軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1065.廃村の住人

「ポータルの先は、どこにつながっているのでしょうか」

「気になっちゃうね」

バレることなくトカゲの後を追い、無事に旧式ポータルを発見したメイとツバメ。

三度ほど狼煙を上げ、自分たちの居場所をレンに通達。

二人は木陰に腰を下ろして、後方組の到着を待つ。

「でも、本物のまもりちゃんはどこに行っちゃったんだろう」

「おそらく遠方に飛ばされたか、魔法空間に閉じ込められるみたいな形ではないでしょうか」

そっくりさんに入れ替わられた時、プレイヤーが身動き取れないままになることはないだろうという予想。

今回は一つ目の、『遠方への強制転移』という形が正解のようだ。

このパーティ入れ替わりクエストは、そのままにしておくとトカゲたちが待ち受ける場所に連れ込まれて一斉攻撃。

または全員を痺れ等の状態異常にしたうえでの、高火力全体攻撃という形で、全滅もありえる展開が待ち受けている。

かなり早い時点で全員が違和感を覚えたのは、見事なクエスト達成と言えるだろう。

「っ!」

メイがその視線を、飼い主が返ってくる直前の猫や犬のように、一方に向ける。

すると草をかき分けやって来たのは、レンとまもりの二人。

「よかった! 無事だったんだね!」

「早い復帰でしたね」

さっそく二人、笑顔で駆けつける。

「ソウネ」

「オマタセシマシタ」

「……レンちゃん? まもりちゃん?」

レンとまもりは、虚ろな目でメイたちに向き直る。

「態度が、おかしいです……」

「これ、二人ともトカゲが化けてる!?」

「なんということですか!! ということは、お二人はもう……っ!!」

二人が異変に気付いた瞬間、盾を構えるまもりと、杖を取るレン。

「【バンビステップ】!」

「【跳躍】!」

慌ててメイはバックステップ。

ツバメも大きな跳躍で、距離を取る。

「フレアバースト! ……なんてね」

するとレンはそう言って、笑いながら杖を下ろした。

「レ、レンちゃん?」

「ここに来るまでに、まもりと打ち合わせをしたの。こんなドッキリができないかって」

「はひっ」

「そうだったんだね! びっくりしたー!」

「ふふ。この流れなら、最高に効果がありそうだなと思って」

「とてもドキドキしました……! これは一本取られましたね」

思わずメイと笑い合いながら、駆けつけてくるツバメ。

一方ドッキリを仕掛けたレンとまもりも、楽しそうだ。

「まあ、もしメイが速攻で【ソードバッシュ】してきた場合、冗談で済まないからドキドキだったんだけど」

「メ、メイさんが剣を手にした場合、すぐさま防御をということで、緊張しました」

最悪のパターンは、二人が容赦なく先手を打った場合。

まもりが【かばう】からの【地壁の盾】という流れは決まっていたが、さすがに一撃死の可能性があるドッキリは、緊張感があったようだ。

「お待たせ。まもりも無事に連れてこれたし、先に進みましょうか」

「トカゲは、このポータルから逃げて行きました」

「さっそく後を追いましょう」

「りょうかいですっ!」

ポータルに触れて起動させると、四人は光に包まれる。

たどり着いた先は、やはりどこかの密林の中だった。

「あそこに見えるのは……村かな?」

メイが見つけたのは、古びた木製の建物が並ぶ小さな区域。

四人はさっそく、村の方へと向かう。すると。

「誰かいるよ」

続けざまにメイが気づく。

レンたちが近くの木々に身を隠して、様子をうかがうと――。

「やっぱり何にも起きないなぁ……」

やって来たのは、数人ほどのパーティ。

「こんにちは!」

「うわっ! メイちゃん!」

「メイですっ」

「やっぱり普段は、密林に住んでるのか……」

「違いますっ! 今日はたまたまですっ!」

「私たちは、逃げた魔物を追うクエストの流れできたんだけど」

「ああ、そういうことか。ということは、目的はあの村になるのかな?」

「もともとは廃村でさ、建物は半分朽ちかけてるし、壊れてるところもあるんだよ。それが異世界解放の後に突然、村にたくさんの住人が現れたんだ」

「でも住人がいるのに、壊れた箇所も草木に飲まれた部分もそのままなんだよな。あれは明らかにおかしい」

そう言って、不思議そうにする。

「時々様子を見に来てるんだけど、村人も全然相手にしてくれないんだよね。ていうかメイちゃんたちは、どういう流れでこの廃村に?」

メイたちは、ここまでの流れを簡単に説明する。

「なにそれ恐っ」

「異世界からの侵攻の次は、静かに起きてる世界の危機と戦ってるのか」

「その相手は?」

「トカゲですっ」

「「「……親子喧嘩?」」」

「二足で歩くトカゲは、親戚ではございませんっ」

「でも、もともとは迷子ちゃんを捜してたのか。掲示板にも異世界解放後から来てないし、俺たちも探してはいるんだけどね」

「迷子ちゃんさんは、姿を消している状況なのですか……」

こうして、密林での情報交換が終了。

すると、何やら慌ただしい音が聞こえてきた。

「なんだ……?」

「おい、あれはなんだ!?」

始まる異変。

掲示板組パーティが、騒がしさに慌てて付近を見回す。

するとまるで商隊のように馬車の一団を組んだ村人たちが、廃村を出て行った。

「今まで動きのなかった村人たちが、動き出した?」

「一体どこへ行くんだ……?」

「もしかしてこの村、世界への足掛かりのために使われている駐屯基地みたいな感じなのかしら」

「一時的な利用だから修復してないと考えると、つじつまが合いますね」

「それって、村人が全員トカゲだったってことか?」

まさかの事態に、驚く掲示板組パーティ。

「そう言えば考古学者が、準備が終わる度に新しい町や国を乗っ取っていくって言ってたわね」

「近くに、村か町はありますか?」

「ああ、少し北上したところにそこそこの規模の街がある」

「急ぎましょう! 考古学者の言葉の通りなら、トカゲが勢力を拡大するための侵略が始まるわ!」

「それならこっちだ! 荷車なら回り道が必要になるけど、プレイヤーだけなら小さな岩場を登る近道がある!」

すぐさま駆け出すメイたち。

街の乗っ取りに動くトカゲを止めるために、動き出した。