軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

エピローグ:10年目の日常と、お世話になり……もうやだこの姉妹……。

「あった……」

「何がですか?」「どうしたの?」

今日も足の治療を終えて図書館で蔵書の閲覧をしていると、待望の項目を発見した。

「帰還魔法についての記述……」

「「えぇ!?」」

二人が腰を浮かし珍しく驚いた顔をしている。

「いや、帰還魔法の法則や構築が詳細に書いてある訳じゃ無くて。帰還魔法があるって事と、それを応用とした荷物の転送魔法が開発されたって事についての自伝みたいなもだけど……」

「なんだ、驚かせないでよ……」

「危うく、この幸せな日々が終わるのかと……」

「あ、あはは……主な目的は、クラスメイトの皆を元の世界に返す事だからね。二人についてはちゃんと親御さんと話して許可を貰う為に頑張るよ」

師匠に言われたもんな、ちゃんと自分の意志で物を考えろと。流されて大切なものを喪うなと。

「飛翔……」「飛翔さん……」

「行き来が出来るようになれば二人の家族にもこっちの世界を観光してもらおうと思うしね」

まぁ、まずはこの記載されてる転送陣や帰還魔法について解明しないと駄目っぽいんだよな。

「とりあえず、二人も読んでみて。何か見落としがあるかもしれないからさ」

二人に手渡し、その間に次の本に取り掛かる。この本もハズレっぽいな……。

「人の転送は厳しいのですね……」

「しかも、なんだか適当に作ってるっぽいしねぇ……」

それから数分後、読み終えた二人が感想を言う。見つけた内容はその通りで、書かれている問題点も人を転送する事が出来ないのと、受け手側に魔法陣が無いとどこか不安定な座標に飛ばされるそうなのだ。

「開発の初期だと、上空に転送されたり、土の中や水の中に転送された事例もあるらしい」

「うーん、それだと大変よねぇ……」

「そうですね、下手したら全員が即死する可能性もありますわね……」

「それにそれ以降は、古代魔法の分野みたいだしね」

書いた本人も古代魔法については一切の解析が出来て無いので、転送用魔法陣も偶然に出来たものらしい。しかも作った事で満足したのかそれ以降はすっかり忘れているし……。

「そうなんだよね、それ以降の改良は行われてないみたいだし。結局わかった事は、受け手側の魔法陣が必要みたいっと事ぐらいしか……」

「となると、飛翔の持て来た本に書いてある、古代語の解読が終わらないと駄目みたいね……」

一応リューテさん含むご高齢の人達に読んでもらったけど、誰も読めなかったし。そうなると研究者に聞きに行くしかない。

「次の目的地は魔術都市かな……」

「そういえば、魔術都市ってどんなところなの?」

「うーんとね……一言で言うと面倒な所」

「面倒ですか……それはどの様な感じですか?」

「えっとね……一回しか行った事無いんだけど、入るのに手続き……なんか魔力登録とかさせられるし。冒険者でも魔術師じゃないと興味がない見たいで白い目で見られるし、しかも通貨は独特で基本的には支払いの何割かは魔力で支払うんだ」

「それは確かに……」

「へんだねぇ……」

「ただ、色んな学府があるだけに様々な研究がされてるんだよ、魔術師の適性が高い王族・貴族も留学したりするし」

「へぇ……」

でもまぁ、あそこで少しは学ぶものもあったし、魔術師の戦闘方法についても勉強になったから感謝はしてるけどね。

「さて、コイツもハズレ……後一山に手掛かりがあって欲しいけどなぁ……」

読み終えた本を横に置く、治療もだけどこの山を読み終えるまではここに残る事になりそうだ。

◇◆◇◆

そしてそれから更に4日後。いよいよ帰る日がやって来た。

「この度は、カトレアとティティアちゃんの治療ありがとうございました」

エルメガリオス様に頭を下げる、二人もすっかりと復調して後遺症も無いようだ。

「また、いつでも来てくれて構わないよ。エルスリリアとロルティリアも皆が帰ると悲しそうだしね」

恥ずかしそうに顔を赤くするエルスリリアと昨日から泣いているロルティリアちゃん、剣の修行に関してはエルスリリアに引き継いだしエルスリリアの魔力を纏わせる訓練もほんのちょっぴり成功した。

「エルスリリア、次来るときはちゃんと技を完成させててよ?」

「あぁ、次は素面で成功してみせるさ」

「うぐっ……じしょー」

抱き付かれ泣かれる、どうやら相当に懐かれたようだ。

「ロルティリアちゃんもちゃんとエルスリリアのいう事を聞いて訓練に励んでよ?次来るまでには手合わせできるように頑張ってもらわないと」

「あ゛い゛ぃ~」

大泣きする一方、セレフィーネはエルフの貴族と楽しそうに歓談していた。

「本当によろしいのでしょうか?」

「えぇ、この子達は一人立ち出来る歳ですし。それにセレフィーネ殿にとても懐いておられます」

「そうですか。では、ありがとうございます」

傍らに居るのはグリフォンの幼獣が三体、どうやら貴族との折衝やらグリフォンの世話をしていたみたいで懐いた子達を譲り受けるそうだ。

「あらてしあ様、これどうぞ!」

「えっと……良いのかい?」

アラテシア様とティティアちゃんの方へ視線を向けると、二人は治療院の子達に囲まれていて色々なプレゼントを受け取っていた。さっき説明されたのだが、アラテシア様はティティアちゃんが目覚めた後復調するまで、看病の傍ら同じ治療院に居た子達の看病や面倒を見ていた様だ。

「はい! にんげんはこわいって聞いてましたが、あらてしあさまはこわくなかったので!」

「いっぱい本もよんでくれたし!」

「てぃてぃあおねえさまともいっしょにあそんでくれたから!」

「みんな……ありがとう」

「ありがとうございます」

アラテシア様とティティアちゃんが嬉しそうに笑う、短い期間だが二人も良い思い出が出来たようで何よりだ。

「エルメガリオス様、終わりました」

ルルカさんが背後に沸く、なんだろうこの人。

「そうか、でも本当に良いのかい?」

「あ、はい……」

「ホウショウ様、私では満足できないのでしょうか?」

「いや、何をですか……」

「え? 私の身体です」

「そんな事してないよね!?」

「はい、処女ですし」

「なんだ、手を出さなかったのかい?」

「出しませんよ!?」

「残念です……」

全く……この人は、終始変わらないな……。

「さて、名残惜しいがそろそろ出発しないと……そうだ、これを渡すように言われてたのを忘れていた」

そう言って懐からペンダントを取り出す、よく見ると内側に王家の紋章が刻まれている。

「それは、一体?」

「これは君の師匠から渡された物さ、これがあれば迷いの森で迷わなくなる、特殊な魔導具だよ。手を出して……失礼」

そういわれて左手を出すとちくっと針を刺される。浮かび上がった血を魔道具に染み込ませていく。

一瞬アイスブルーの宝石が赤く染まり、瑠璃色に変化する。

「よし、これで君と君の家族以外は使えなくなった」

認証式の魔道具って……あの師匠はまたとんでもないものを……。

「という訳で、これで終わり……だと思う」

「ま、まぁ来月には結婚式でまた会いますからね……」

叙爵式からここまでジェットコースターのような忙しさだったので忘れていたが俺達、結婚式がまだなのだ。なので予定がズレてしまったが、来月には結婚式を行う事にしたのだ。

「うむ、妾も楽しみにしてるぞ」

「わかりました、楽しめるように力を出したいと思います」

そうして最後にカトレアと交代して馬車に乗る、今回は行きと同じ様に王族専用の馬車を貸してもらえる様になった……まぁ、理由は大量に押し込められた家具達なのだが。

「それでは、出発いたします」

御者台に座るのはルルカ……では無くルルイさんだそうだ……本当に見分けつかないな……。

「何か私の顔に付いてますか?」

「あ、いえ……本当に姉妹似ているな……と思いまして……」

「そうでしょうか?」

小首を傾げるけど表情が薄いから余計にわからないんだよなぁ……

「ちなみに、私は右乳首が弱いのでそこで判別してもらえれば……」

「わかるかぁ!!」

もうやだ、この下ネタ姉妹……。