軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1199.戦いの終わり

「まもりちゃーんっ!」

「また、助けられてしまいました」

「今回ばかりは、冷や冷やしたわね」

「ギ、ギリギリでした……」

四人の見事な連携で、きっちりグリンデルを攻略した四人は、軽快にハイタッチ。

残り数ドットのHPしかないまもりに、メイは『衝突ダメージ』を与えないようそっと背中から抱き着いた。

まもりはうれしいやら恥ずかしいやらが、入り混じった笑みをこぼす。

とにかくメイが先行して攻撃を入れることで【月光砲】を止め、レンとツバメでつないで最後はまたメイ。

一つも途切れさせずに引き寄せた、見事な勝利。

「すごい……戦いだったな」

「最後の魔力砲連発とか、ゼティアの時を思い出させる迫力だった……」

「やっぱ五月晴れのクエストは、規模が違うわ」

月夜に炸裂する魔力砲と、それを受けながら攻め切ったメイたちに、観客たちは呆然とする。

「くっ……現代の技術を大きく超える、ルアリアの兵装をもって及ばないなんて……ありえない……っ」

一方HPを失ったグリンデルは、倒れ込んだまま。

魔力の供給が止まった魔力甲冑は砕け落ち、風に吹かれて消えていく。

「魔導甲冑だけでなく、月光砲まで……ここまでの再起動に成功していたのですね……」

そこにやって来たのは、ルアリアの血を継ぐモナココの現王女。

「各遺跡を凌駕していた、ルアリアの魔法技術。確かにこれを持ち出せばモナココの征服、そして世界に進攻することも可能でしょう。ですが、それだけの力を制御する心を持つことはとても難しい。だからこそ我らの祖先は、これを封じたのでしょう」

続いてやって来た兵士たちが、倒れたままのグリンデルを捕えて連れて行く。

「ありがとうございました。彼の暴走を抑えることができたのは、冒険者の皆様のお力あってこそ。ルアリアの技術による攻撃。モナココや世界は、その大いなる危機を未然に防ぐことができました」

王女はそう言って、深く頭を下げた。

「これからはルアリアのことをなかったことにして生きるのではなく、その沿革や歴史などを把握し、そのうえで深く封じておこうと思います。ともすればまだ、私が知らない事実も眠っているかもしれません」

「そうしてもらえると助かるわね。こんな火力を持った敵がウロウロしてるみたいな状況は、避けてもらいたいわ」

「は、はひっ」

何かに強めにぶつかっただけで死に戻ってしまいそうなところまで追い込まれたまもりも、大きくうなずく。

「カジノも通常通り利用していただけるよう、私からオーナーに伝えておきますので、いつでもおいで下さい。配られた手配書も、モナココを救った勇者たちを称賛するものに差し替えさせていただきます」

「おおーっ! ……あっ、野生関係の表記は出さないようお願いします! カジノでコーヒーを飲んだ時の『ギャンブラーメイ』的なやつがいいですっ!」

ここでメイ、まさかの要求。

「メイは「苦い」と言って、顔をしかめていなかったか?」

するとそこに、アルトリッテやグラムたちもやって来た。

「ええっ!? そ、そんなことは……っ」

「わっはっは! 無理をしてカッコつけるからだ」

「そのようなことはございませんっ!」

「それなら私も、魔法学院制服を着ていた時のやつでお願いしたいんだけど」

「わ、私も食い逃げ犯みたいにならない感じで……」

「たまには焦点が合っている画像も見たいですね」

ここぞとばかりに、使う写真の要望を王女に伝えるメイたち。

「すごい戦いだったねぇ! 思わず夢中になっちゃったよ!」

そこに駆けてきたローランが、楽しそうに笑う。

「モナココ再突入からずっと、とんでもない活躍だったな!」

「……最後は痺れる戦いだった。新たな遺跡の兵装も、興味深い」

金糸雀やマリーカも、恐ろしい強さを誇ったグリンデルとの戦いに興奮気味だ。

「次にカジノに来た際にはぜひ、私のもとにお出で下さい。歓迎させていただきます」

そう言い残して、モナココの王女は立ち去っていった。

「いやー、最高の戦いだったなぁ!」

掲示板組戦の際に見事なスパイぶりを見せた、船持ちパーティも歓喜の表情を見せている。

彼らにとっては、メイたちのクエストに参加してみたいという狙いがかなった形だ。

「完全に、やられたぽよっ」

「あの内通ぶりは、予想もしませんでしたね」

「僕の計算の上をいっていました」

「さすが使徒長……っ」

さらに掲示板組も集まって、メイたちとの攻防戦を思い出して楽しい会話をしていると――。

「やったぞー!」

「ついに脱出だああああ――――っ!」

「お、マウント氏お疲れ」

「メイちゃんは!? 今逃走劇はどうなってるんだ!?」

「終わったぞ」

「終わった!?」

「ついさっき、遺跡の兵装とか巨大魔力砲との戦いが、メイちゃんたちの勝利で終わったところだよ」

「最高の戦いでした」

見ればそこには、すっかり指名手配を解かれたメイたち。

まさかの事態に、震え出すマウント氏。

「じょ、上等だ……」

「ど、どうしたぽよ?」

「それなら俺は、限定グッズを手に入れる! 待ってろカジノ! スロットで今度こそ大勝だぁぁぁぁ!」

「地下から出てきたばっかだろ! 落ち着け!」

「放せ! こうなったらもうカジノで勝つくらいしかないだろ!」

「マウント氏は『現地にいる運』以外は散々なんだから、やめておけ!」

「うるさいうるさいっ! 放せええええええ――――っ!」

暴れるマウント氏と、必死に抑える掲示板組。

自然と、観戦者たちが笑い出す。

星屑最大の指名手配事件となったモナココのクエストは、こうして幕を閉じたのだった。