軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1342.素材集め木材編!

「神社建立に必要なものは【神力の依り代となる剣】【しめ縄】【狛犬】の三つ神具です」

子狐は、後ろ足で立ったまま告げる。

「大事なのは、三つの神具をどのレベルで揃えられるか。その他の物はお好みで設置して、破邪の力を高めるといった感じです」

「とにかく神具の素材になる特別な『金属』、高品質な『麻』、最高の『石』を取ってくることが求められるわけね」

「はい。各素材の場所や取り方は、地図にまとめました!」

そう言って子狐は、三枚の地図を差し出してきた。

「良い物じゃないと、せっかく建てた神社が怨念に吹き飛ばされてしまうかも……!」

どうやら出来次第では、せっかく建立した神社が消し飛んで、クエスト失敗という形になるようだ。

「地図は三枚……どうする?」

「そ、それなら、建物の基礎になる『木材』の回収に行きますっ!」

パーティを分けての行動になる流れ。

ここでまもりは、『必須アイテム』ではなく『重要アイテム』である『木材』の回収に向かうことを宣言。

クリアに重要なアイテムは、移動と攻撃の能力を兼ねそろえたメイたちに頼み、外観に大きな影響を与えそうな素材を取りに行くというのは、良い提案だ。

「よ、良い木はどこにありますか?」

「良い木なら何と言っても【ヒノキ】ですね! 京の奥山に生えていますよ!」

子狐にたずねると、新たな地図を差し出してきた。

そこには他にも使える木材リストがあるが、見れば場所もかなり近いため、まもりは最高峰の【ヒノキ】回収に向かうことを選択した。

メイたちも地図からでは『どんなクエストになるか』は分からず、三人適当に選んで個人行動を開始。

「また後で会いましょうっ!」

「了解です」

「どんな神社になるか楽しみね」

「はひっ」

四人は子狐を残して、目的地へと駆け出していく。

まもりは地図の通り北上し、山間部へ。

一つ山の奥に入ると、開いた手を重ねたような葉を持つ、背の高い樹木が並ぶ区画を発見。

「ここですね」

丸太で作られた小屋に、人気はなし。

置きっぱなしの『斧』は、このクエストで【ヒノキ】を斬りに来た者だけが、手に取れるのだろう。

「木こりクエスト、初めてです……」

慣れない斧を手に、一本のヒノキの前へ。

さっそく斧を両手で持って、その幹に叩きつけてみる。

すると意外と気持ちいい音が鳴り、斜めにしっかりと切れ込みが入った。

「この感じなら、思ったより早く済むかもしれません……っ」

叩くほど切れ込みが大きくなり、【ヒノキ】が傾き出す。

「そろそろですね……えいっ!」

最後は強めに一度叩いて、大きく三歩ほど下がる。

大きな【ヒノキ】が倒れ始めると、その光景はなかなかに壮大だ。

思わず感嘆の息をつくまもりだが――。

「ん?」

クエスト側も木の伐採時における、『必ずしも思った方向に狙った形で倒れるとは限らない』という難しさを残していた。

「あれ、あれれ?」

倒れ始めたヒノキは樹皮の一部が残っていたため、その部分を中心に、ぐるりと回ってこちらに倒れ出す。

「あれえええええええええ――――っ!?」

大慌てで逃げる。

すると先ほどまでいた場所に、ヒノキが倒れ込んだ。

「ひゃあっ!」

巻き起こる風に、思わず跳び上がって転がる。

「け、けっこう怖いクエストです……」

とにもかくにも、これで一本。

三本斬れば達成のクエスト、まもりは安堵の息をつきながら二本目へ。

先ほどの件もあり、今回は慎重かつ軽快に傷をつけていく。

斧はさっきの木よりもサクサクと進み、傷もすぐに深くなる。

「……もしかして、この辺りで反対側から叩けば、木の皮がひっかかることもなくるのでは……!」

まもりのそんな思い付きは、正解。

さっそく裏に回って叩こうと決め、息をついたその瞬間。

鳴り出す、木の折れる音。

「あ、あれええええええええ――――っ!?」

予想よりもだいぶ早い倒れ込みに、まもりは大慌てで真横に飛び込む。

すると一瞬遅れて大木が、地面に深くめり込んだ。

生まれる大きな揺れに、ちょっと浮かぶまもり。

「な、なんで……?」

立ち上がって断面を確認すると、さっきの木と色味が違う。

「枯れ木……だったんですか」

どうやらすでに根本付近が枯れていたために、予想よりもだいぶ早く倒れたようだ。

「…………」

樹木伐採の難しさ。

その一端を二度も味わったまもり、三本目の木には恐る恐る斧を振るう。

その気分はもう、黒ひげ危機一髪だ。

「き、切り口よし」

今度は、切り口の色も正常。

「斧の進み方、よし」

斧の進み具合も、一本目と同じだ。

傷が深くなったところで反対側に回り、また斧を進める。

今度こそ間違いなく順調だ。しかし。

「……あれは、クマですか?」

最高素材の入手は、そう甘くない。

見えたのは、立ち上がった状態の大きなクマ。

まもりを狙って、二足歩行のまま一直線に走り出す。

「で、でも……戦えばいいというのは、一番やりやすいかもしれませんっ」

まもりはさっそく盾を取って、構えるが――。

「ええっ!?」

同じく駆けてくるクマが、もう三体見えた。

手前に二体、続けて二体という感じでまもりに向かって一直線。

「【地壁の盾】!」

目前まで来た一体目のクマの、爪の振り下ろしを盾で受ける。

すると二体目のクマが、すぐさま前に出てきて豪快な飛び掛かりを仕掛けてきた。

「【獅子霊の盾】!」

盾から飛び出したライオンの霊が、クマに喰らいつき放り投げる。

まさかの連携に対し、見事に対応したまもりが三体目の方に視線を向けると――。

「えええええっ!?」

なんと後方にいた三体目のクマが放ったのは『風弾』

「【天雲の盾】!」

これをまもりが受けると、吹き荒れる風に足元の落ち葉が舞い上がった。

奪われる視界。

そこに起き上がった二体のクマが、左右両方から攻撃を仕掛けてくる。

「っ!?」

右のクマが放った【どんぐり投擲】を盾で受け止めると、その隙に左から迫ってきたクマが【ライトニング・ベアクロー】を発動。

「ひええっ! 【地壁の盾】っ!」

高速移動からの斬り抜けが、盾にぶつかり激しい衝突音を鳴らした。

「この前衛後衛の感じ……陣形を組んで戦うんですかっ!?」

まさかのクマパーティという現実に、驚愕するまもり。

だが連携は、これだけで終わらなかった。

「っ!?」

突然足元にかかった影に、視線を上げると――。

四体目のクマに投じられた何かが、放物線を描きながら頭に飛んできていた。

「【ローリングシールド】!」

まもりは慌てて盾を振り回し、これを打ち砕くが――。

「きゃあっ!?」

なんと砕いたのは、『ハチミツ入りのツボ』

飛び散った中身を浴びて、まもりはべっとり動きが遅くなってしまった。