軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1419.クエスト完了です!

「急におとなしくなったわね」

「やはり首の後ろをつかまれるのは、弱点なのですね」

「かわいいーっ」

「こ、こうなると、フワフワでいいですね」

ボス猫が静かになると、メイたちはその大きな身体を撫でまわして待つ。

見れば盗賊猫たちも、付近でもうゴロゴロと適当に過ごしている。

「皆さん、ありがとうございます!」

するとすぐに、ギルドの職員たちがやってきた。

そして従魔師らしき職員がハーネスを手にすると、ボス猫は参りましたとばかりに歩き出す。

一緒に街の奥地へ向かうと、古びた鉄柵が道の隅にあった。

「旧下水道……」

職員が鉄柵を持ち上げて中に降りれば、古い石積みの道が続く。

松明を手にした職員を先頭してさらに進むと、行き止まりの部屋にたどり着いた。

「わあーっ! すごーいっ!」

そこには大量のアイテムや装備品が、うず高く積まれていた。

「本当、こうやって見ると圧巻の光景ね」

それはまるでドラゴンが、山の洞穴にため込んだ金銀財宝のような光景だ。

「こうやって見ると店売りの武器なんかもあるし、本当に盗まれたものが全部ここに並んでるんでしょうね」

「こ、このショートソードは、盗まれ対策で持ってきた感じがしますね」

「防具も盗むんだったら、私のも持って行けばよかったのに」

「この石像は、何に使ったんだろう……」

何やら奇想天外な工夫の跡も見られる、盗品の数々。

「さっそく内容を確認して、盗難届を出されている方々への返却をしていこうと思います!」

そう言うと、いかにも力自慢と言った感じの職員たちが一気に駆け込んできて、盗品を運び出していく。

「それでは、ギルド会館の受付でお待ちしていますね!」

職員は現場のリスト作成を、部下に任せて駆け戻る。

「私たちも戻りましょう」

こうしてメイたちも、ターキィのギルド会館へ戻ることにした。

「「「っ!」」」

するとそこには、本当に正座待機していた盗難被害者たちが、興味津々と言った視線を向けてきた。

五月晴れが盗品を取り返しに行くと、聞いたのだろう。

被害者たちの数はさらに増えて、ちょっとした人だかりになっている。

「やりましたーっ!」

「「「うおおおおおおおお――――っ!!」」」

メイの元気な答えに、飛び上がる被害者たち。

ここからは冒険者ギルドでの返還作業を受ける形になるため、一気に賑わい出す。

「ありがとう五月晴れ!」

「返ってくる! 私の【三日月の杖】が返って来る……!」

「俺の【獣狩りの槍】がついに返還されるのか!」

「僕の【邪天使の石像】も返って来るんだな……!」

メイたちを先頭に、大勢でギルドの受付へ。

すると先ほどの職員が、あらためて頭を下げた。

「ターキィの人たちを悩ませる盗賊猫たちからの盗品奪還、ありがとうございました」

「これでしばらくは、猫たちも大人しくなるでしょう」

「しれっと、またこのクエストが再開される未来を暗示してるわね」

「あはは、本当だね」

「見事依頼を達成頂いたお礼として、こちらのスキルブックを送らせていただきます」

【回転跳躍】:猫のような見事な空中回転が可能となる。

「これはクルデリスさんの得意にしている跳躍法ですね」

「いいじゃない。ツバメなら【四連剣舞】が空中回転と一緒に出せたり、飛び越えながら【投擲】ができたりできるんじゃない」

「カッコいいー!」

「そう考えると楽しみなスキルですね。空中【スティール】もできるのでしょうか」

「ふふ、できるんじゃない? 盗めているかどうかは別として」

相手を跳び越えながら華麗な回転をくわえての【スティール】で、盗みを成功させる絵を思い浮かべて感嘆するメイ。

クールな着地後に手の中に何もないオチを想像して、笑いがもれるレン。

「レンさんが華麗な回転跳躍で敵を跳び越えてから、魔法を撃つのも良さそうです」

「まもりが敵を跳び越えておいて、盾を構えるのでも面白いかもね」

そんなことを話していると、職員がさらに報酬を提示してくる。

「そういえば、猫が露店から持ち逃げした商品も取り戻していただいたようですね。店主の方から、こちらを盗賊猫のお仕置き代として差し上げるように言われております」

「あ、あれはミッション扱いだったのですね」

「まもりのおかげで、報酬が増えたわね」

【冷製BLTサンド】:よく冷えたトマト、レタス、きゅうりに、豚肉という体温を下げてくれる食材たちが、炎を始めとした熱攻撃を大幅に軽減してくれる。

「あ、ありがとうございますっ」

まさかの料理に喜ぶまもり。

その間にも、盗賊猫被害者たちが次々にやってくる。

「あらためて、ありがとうございました」

「「「ありがとうございました!」」」

盗まれた装備も無事に回収。

最後は職員に続く形でプレイヤーたちも声をあげて、無事クエスト完了となった。

「楽しかったー! 次はどこに行こうかっ?」

「せっかくだし、もう少しパラス・アテネに色々見せたいところだけど……何か気になってるものとかはない?」

「……あっ」

レンが問うと、メイが思い出したかのように手を打った。

「そう言えば前に、妖精を見かけた気がするんだけど、この世界にいるのかな?」

「妖精ですか? なんだか楽しそうな話ですね」

「小人がいたし、あるかもね。まずはメイが見かけた場所に行ってみましょうか」

「は、はひっ」

こうしてメイたちは、盗難被害者たちに見送られながら、新たな目的に向かって歩き出したのだった。