軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第91話 粛清

さてと始めるか・・。

「ポール王とデイブ宰相はグラドラムの民を連れて、安全な屋敷に避難してください。」

「は、はい!」

「皆様には3年間もつらい思いをさせてしまいました・・申し訳ありません。ひとまず!皆さんは安全なところに避難をなさってください!」

「「「「「はい!」」」」」

「マリア、シャーミリア、マキーナ、ファントムはここに残れ!ほか全員でグラドラムの方達を護衛しろ!行け!」

「「「「は!」」」」

ギレザム、ジーグ、スラガ、ティラ、タピ、ルフラがポール王とデイブ宰相そしてグラドラムの民を連れて迎賓館を出て行った。

残ったのはバルギウスから来た使用人とメイドたち20人と俺達だった。俺がおもむろに話を始める。

「さてと、お集りのバルギウスの皆さんお疲れ様です。」

「な、なんです?」

「あなたは誰なんだ?」

「バウム様はどうした?」

「いったい何だって言うんだ?」

ガヤガヤと20人が話し始め騒がしくなってきた。

「ああ、すみませんね。この目の前に置いてある料理なんですけどね、いらなくなっちゃったんですよ。ちょっとお客様が急用でね・・ですから皆さんでいただいちゃってください。」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「あ・・あの・・」

「どうしたんです?せっかくの料理です。冷めないうちにどうぞ!高級な食材をお使いのようだ、こんな時でなければ食べられませんよ。」

「いえ、えらい人の料理ですから・・」

「は、はは・・やっぱり私たちのような使用人が食べるわけには」

「そうです。今日いらっしゃる予定の魔人様の御子息のために用意したんですから。」

「いらなくなったのであれば、廃棄するしかないのでは?」

ザワザワとバルギウスの使用人たちが騒ぎ出す。

そうか・・そうだな。偉い人にご用意した料理だもんな、じゃあこれなら食べられるかな?

「えっと・・じゃあ、いちばん若そうな君。その可愛らしいおさげ髪の君だ。君はいくつなんだい?」

「14歳です。」

「どんな仕事を任されてるの?」

「できた料理を運んで食器を下げるだけのメイドの仕事です。」

「じゃあこんな高級料理なかなか食べられないよね?代表して食べてみようか?こんな宮廷料理のような豪華な物、食べた事ないだろう?自分たちで作って、自分たちで食べるなんて申し訳ないんだけどね。遠慮はいらないから食べていいよ。」

「本当に良いんでしょか?」

「どうぞ」

「は・・はい、では。」

少女がフォークを取って食べようとした時だった。

「こら!やめなさい!」

60歳くらいの執事が女の子の手を止めた。

「えっ・・・」

少女が驚いたようにフォークを落とす。

「ん?どうして止める?俺がいいと言ってるんだから、食べてもらってもいいんだよ。」

「いえ!これは魔人の国の御曹司に食べさせるもので・・」

「ああ、言ってなかったっけ?俺がその御曹司だ。」

「!?!?」

全員息をのむように絶句し、真っ青な顔になって震え始めたようだ。14歳のおさげの女の子だけキョトンとしている。

「じゃあ君はもういいや。まだ先に行った人たちに追いつくだろうから走って追いかけて。こんなおいしい料理を食べられなくて残念だけど、そのうち機会もあるだろう。」

「は、はぁ・・わかりました。」

そう言って、彼女は悲しそうな表情を浮かべて迎賓館を出て走って行った。

「この中にバルギウス以外から来た人いる?」

「い・・いえ・・全員がバルギウス出身です。」

「今、出て行った子の訛りだけが違うようだけど?」

「あ、ああ彼女は・・ユークリット公国出身との事です。」

《やっぱりね、顔つきや言葉訛りからユークリット公国のどこかの田舎から来たと思ったよ。》

「ユークリットのどこ?」

「そ・・そこまでは・・」

「なんで彼女だけユークリットからなんだ?」

「そこまでは・・ただ上の人間が連れてきて仲間に加えられただけです。」

《なるほど・・一人だけユークリット公国出身か・・きっと何か思惑がありそうだが、とりあえず今は分からないか・・》

「まあいいや、じゃ、お前から食え。」

白髭の執事に言う。

「い・・いえ・・」

「こっちへ来い。食え。」

60歳くらいのモーニングを来た白髭の老人が、ガタガタ震えながら近づいてくる。

「あ・・あの・・」

「食え」

モーニングを来た老人がガタガタ震えながら、フォークをもったその時!持ったフォークで俺を突きそうとしてきた!!

パン!

白髭を蓄えた老人が、額に穴をあけて仰向けにひっくり返った。俺がH&K VP9自動拳銃でそいつの額を撃ちぬいたからだ。

「なんでいきなりフォークで殺そうとするんだ?」

「「「「ヒッ」」」」

俺が聞くと後ろの人間たちが悲鳴を上げた。

「次だ。じゃあそこの女、そうお前だ。」

「は・・はい・・」

俺は次に偉そうな女を選んで呼んだ。

「すぐ食えよ」

「はい・・」

ガタガタ震えながらフォークを料理に突き刺したが、なかなか料理を口に入れないでいた・・俺が拳銃を眉間に突き付けると、口に入れてもぐもぐと咀嚼をして飲みこんだ。

「ぐ・・ぐぇっぇぇええ」

女は口から血を吐きだして苦しみだした。目と耳からも血が噴き出してきた。バタバタと苦しんで・・死んだ。血が広がっていく。

《というか、どんな猛毒だ?ひどい死に方をした・・》

「これは?どういうことだ?」

「仕方なかったんです!!私たちの仕事だったんです!!」

「こんなものを食わせるのが仕事?」

「この毒は3年前にもグラドラムに派兵された隊が持ち込んだと聞いています。しかしグラドラムに派遣された兵士たちは一人も帰ってこなかった・・」

《そうか・・ガルドジンが食べたものがこれか・・マリアが口にする前でよかった。》

「俺達にこれを食わせるように言われたのか?」

「バウム様からの指示で、仕事なんです!」

精悍な顔つきの使用人風の男だった、とにかくこの場を収めようと必死らしい。現場監督かなにかか?

「ほう?仕事か・・そうだな。仕事だよな。仕事なら俺の身内を皆殺しにしてもいいよな?」

「それは・・」

パン!

ドサッ

男が崩れ落ちる。

《主要の3人を片付けた。頭をとれば反乱の心配はないだろう。これぐらいの見せしめをやったら、この人たちも二度とこんなことしないだろうし・・》

「じゃあ、後の人間は食べなくていいや・・。」

「はい・・」

「ありがとうございます。」

「ひどい事をして申し訳ありません。」

残った15人がホッと胸をなでおろした様子で、気が抜けたようだった。

「じゃあシャーミリアとマキーナでファントムをサポートして、館内を綺麗に片づけちゃって。」

「「かしこまりました。」」

「あっ!毒を食った遺体は大丈夫なもの?」

「ファントムに毒は効きません。」

「ならよかった。」

にいっ、とシャーミリアとマキーナが笑う。

「ありがとうございます。」

シャーミリアとマキーナがバルギウス騎士の遺体を処理しにファントムと入っていく。

俺とマリアは迎賓館を出た。

俺たちが迎賓館の玄関を開けて外に出ると、上空からルピアが降りて来た。

「ラウル様!だいぶうまくできるようになりましたよ!」

「凄いよ!ルピア!上出来だ!」

「ありがとうございます!やった!」

やはり思った通りだった。航空戦力などないこの世界において、飛べる魔人と銃火器の組み合わせは、絶大な力をもつ。シャーミリアの時は特別強い魔人なので、当たり前の戦果に思えたが、ハルピュイアのような非力な魔人が、銃火器により暴力的な強さを誇る戦力になるのだ。

「じゃあ、船から降りた部隊と合流しようか。」

「はい!」

俺たちが動こうとした時、俺の無線機に連絡が入った。

ガガッ

「こちら本隊だ。」

「ガザムです。」

「どうした?」

「マズルが負傷しました。」

「怪我をしたのか?」

「はい。魔法使い集団からの総攻撃を受けました。今は魔法が当たらぬよう小人化しておりますが重傷です。」

「わかった直ぐ行く。」

《そうか・・俺が魔法師団の存在を掌握していなかったばかりに、マズルに怪我をさせてしまったようだ。巨人の体が大きな的になってしまったというわけか・・重量のあるM134機関銃を2門ももたせたのが仇となったな。魔法使いは・・やはり俺たちの脅威となるか。いずれにせよ指揮官の俺の責任だな。》

「今も魔法の集中攻撃を受けております。お気をつけて!」

「どこにいる?」

「港を出て広場を抜けた岩壁に、足止めされています。」

俺がガザムに出した指示は洞窟に集合と言うものだった。実は3年前あの洞窟に残して来たものがある。それを取りに行く予定だったが魔法師団に待ち伏せされていたようだ。

《しかしそんなところに魔法師団がいるか・・あれに気づかれたか?》

俺があの洞窟に隠したのは、レッドヴェノムバイパーから取れた巨大な魔石や牙とウロコだった。あのときはまだ、魔人達が俺たちの味方なのか分からなかったため、穴に隠して大岩で塞いだのだ。その話をルゼミア王にしたところ、危険だから回収してこいと言われたのだった。

「ガザム、そこから後退はできるか?」

「被弾覚悟であれば。」

「じゃあ動くな。」

「わかりました。」

俺はさっそく作戦の立案にうつる。まだ街中に潜伏している兵士がいるかもしれない。とは言え魔法師団の存在がわかった以上、人が少ないと作戦行動が限定的になってしまう。

俺は正門に一人で向かったアナミスに無線で連絡を取る。

「アナミス、単独で行動させてすまない。」

「いえ、ラウル様。こちらは問題なく対応できております。」

「状況は?」

「正門付近にいた200人ほどの伝達部隊と思しき兵は、全て眠らせております。」

《サキュバスの力で眠っているのか・・仲間が迎賓館で大変な目にあっているというのに、外の兵士はいい夢見てるんだろうなあ》

「わかった。まもなく援軍を回す。他に動きはないか?」

「特には・・あの・・」

「どうした?」

「眠っている敵兵の・・精をもらってもいいでしょうか?」

「ああ好きなだけどうぞ」

「ありがとうございます。」

久しぶりの人間の大陸に来て、アナミスもかなりお待ちかねだったらしいな。シャーミリアとマキーナもよろこんでいたし、ファントムもこれで補給が出来そうだ・・

「ご主人様、ファントムの捕食が終わりました。」

《えっ!相変わらず早いな!もう終わったのかファントムの食事!生きた15人を含め館内には40人くらいの遺体があったと思うんだが?》

「シャーミリア、迎賓館の周りにいるやつらを屍人に変えて、グラドラム正門に向かわせてくれるか?」

「かしこまりました。」

うぅうう・・・

あ、あ・あ・

ズ・ズズズ

ズル、ズ・ズズ

倒れた騎士や魔法使いがゾンビとなって立ち上がって動き出した。

それぞれにうつろな表情でグラドラム正門に向かっていくのだった。