軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1218.始まる艦隊戦

新たに発見されたという飛行艇。

そこにはフロートの材料となる、飛行珠が残されているという。

メイたちを始めとしたウィンディアの面々は、急ぎでブライト王国の端にあるという洞窟へ飛ぶ。

「そろそろだ」

エアの言葉に合わせるように、外部で製造されていた飛行艇が合流。

合計7機となったウィンディア側は、自然と『V』字の編隊を組んで進む。

「壮観ね……」

「本当だねぇ」

翼を広げた鳥のような陣形の、ウィンディア飛行艇団。

その光景に、レンとメイが感嘆。すると。

「あっ」

メイが声を上げた。

視線の先に見えるのは、同じく編隊を組んだ飛行艇の一団。

その数は……なんと21機。

「どうやら紅の翼にも、情報が入っていたようだ」

「ていうか、もうこんなに飛行艇を完成させてたの?」

その威容に、思わず息を飲むブルーウィング甲板のエアとイスカ。

「プレイヤーも増えていますね」

見れば紅の翼の飛行艇には、専用機が与えられているナギ・ディアナ組や白夜以外にも、新たに紅の翼に加入したプレイヤーが多数。

どうやら飛行艇の数が増えたのに合わせて、参加者も増員されたようだ。

「わ、わわわわたしメイちゃんと同じクエストになるの初めてなんですけど……!」

「これは楽しくなりそうだな! ブライトに来てよかった!」

向こうもメイたちを見つけて、一気に騒がしくなる。

「面白くなってきましたわね」

「今度は、全てをぶつけての戦いになりそうだな」

「シンプルな力勝負だと、むしろヤバくねっスか?」

「言うなって! あたしたちなら勝てる!」

さらにナギや白夜たちが、壮観な眺めに意気を燃やす。

すると浮遊状態の飛行艇団から一機、兵長の機体が前に出てきた。

「どこへ行こうと言うんだ、賊ども」

「アンタ達には関係ないだろ!」

兵長の言葉に、イスカが叫ぶ。

「ブライト王国が誇る紅の翼は、ここから先には何人たりとも通さない。特に……賊だけは絶対にな」

「勝手なことを。空の占拠など、認めるわけにはいかないな」

するとエアが一歩前に出て、そう告げた。

「ふん、賊ごときに認められる必要などない。必要なのは、貴様たちが我々に許しを得られるかどうかだけだ」

対して兵長は、冷たくそう言い放つ。

「……フロートだな」

「チッ」

エアの言葉に、舌打ちで応える兵長。

どうやら目的は、同じようだ。

「賊にはここで、消えてもらう」

「押し通るさ。俺たちなら、それができる」

「調子に乗るなよ。確かにそっちの新人はそこそこやるようだが……お遊びはここまでだ。賊に堕ちたことを後悔するがいい」

兵長は操舵士のツバメに言い放ち、紅の翼の陣形に戻っていく。そして。

「フロートを賊に渡すな! ここでヤツらを叩き、ブライトの空を我らが守るのだ!」

「「「オオオオオオオオ――――っ!!」」」

新規のプレイヤーを含めた、紅の翼から上がる鬨の声。

「まさかの艦隊戦、大変な戦いになりそうね」

「ワクワクしちゃうよーっ!」

「飛行艇での戦い、初めての経験です……!」

「が、がんばりますっ!」

届いた雄叫びに、思わず奮い立つメイたち。さらに。

「ゆくぞ! ブライト王国の強引な占有は認められない! ここで力を示すんだ!」

「「「おおおおおおおお――――っ!!」」」

ウィンディアも全員で、気合の声を上げる。

そして星屑初の、飛行艇による空中戦が始まった。

「「撃てええええ――っ!!」」

エアと兵長の叫びで、一斉に発射される砲弾。

各飛空艇に現れるHPゲージ。

そしてリーダー格の飛行艇には、赤い特別なゲージが登場した。

「旗艦が落ちても敗北の形式ね」

「まずは側方に!」

ツバメは飛んでくる砲弾を確認して、すぐさま回避行動に出る。

見れば、ウィンディア側も回避のために動いている。

一方、砲弾がぶつかった敵の飛空艇はダメージを受けゲージが減少。

「敵船の方が多いけど、回避能力はこっちの方が上かしら」

しかし数の差を考えると、感じる圧には大きな差がある。

「「「うおおっ!?」」」

そんな中、砲弾を喰らって揺れた紅の翼の面々がどよめきを上げた。

やはり飛行艇の上での戦いは、落下の恐怖がいい味を出している。

「行くぞ! 【降雷】!」

「「「「っ!?」」」」

そんな中、突然鳴り響いた雷鳴に思わず振り返る。

ナギが十字槍を振り下ろすのと同時に、ウィンディア船の上部に生まれた魔法陣から落ちた雷が直撃。

味方船のゲージが、1割強ほど減少した。

驚いたメイの耳と尻尾が、ボン! と猫のようにふくらむ。

「狙って撃てる落雷ですか……っ!」

頭上からの攻撃は、飛んでくる魔法と違い独特の回避感覚が必要だ。

どちらにしろ、飛行艇という巨体での回避はかなり難しい。

そのうえ、一撃で1/8程のゲージを飛ばす火力は侮れない。

「そういうことなら! 【誘導弾】【フレアバースト】!」

すぐさま反撃に入るレン。

「当たるかよおっ!」

これを速い移動でかわすナギだが――。

「それはそれでじゃね!?」

ディアナが叫ぶ。

ナギ自身は見事に爆炎を回避したが、爆発自体は船に直撃。

飛行艇が、2割を超えるダメージを受けた。

「行けーっ! 【スピリット・イーグル】!」

シャーマンのディアナは、すぐさま反撃。

右手を突き出しセフィロト丸に向けると、再び上空に浮かぶ魔法陣。

幅二メートルに及ぶ光の大鷲が、地上の獲物を狙う時のような角度で落下してきて、そのまま炸裂。

「くっ!」

「きゃあっ!」

「やるわね……っ!」

こちらも高い火力を持つ、遠距離攻撃。

セフィロト丸を大きく揺らし、さらに2割に届こうかというダメージを与えてきた。

「へへっ!」

ディアナは、ナギと軽やかにハイタッチ。

「ターゲットを決めたら、対象の頭上から攻撃がくるってのはマズいわね」

それは飛行艇に乗っている以上、本人か飛行艇のどちらかがダメージを受けるという事。

このクエストには、うってつけのスキルだ。

「下がります!」

ここでツバメはすぐさま、後退を選択。

「そうはいかないっスよ! もっかい【スピリット・イーグル】!」

再び放たれる、ディアナの鷲霊。

「【天雲の盾】!」

これを、盾を掲げたまもりが受け止める。

「まだまだ【降雷】!」

「【かばう】【天雲の盾】!」

今度は操舵士のツバメを狙った雷も、まもりが続け様に防御。

「しゃーない、周りの船を先に叩くしかねーな!」

「おう!」

下がったセフィロト丸を深追いすることはせず、別船への攻撃を狙うナギたち。

「そうはいかないよっ!」

しかしここで、反撃の体勢に入るのはメイ。

その手には、【王樹のブーメラン】

その場で、大きく三回転。

「せええええのっ! それえええええええ――――っ!!」

轟音と共に、ブーメランを投擲した。

「うっおおおおおお――――っ!?」

操舵しながらのスキル使用が強みのナギは、大慌てでこれを回避。

するとその先にいた、紅の翼の飛行艇に直撃。

その船体を、貫く形で飛んで行った。

「ここまでか……!」

ゲージを失った飛行艇は高度が下がり、そのまま戦場から離脱する形となる。さらに。

「なっ!?」

「おい待てよ! 戻り際のブーメランでも一撃落ちはおかしいだろ!?」

メイの一撃が二機の飛行艇を戦線離脱に追い込み、驚愕するナギ。さらに。

「【魔砲術】【ペネトレーション】【フレアストライク】!」

レンの放った遠距離炎砲弾が、並んだ飛行艇三機を同時に貫いた。

各機が2割弱ずつのダメージを受け、数人のプレイヤーが飛行艇から落下する。

「このままいくなら、次は【コンセントレイト】も乗せていくのがいいかしらね」

レンは杖を払い、メイとハイタッチして笑う。

「あの火力で、しかも射程は向こうが上なのかよ」

「こりゃ、詰めるっきゃないねぇ」

うなずき合う、ナギとディアナ。

「……面白く、なりそうですわね」

飛行艇を動かしながら砲戦を続けていた白夜も、それを見て動き出す。

遠距離の撃ち合いでは、厳しい。

紅の翼のトップ勢は、ここで攻勢に出る。