軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1382.ドールvs星城姉妹

「どうしてこのクエストに……?」

「もちろん、お姉ちゃんの監視だよ」

「…………」

使徒たちの怪しい動きの中を、駆け回っていたレンを追ってきたカナ。

まさかの事態に、レンは言葉を失う。

「ほらお姉ちゃん、来るよ!」

再び動き出すドール。

こうして、姉妹の共闘が再開された。

ドールが魔力の輝きを一度閃かせて、『強化』を計る。

カナは注意しながら、向かい合う。

敵の槍が輝き、放たれるは【風刃斬】の振り払い。

これをカナは、片足を開く形の屈みこみでかわす。すると。

「っ!?」

なんとそのまま、間髪開けずに放たれる振り降ろしの【風刃斬】

三本の空刃をまとった一撃が、頭上に迫る。

慌てて横に跳び退きこれを回避。だが。

「まだっ!?」

続く【氷天槍】は、魔宝石の刃に生まれる氷刃による刺突。

最初に見せた輝きは、【連必撃】という中級スキルを三つをつなぐためのものだ。

完全回避はかなわず、カナは肩を斬られて弾かれる。

そこへさらに、ドールは攻撃を続ける。

【風刃斬】による、三つの空刃弧の払い。

今度もこの攻撃を、しっかりかわすカナだが――。

「っ!!」

今度は連続攻撃の『レシピ』を変更し、一気に三つの火炎弾を放つ【三弾炎】へとつないできた。

カナは強引な身体の動きで、どうにかこれを回避。だが。

続く三つ目の【ワンショット】は、目にも止まらぬ高速魔法弾。

「きゃっ!」

火力は低いためダメージはわずかだが、直撃でしっかりカナの足を止めてみせた。

ドールはもちろん、即座に追撃へと向かう。

「そうはさせないわ! 【連続魔法】【誘導弾】【ファイアボルト】!」

当然レンも、敵に優位を取らせない。

速いレンの援護は、しっかりとドールの足を止め返した。

すると体勢を立て直したカナが、一転攻めに出る。

「【亜人走】!」

気功で生み出した幾重もの虚像が、ドール目がけて一直線。

数十の像はまるでコマ送りを残しているような状態で、本人が『どこなのか』分からない。

ドールは手にした槍を振り下ろすが、それはニセモノだ。

「【速歩】!」

遅れて飛び込んで来た本物のカナが、ドールの前で掌底を突き出す。

「【崩天気功】!」

魔法のように放つ気功の一撃は、遠いほど威力が低く、近いほど強いというスキル。

この距離で喰らえば、火力は十二分だ。

大きく弾き飛ばされたドールは転がり、離れたところで立ち上がる。

そして手にした三叉の槍を、両手で持って掲げた。

「そのモーション! 回復っ!」

これに反応したのはレン。

「【超高速魔法】【ファイアボルト】!」

レンの予想は正解だ。

炎弾が当たり、強制停止させられたことで散り散りになった青白の輝きは、放っておけば腹心を回復させるものだった。

「……すごい」

思わずカナがこぼす。

これまでの戦いで見せていたものとはわずかに違う『動き』への、早い対応。

初見にもかかわらず、違和感に気づく能力は見事という他ない。

回復を止められたドールは、再び槍を片手で持ち構える。

そして、走り出した。

「【誘導弾】【連続魔法】【フリーズボルト】!」

放たれた氷弾を、ギリギリのところまで引き付けてドールが跳び越える。

「っ!」

ドールは回避のためだけに跳んだわけではなかった。

そのまま着地際に、じめんに突き刺す槍の先端。

それは暴風を起こしてプレイヤーを崩す【爆嵐】だ。

「【龍槌】!」

虚を突かれる形の攻撃だったが、カナはどうにか敵の攻撃を打ち消すタックルでこれを解消。

するとカナなら隙を作れると踏んでいたレンが、【低空高速飛行】で真後ろから接近。

その肩に一度触れて合図を一つ、追い抜いていく形で再び【低空高速飛行】を使用する。

「はああああ――――っ!!」

そのままドールに【魔力剣】を振り下ろす。

しかしドールはギリギリのところで硬直が解け、大きなバックステップで回避。

流れとしては、レンが不利となるが――。

「【雷光旋風脚】!」

そんなレンの頭上を跳び越える形で、身体を一回転。

稲光をまとった派手な蹴りが、ドールを弾き飛ばした。

見事な連携が決まり、レンはカナと軽くハイタッチ。

「そろそろ締めましょうか」

「そうだね」

いよいよ残りHPがわずかとなった、ドールに向けて構える。

しかし、先手を打ったのはドールの方だった。

向けた槍の魔宝石が、白く煌々と輝き出す。

【氷刃乱舞】はさらに氷の槍を大きく、そして大量にした奥義。

ドールの背後に生み出された視界を埋めるほどの氷の刃が、一斉に射出された。

容赦のない大型の氷槍が絶え間なく迫るこのスキルは、レンにとっては嫌な攻撃となる。しかし。

「【黒翼】!」

この攻撃は強力だが、全て地面に対して平行に飛ぶ。

よって地上から真上にある程度の距離を取れば、回避は可能。

黒い羽をまき散らしながら舞い上がったレンは、杖をドールに向ける。

「【フレアストライク】!」

そして炎砲弾を発射。

一直線に飛来する一撃はしかし、ドールの動き出しに間に合わない。

槍を構え、敵は【封魔】の態勢に入る。

「っ!」

防御状態のままその光景を見たカナが、思わず目を見開く。

「【速歩】!」

そしてすぐさま駆け出した。

レンの放った炎砲弾は【封魔】の槍の二メートル前に着弾し、炎と黒煙を巻き上げる。

そして【封魔】に失敗したドールは体勢を崩した。

燃え上がる炎を突き破り、真正面から踏み込むカナ。

「【爆水拳】!」

放つ拳にそれでもドールは横への移動で回避を狙うが、そこに判定はなし。

【フェイント】が決まった。

こうして姉妹は連続の『ハズシ』で、ドールから完璧な隙を作り出した。

「お姉ちゃん! 上げるよ!」

「了解!」

「はっ! はあっ!」

華麗な拳打二発を決め、そのまま右脚を大きく引く。

「【斬火脚】!」

豪快に振り上げる蹴りが猛火を上げ、ドールを天高く打ち上げる。

このスキルは続くカカト落としまでを一つとしているが、一発目で止めれば敵を打ち上げる攻撃となる。

「【コンセントレイト】」

この時すでにレンは着地し、杖をドールに向けていた。

「――――【インフェルノ】」

風を起こし、砲弾のように放たれるのは、煌々と輝く溶岩弾。

そのまま空を駆け直撃すると、猛烈な爆炎を上げてドールを焼き尽くした。

見事な勝利。

舞い散る大量の火の粉の下、カナが息をつく。

「……こうして戦ってる分には、普通に心強い魔導士なんだけどなぁ」

「それ以外の時も、普通にしてるはずなんだけど!?」

「とにかく今は、腹心との戦いに戻らないとね」

「まったくもう……」

レンはため息をつきながら、見事な姉妹共闘を終えたのだった。