軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第869話 ダンジョンの最下層まで

巨大ドラゴンスケルトンを倒して大きな魔石が出て来たので、オオカミ形態のライカンに括り付けた。このまま床に放置して、再びドラゴンスケルトンを復活させられたら二度手間なのでこれが一番いい方法だろう。ギレザムが魔石を見て言う。

「ラウル様。これは恩師様やバルムスが喜びます!」

「でしょ! だからなるべく無傷で手に入れたいんだよね!」

「それであれば、我らの剣も使ってはいかがですか?」

「そうだな、銃火器と併用で良いと思う。デモンなんかよりずっととろくさいし」

「かしこまりました」

奥の扉を通過し下層に降りていくと、また五つの扉があり俺達は迷わず気配の多い部屋を選ぶ。その部屋は、スケルトンソルジャーとリッチの混合部隊で隊列が組まれていた。

俺達が前に進むと、リッチから多数の火球が飛んで来た。しかしカララを連れてきているので、その火球はことごとくアラクネ糸シールドに阻まれ俺達に到達する事はない。そのまま銃を撃ちながら進むと、その階層も難なくクリアする事が出来た。

「若干、難易度が上がって来たな。俺達には魔法使いがいないから、リッチの対処は防御のみか」

するとギレザムが言う。

「あの場合、逆に乱戦の方が我々に有利かと思われます。スケルトンソルジャーは敵になりませんし、リッチは同士討ちになる為魔法を撃ちづらくなります。撃てば自分らの魔法で焼かれる事に」

「次はそうしてみるか。マリアはいけそうか?」

「お任せください。全体的に屍人やスケルトンは行動が遅いようです。むしろ乱戦の方が私はありがたいです」

確かに。マリアには接近戦用の銃格闘術があるからな、次に同様の敵に遭遇したらそうしよう。

その後も順調に階層を潜っていく。基本はアンデッドで他にバリエーションは無さそうだった。それでも工夫して面白くしてくれているので、恐らくダンジョンマスターは真面目な奴なんだろう。。

「次がニ十階層です」

階段を降りて進むとそこには大きく立派な扉があり、やはり十階層ごとにボス部屋が用意されているようだ。その部屋は大理石で出来た神殿のような雰囲気で、俺達が入ると周辺のたいまつが順番について室内が照らし出される。

演出も大分考えたようで、これがボス部屋! と分かりやすくしてくれたようだ。ここでも中央に石碑のような物があり、俺は十階の時と同じようにそれに触れる。

ゴゴゴゴゴとそれが床に沈んでいき、代わりに巨大なものが現れた。

「ゴーレム! と…ガーゴイルか」

巨大化したスラガよりデカいゴーレム一体と、ガーゴイルが十匹ほどその周りを飛び回っている。俺は再びM777榴弾砲を召喚してデカいゴーレムにぶっ放した。

ドゴォ! とゴーレムのボディを抉ったが、すぐにゴーレムの体から飛び散った石が集まって壊れた部分を修復してしまった。

「ありゃ、治っちゃった」

ゴーレムのパンチが俺に振って来る。

「おっとっと!」

それを避けて後ろに飛び、M777榴弾砲は破壊されてしまった。そして俺はマリアに言う。

「マリアは後ろに下がろうか」

「はい」

マリアが後方に下がるのを確認して、俺はカララを呼んだ。

「はい」

「あれを爆破してみよう」

「かしこまりました」

ゴーレムは周りに群がる魔人達を振り払うようにブンブンと腕を振り回す。ガーゴイルも剣を持っていて、四方から魔人に向かってヒットアンドアウェイを繰り返していた。俺がカララの肩に手を置くと、カララの糸がスルスルとゴーレムに伸びていった。ゴーレムは魔人たちに気を取られて、カララの糸には気が付いていないようだ。

《みんな、離れろ》

魔人達が一斉にゴーレムから離れたので、ゴーレムにまとわりついたカララの糸から信管付きのC4爆弾を召喚した。

ズドン! と爆発し、カララが俺とマリアを爆風からアラクネの糸で守る。

「どうかな?」

煙が晴れると、ゴーレムが体のあちこちを砕けさせながら立っていた。しかし次の瞬間、飛び散った石や破損した大理石までも集めて体を修復していく。

「あらら。治るんだ?」

するとマリアが俺に言う。

「ラウル様。きっと何か方法が隠されているのだと思います」

「復活させない方法か…」

俺の側にはマリアの他にシャーミリアとファントム、カララと魔石を背負ったライカンがいる。ギレザム、ゴーグ、マキーナ、アナミス、そして九人のライカン達がゴーレムとガーゴイルを相手していた。

「初めてのダンジョン攻略でよくわからないけど、どうしたらゴーレムの復活を止められるかな?」

するとシャーミリアが言う。

「恐れ入りますが、全員避難をさせて部屋ごと爆破してはいかがでございましょう」

「却下。それはずるいよね、ちゃんと攻略したことにならない」

「も、申し訳ございません!」

「いや…でももしかしたら…」

マリアが俺に聞いて来る。

「何か思いつきました?」

「ああ。いい事思いついた! マリア! 周りをブンブン飛んでいるガーゴイルを狙撃で落とそう。カララはマリアに攻撃か来ないように防いで」

「わかりました」

「かしこまりました」

俺はすぐにマクミラン TAC-50スナイパーライフルを用意して、マリアに渡してやる。

「ファントム! しゃがめ」

ファントムがしゃがむと、マリアはファントムの肩にマクミラン TAC-50スナイパーライフルの足をかけた。そしてすぐに一匹のガーゴイルを撃った。

ズドン! するとガーゴイルは頭を爆散させて床に落ちる。

「一、二、三、四、五、…」

俺はガーゴイルが落ちてから数を数え始めると、きっちり三十秒でガーゴイルが復活して飛び始めた。ゲーム的な発想で言えばそこに答えはある。

「よし! なんとなくわかった」

するとマリアが聞いて来る。

「どうなさいます?」

「あのブンブン飛んでいるガーゴイルを三十秒以内に全部落とせるかい?」

「やってみます」

動的な物体に対してスナイプなんて出来るやつはいないが、マリアは神の領域に達したスナイパーなのでそれが出来る。連続スナイプで次々にガーゴイルを落として言った。

《皆! 最後のガーゴイルが落ちたら榴弾砲をぶち込むから離れろ》

《《《《《《《《《《は!》》》》》》》》》

マリアは二十六秒で全てのガーゴイルを落とす事が出来た。俺は新たに召喚したM777榴弾砲をゴーレムにぶっ放し、すぐに次弾を装填し続けざまに撃った。

ガゴン! ガゴン!

ゴーレムは穴をあけながら立っている。

「あれ? ダメ?」

俺がそう言った次の瞬間だった。巨大ゴーレムがガラガラと音をたてて崩れていく。どうやら三十秒以内に全部倒せばクリアのルールだったらしい。

「はは。こんなん人間にクリアできんのかね?」

「いずれにせよ。ズルはしてないですよね?」

そう言うマリアのチートスナイプがズルのような気もするが、俺は何も言わない事にする。そして今度はシャーミリアが言った。

「ご主人様。ゴーレムであれば使役返しが出来ませんので、私奴も戦闘に参加したほうがよろしいでしょうか?」

なんだろ? マリアのチートスナイプはズルじゃない気がするけど、このくらいの難易度でシャーミリアを使うのはズルのような気がする。するとカララが言った。

「あら? シャーミリア。たまには見ているだけも必要じゃない? ラウル様はあなたに戦ってほしく無い様よ」

「カララには聞いてない、黙りなさい」

俺がシャーミリアに答えた。

「シャーミリアは万が一の為に俺の側に居てくれ。俺を守るのが仕事だろ?」

「はい! もちろんです!」

「なら俺の側で見守るのも大事だよ」

「かしこまりました」

とりあえずシャーミリアをなだめ、俺は壊れたゴーレムの所に向かう。するとそこに、欠けてはいるが大きな魔石が転がっていた。無傷で入手する事は出来なかったらしい。

もう一人のライカンにオオカミ形態になってもらい、その魔石を体に縛りつけた。

「ギレザム。でっかい魔獣を狩りまくらなくても良いなんて、めっちゃ効率良いと思わないか?」

「はい。ただ…上限なく魔石は出て来るものなのでしょうか?」

「神だし出してくれるんじゃないのかな? 虹蛇の神殿にはダイヤモンドの鉱石が大量にあったけど、あれはたぶん虹蛇が出してた。あとアトム神は魔石を作って、エドハイラを閉じ込めてたよね? たぶん何らかの方法で生成できるんじゃないか?」

「デメール様はお作りになれるのでしょうか?」

「たぶん、彼女は力が無くて無理かも」

よく考えると今までの神殿にはそれっぽいものがあった。龍神の海底神殿にはゴーレムがいっぱいいたし、精霊神のナブルト洞窟の上空には黒い球がくるくるまわっていた。虹蛇のスルベキア迷宮神殿には魔石じゃなくてダイヤモンドだらけで、あのアトム神の巨大魔石が最たるものだ。

そう考えると俺は期待で胸が膨らんで来た。もしかしてこのダンジョンを生成しているダンジョンマスターは、魔石を生み出す事が出来るかもしれない。それが可能なら魔人国は飛躍的に近代化する。俺はがぜんやる気が出て来た。

「よーし! どんどん進むぞ!」

二十階層のボス部屋を過ぎると、難易度は上がっているもののクリアはしやすかった。ゴーレムとリッチとスケルトンソルジャーが混合で出てくるため、総合力が無いと進むことは無理だろう。俺達魔人は元々がチートな為スムーズに進むことが出来ているが、人間にこのダンジョンの攻略は無理かもしれない。

そうしているうちに三十階。

「やはり十階層ごとに主の部屋を設けているようです」

「だけど、そろそろモンスターのバリエーションが乏しくなってきた」

「そうですね」

「間延びしてたダンジョンを濃縮した感じだから、ネタ切れなんだろうと思うけど」

「なるほど」

俺達は三十階の扉を開けた。そこはやはり大理石風の部屋だったが、今までよりもかなりの広さがある。遮蔽物も用意されており、今までとは明らかに感じが違う。

俺達が中に入ると、突如中央の石碑に文字が浮かんで来た。

よくぞここまでたどり着いた。この階を突破出来れば、お前達は真の勇者となる。最後の試練をとくと味わうがよい。

「おお! ラスト! じゃあここが大ボスの部屋って事だ!」

その文字が記された石碑が沈んでいき、次々に床からモンスターが浮かび上がってくるのだった。ドラゴンスケルトン二体と大型ゴーレム二体、ガーゴイル多数、リッチ十体、スケルトンソルジャー多数。その後ろに恐らくはキマイラのゾンビがいる。そしてさらに最奥には物凄く立派な法衣を着たリッチが座っていた。

試しに。

「マリア。あの奥の偉そうなやつを狙撃して」

「はい」

ズドン! スッ! マリアの撃った銃弾はその法衣を着たリッチを通り抜けてしまった。

魔法か何かで投影されているようだ。大ボスだとは思うが、どうやらここに実態はないらしい。

「みんなの装備を変えよう。シャーミリアもファントムもここから参加して良いぞ」

「「「「「「「「は!」」」」」」」」

《ハイ》

最後と思しき部屋で、大軍を前に俺達は全ての装備を入れ替えるのだった。