軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1348.神社を作ろう!

さっそく始まった、神社造りのための『選択』

職人が、レンに問いかける。

「【依り代の剣】は、完成次第納入させてもらう。そして屋根の素材は銅。緑青したものでいいんだな」

「お願いするわ」

「御鈴はどうする? 素材は銅と真鍮から選べるが……」

「そんなに細かく選べるの? ええと、それなら真鍮で……ピカピカじゃなく、くすんだ感じにできる?」

「任せておけ」

「みんな、これでいいと思う?」

「良いと思います」

「は、はひっ」

「なんだか一気に、楽しくなってきたね!」

金属系の基本的な選択が終わると、今度はそれに合わせてツバメが【しめ縄】と、御鈴用の【鈴緒】を【王麻】で作成するよう依頼。

すると子狐が、冊子を持ってきた。

「お社は『飴色』ヒノキで作成します。造りは小ぶりな一社宮。屋根の形状はどうしますか?」

「屋根の形?」

「もしかして、破風の形状も選べるのでしょうか」

「はい、その通りです」

「なるほど……!」

子狐の言葉に、ツバメは嬉しそうに笑う。

「実は破風に少しこだわりがあります。小さなお社ですし、向唐破風にしましょう」

「むこうからはふ? どんな形なの?」

「有名な舞台監督が怒った時に、役者に投げてぶつける銀色の灰皿をひっくり返してケーキのように真っ二つにカット。その断面みたいな形です」

「なるほどー?」

首を傾げるメイだが、子狐の冊子を見て納得する。

「あ、いいじゃない。私が思う神社ってこの屋根型のイメージだわ」

「小さな神社にはとても良く合います」

こうして屋根の形も決定。

「基礎部分の最後は、【狛犬】ね」

「悩んじゃうよーっ!」

しかし狛犬の冊子はページが多く、真面目なものからふざけたものまでたくさん載っている。

「……これは別の動物を選んでもいいのかしら?」

「おそらく問題ないと思います。そもそも狛犬は『獅子』と『犬』で左右違うものですし、神社によって動物が違うこともあります」

「と、ということは……」

「右にクマ、左にヒヨコでも良いのです」

「この石造、出来がいいわね。多分これなら違和感ないわ」

「それならクマとヒヨコにしてみよっか!」

こうして、基礎となる選択は全て決定。

「鳥居はシンプルな石材の感じでいい?」

「いいと思いますっ!」

「ではさっそく職人さんたちに、お願いします」

子狐がそう言うと、職人たちは各々の持ち場へと帰って行く。

「さすがに理想の神社をつくるゲームはしたことないから新鮮……でも楽しいわね」

「本当だねぇ。出来上がりがワクワクしちゃうよっ!」

素材を集めて、選んで建築する。

始めてみたら、止まらなくて楽しい。

シミュレーション要素の楽しさが、十二分に出ていてるクエストだ。

「これで、神社自体は良い形で立つと思います。宮大工さんに頼んでくるので、しばらく待っていてください! そうです。町などでハウジング系の職人冒険者さんたちが作るオブジェクトを飾ることもできるので、待っている間に見に行っても楽しいと思いますよ」

子狐はそう言って、駆け出していった。

「確かに京なら、色々ありそうね」

「楽しそうっ! 行ってみようよ!」

想像の中の神社がドンドン出来上がっていって、ワクワクし始める四人。

こうしてメイたちは、建物の完成を待つ間に京の町に出ることにした。

大きな街には何かと露店が並ぶものだが、京では店舗を借りて使う形も多いようだ。

「ハウジング勢の作った物を、買って使えるのは面白いわね」

そんなことを言いながら、オブジェクト販売をしている店に踏み込んでみると、そこには数人の和装プレイヤーたち。

「……メイちゃん?」

その中の一人である着物姿の女性プレイヤーが、メイを見て目を見開いた。

「メイですっ!」

「ここはハウジング系の和風オブジェクトの販売と、その受注が中心なんですけど……うちでいいの?」

「はい、是非見せてください」

ツバメが率先して、店内を見て回る。

そこには反物もあり、菱柄や格子柄、菊に桜に鶴、祭で見かける巴柄の生地等が並んでいる。

さらに屋根瓦などの先端に飾られる、菊の紋様の鬼瓦。

木製の屋根同士がぶつかる部分に飾られる、金属の彫り物などまで置かれていた。

「す、すごいですね……」

「本当だねぇ……」

その造りの見事さに、まもりとメイが感嘆していると、着物の女性が問いかけきた。

「今何か、変わったクエストでもしてるの?」

「神社を作ってますっ!」

「「「っ!?」」」

メイが答えると、店のプレイヤーたちはハッと顔を見合わせた。

「神社ってことは、和風の装飾や調度品かなんかが必要になるわけだね!」

「そうなんですっ」

メイが元気に答えると、周りのプレイヤーたちも続く。

「そっ、それならぜひ手伝わせてくれ! 和風アイテムは需要が少なくてさ! こだわりのあるやつ、製造の上手いプレイヤーが多いのに手を余らせてるんだよ! 才能の無駄使い状態なんだ!」

「これを機に、もっと知ってもらいたいんです!」

どうやらハウジング系の流行は完全に洋風、もしくは異国の特色を活かしたものが中心。

和風は押されている状況で、もっと知られたいということのようだ。

「どんなのがいいんだ?」

「何でも聞かせてくれ! 最高の物を用意するから!」

気合の入る、和風ハウジングチームの面々。

店内にある扉を開くと、そこには新たな部屋。

その中には神社の建築にも使えそうなアイテムが、たくさん置かれていた。

「わあーっ! すごーいっ!」

「いいわね! こんなのワクワクしちゃうわ!」

その品ぞろえと、少し見ただけで分かるこだわりぶりに、思わずメイとレンは目を輝かせる。

「これは……間違いなく良い物ができます!」

「はひっ」

ツバメとまもりも、並んだアイテムを意気揚々と眺め出した。