組み上がっていく。

「これは立派な橋になりそうです」

馬車なら二台が余裕ですれ違えるほどの大きさの橋は、建築中でもなかなかの迫力がある。

「でも、建物を作るって偉大なことよねぇ」

「本当だねぇ……」

「す、すごいです。これが進化しながら受け継がれてきた手法で出来ているのだと思うと、なおさらです……っ」

思わず感嘆してしまう五月晴れ。

大きな物を造るというのは、それだけで人を感嘆させるすごさがある。

「クエストでのハウジングも、ハウジング専用マップではないフィールドにっていうのは、なかなかないみたいよ」

そのため派手に魔物が邪魔しに来る上に、そのタイミングはまちまち。

さらに攻撃や急流によって、建築に失敗すれば建材を失ってしまう。

異世界の建築はサバイバル感強めで、とてもシビアだ。

「よし、後は道をしっかり舗装するだけだ!」

あがるハウジング勢の声。

「いよいよね……!」

ついに橋は、完成目前のところまで来た。しかし。

「…………来ました」

マーちゃんの言葉に、走り出す緊張。

「やはりあの魔物は、異世界の建築を阻む存在みたいです」

ハウジング勢たちが、怒りを熱く燃やす。

これまで三度、橋を落としてハウジング勢に苦汁を舐めさせてきた巨鳥。

今回も、最悪のタイミングでやって来た。