軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1044.物語の終焉

ゼティアの門の再封印に成功し、わき立つ王都前草原。

撃ち上げられる魔法に、広がる乾杯の声。

祝勝会の雰囲気が落ち着いてきたところで、メイたちは『鍵』の青年のもとへ向かう。

大きな戦いの決着と、一つの物語の終わり。

四人は一緒に、長かったクエストのエンディングを迎えることにした。

「終わっちゃったね」

思わずこぼれるつぶやき。

でも、もう大丈夫。

終わってしまうことへの寂しさは、確かにある。

だがそれは、以前のような悲しいものではない。

レンやツバメ、まもりと駆け回る日々はきっと続いていく。

それはクリア後の世界でも、変わらない。

大切なのは、四人楽しく遊ぶことなのだから。

青年を前に、自然とうなずき合う。

並んで踏み出すと、集まる視線の中で、『鍵』の青年が口を開く。

「世界を救いし英雄たち、見事だった。異世界の王を退けるほどの力を持つ者が生まれたことを、うれしく思う」

そう言って青年は、頭を下げた。

「ありがとう。これで二つの世界を大々的につないでしまう赤月の夜は、封じられた。世界に平穏が戻ったんだ」

穏やかな笑みを浮かべ、息をつく青年。

こうして一つの大きな物語が、幕を閉じた。

覚える達成感の中、ゼティアの門を見上げる四人。

賑やかな王都前草原は、大きな戦いがあったことなど忘れているかのようだ。

差しこむ陽光と、広がる密林。

それはまるで、メイたちを祝福しているかのようだった。

「……さて、これで時間を稼ぐことができた」

不意に、青年が振り返ってそう言った。

「取り戻した平和。しかしいつか新たな王が、『封』の小さなほころびに気付き、やってくるだろう」

「なんか……不穏な事を言うわね」

「そうだねぇ」

「これは、どういうことなのでしょうか」

間違いなく一つの終わりを迎えたところだが、話を続ける『鍵』の青年に、メイは首と尻尾を傾げる。

「二つの世界はもう、つながってしまっている。そしてそこには『封』でも閉じることのできない、小さな穴がある」

「それは、大丈夫なの?」

「だが今、そのほころびに気づいているのは我らだけ。それはつまり、こちらから一方的に異世界に向かえるという稀有な状況であることを意味している。この世界を本当の意味で救うのならば、新たな冒険に挑み、異世界の侵略者すら打ち倒せるほどの力を付けることが必要だ」

「お、おい、それはどういうことだ……?」

「新たな冒険?」

「それって、まさか!」

ざわつき始めるプレイヤーたち。

青年はそんな疑問に答えるように、ゼティアの門に向き直り、両手を掲げた。

「――――異世界へと進むんだ」

するとゼティアの門に張られた水鏡の『封』が透き通り、そこに見知らぬ世界が映し出された。

「お、おい……なんだよあれっ!」

「すげえ……っ」

広がる草原と、太陽が二つ並んだ青空。

そして、当然のように浮かんでいる島々。

飛んでいく光鳥は、鳳凰のように長い尾を引いている。

その全てが、見たことのないものばかりだ。

「まさか……世界を賭けた戦いは、新マップ解放のクエストでもあったの?」

「この感じだと、そのようですね」

困惑するレンとツバメ。

青年は、言葉を続ける。

「そこはまだ地図もない、言語も分からない異世界。新たな世界には未知なる敵や資源もたくさん存在する。だが冒険者である君たちなら、力に溺れることなく、さらなる強さを身につけられるはずだ……!」

世界を賭けたクエストの達成によって、開かれた新世界。

新たな世界には地図もなく、拠点となる街もない。

どんな生物がいるのか、どんな素材があるのか。

何一つ分からない。

だからこそ、とんでもなくワクワクしてしまう。

「冒険者たちよ! 異世界へ渡り、侵略者に負けない力を付けるんだ!」

「お、おお……」

「おおおおお……」

「「「「うおおおおおおおおおお――――ッ!!」」」」

それを見た参戦者たちが、驚きと歓喜の入り混じった大きな叫び声をあげた。

「メイちゃんたちの戦いが、新世界の道を開いたんだな!」

「超大型アップデートみたいなものだろ!? そのきっかけが、プレイヤーになるのか……っ!」

「これはテンション上がるな!」

再び、大きくわき立つプレイヤーたち。

「ならば。異世界へ向かうルートの管理を、共にさせてもらえないだろうか」

すると管理者が、『鍵』の青年のもとにやってきてそう言った。

「門は地下に戻そうと思う。そして、こちらから向こうへ渡る際のゲートにしたいんだ」

「ああ、それでいい」

どうやら青年と管理者は、異世界へ進むためのゲートの管理人となるようだ。

「……どういうこと?」

メイが首と尻尾を傾げる。

「この世界の物語を終えたところで待っていたのは、次の世界の物語ってことよ!」

「最後の戦いを終えたことで、新しいマップが解放されたんです!」

「し、しかも……まだ誰も知らない、新たな世界だそうです……っ!」

「おおーっ! そうなんだねっ!」

「大変なのはむしろ、ここからみたい」

「新しい世界……みんなと一緒だったら、楽しいに決まってるよね!」

メイはうれしそうに笑う。

最後の戦いの終わりは、新たな世界への道を開いた。

そしてそれは、続く物語の始まりだった。

「メイ……これからもよろしくね」

「よろしくお願いします」

「よっ、よろしくお願いしますっ!」

「こちらこそだよーっ! これからも何卒、よろしくお願いいたしますっ!」

歓喜に抱き合う四人。

まさかの事態に、盛り上がり続けるプレイヤーたち。

こうしてメイたちは、新マップ解放というかつてない偉業を成し遂げたのだった。