軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1224.戦いの後に

「「「うおおおおおおおお――――っ!?」」」

「な、なんて威力なんでしょうかっ……!」

艦隊戦の勝利後。

突然現れた巨大な有翼の魔物が放った魔力光線に、荒れる空。

巻き起こる猛烈な衝撃と風が、空を激しく振るわせた。

その光景を見た翼竜は、もう興味はないとばかりに過ぎ去っていく。

「お、おいっ!」

メイたちのセフィロト丸の前に吹き飛んできた敵艦は、大きく回転。

それによって何者かが、船から転げ落ちた。

「誰か、助けてくれ――っ!」

叫んだのは、味方の落下に気づいた紅の翼兵。

【不動】で動きを止めていたまもりに抱き着いていたレンは、これが『艦隊戦の勝利側』に起きる『ミッション』だと予想。

しかし強い風に飛ばされないよう、まもりの腰元にしがみついていたため、動けなかった。

「【バンビステップ】!」

そこに早い判断で駆け出したのはメイ。

一切の迷いもなく、ケツァールの背中から落下。

落ちた誰かが地面に対して『平行』でいるため、風の抵抗で遅くなるのに対し、メイは飛び込みのような『垂直』の姿勢を取る。

その差によって、一気に距離を縮めていく。

判断が遅くても、この『姿勢による加減速』に気づかなくても救出失敗。

【パラシュート】か【グライダー】がなければ死に戻りとなるミッションの、最初の関門をクリア。

メイは落ちていく何者かを追って、凄まじい速度で空を落ちていく。

「ここっ!」

距離が縮まったところで、身体を同じく『平行』にして接近。

見れば飛行艇から落ちたのは、紅の翼の兵長だった。

メイはその腕をつかみ、すぐさま顔を上げる。

するとそこには、後を追ってくるケツァールの姿。

「こっちだよー!」

メイが手を振ると、ケツァールは迷うことなく飛来。

「ありがとーっ!」

メイたちをすくいあげるような軌道で飛んで、救出に成功。

問題なくミッションを達成してみせた。さらに。

「大丈夫そうね」

「はい」

ツバメもレンの早い気づきから、念のためメイの回収ができるように降りの飛行で追いかけていた。

ゆっくりと飛ぶケツァールの横に飛行艇をつけると、メイは両手で輪を作って『成功』をアピール。

レンやツバメ、まもりも安堵の息をつく。

すると艦隊戦も終わり、有翼竜の姿も去ったことで、四人は兵長の帰還を待つ紅の翼の旗艦へ。

残った全ての飛行艇が居並ぶ中、メイは兵長を返還した。

「こんな形で、借りを作るとはな」

兵長は悔しそうに、ブルーウィングの方を見る。

「……だが、新たに見つかったフロートの所有を譲ることはない」

「あくまでフロートの一国独占を、進めようというのか」

「そんなの勝手すぎだろ!」

エアとイスカが反論し、始まる言い争い。

紅の翼の飛行艇に乗り込んでいたプレイヤーや、HPのなくなったナギたち、そして落下判定になった白夜も、『戻った先』は紅の翼の甲板。

成り行きを見守る形になっている。

「当然だ。ブライトとしては強力な『航空戦力』を、どんな使い方をするか分からない者たちに預けるわけにはいかない。仮に外部の者が使用するにしても、規定がなければ安易な一つの事故が街や村を巻き込むこともある。そして空に魔物も住む以上、飛行艇には自衛の能力も必要になる。それをフロートを手にした誰もが実現し、ルールを守って使用するとは限らない」

兵長は真剣な面持ちで、言葉を続ける。

「国を守る兵である以上、常に最悪の可能性を考え、そもそも危険が起きないようにするのは当然のことだ。それにはブライトという国家が占有する方が確実だ」

すると今度は、エアが言葉を返す。

「これだけの『可能性』を一国が独占する形になれば、勘違いする者が必ず出てくる。独占が生んだ力に酔って、新たな戦いを生むことだって考えられるだろう。それを防ぐためには外部に戦力を、フロートを分散させる必要がある」

「それに開発だって、色んな角度からした方がいいだろ!」

続いたのは、イスカ。

やはりウィンディアと紅の翼には、意見に違いがあるようだ。

「……今回はもう、我らにこのまま新たなフロートを取りに行く戦力は残っていない。ここは引かせてもらう」

兵長はそう言うと、紅の翼を引きあげさせる。

こうして激しい戦いを終えた傷だらけの飛行艇たちは、ブライトに向けて帰還していった。

「勝利したとはいえ、状況は我々も同じだな」

エアは、残った飛行艇を見てつぶやく。

「それにあの翼の怪獣が、まだ付近を飛び回ってる可能性もあるよなぁ」

イスカも魔力レーザーの一撃を思い出して、ため息をついた。

「紅の翼も引いたことだし、我々もここは一度撤退しよう。こちらは数も少ないし、まずは修理が優先だ」

こうしてウィンディアの飛行艇も、並んで基地へと戻っていく。

「意外な終わり方になったわね」

「本当だねぇ」

「フ、フロートは残ったままですが、どうなってしまうのでしょうか」

「そのあたりは、この後の話になるのだと思います」

そして基地に入ると、大急ぎでエアたちが動き出した。

「さっそく修理に入るぞ! 手の空いているものは損傷の軽い機体に回ってくれ!」

「「「了解!」」」

慌ただしくなる、ウィンディアの基地内。

「君たちは自由に過ごしてくれて構わない。ただ未回収のフロートに関しては、また動きがあると思う。その時は頼む。君たちの活躍なくては、紅の翼との戦いには破れていただろう。英気を養ったエースの力が、我らウィンディアには必要不可欠だ」

「りょうかいですっ!」

エアはそう言って、さっそく各機体改修の指示に駆け出していくのだった。