軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第08話:武器の隠し場所

弾召喚以外の魔法が出せないことがわかった俺は、ふと気がついたことがある。

そもそも弾や武器をだしてもどこに隠すの?

隠し場所を探さないと召喚の実験できないぞ…

その日の午後はまた1人になった。

玄関から外を見るとあいにくの曇り空だった。イオナとマリアは庭の手入れを始めていた。大きな麦わら帽子と作業用の服に着替えた2人は町民のようだ。長袖長ズボンで日焼け対策はバッチリだ。

イオナは貴族の娘なんだよな…俺が思い浮かべる貴族のイメージからは程遠いな。気品があるから只者ではないとは思うのだが剪定ハサミを持っている姿は貴族という感じはしない。

そんな格好でも顔とスタイルは抜群なので、綺麗すぎる庭師としてテレビでひっぱりだこになりそうだ。

マリアも同じ恰好をしているけどかわいいな。イオナの側に仕えているから、見劣りするようだが前世ならば間違いなくモテモテのはずだ。美少女というやつだな。

とにかくこれは隠し場所を探すチャンスだ。

家のあちこちを見回る事にした。まずグラムのフルプレートアーマーが飾ってある部屋に直行だ!まず武器を見なきゃだろ。

部屋の前についてガッカリ。

錠がかけられていたからだ。そういえば貴重な名工の刀もあるとか言ってたな、そりゃ鍵は当たり前だ。

「それだけ大切なんだろうな。」

いったんエントランスに戻り仕方なく他の部屋を見て回る。

エントランスから応接室に入るドアがある。反対側のドアをあけるとこちらは広めのホールになっている。その奥が台所でリビングと続く。

応接室は絨毯が敷かれテーブルがあり柔らかそうなスエード調のソファーがおいてある。壁にはデカい油絵が飾られており、棚には高そうな酒の瓶や高そうな絵皿や金に縁取られたティーカップが置いてあった。見た感じきっとイオナの趣味なのだろう。

「ここは隠しておけないな…」

しかし俺はそれらの物にはまったく興味がなかった。

他の部屋も見に行く。

両親の寝室前の対面の扉を開けると風呂場があった。そういえば俺はこの2日間は体を拭いてもらっただけだったが風呂があるんじゃないか!入りたい!さっぱりしたい!

マリアに言って風呂の準備とかしてもらえるだろうか?

風呂の隣には物置があった。物置には物がいっぱいあったがキレイに片付けていた。ここから奥には部屋はない。

「隠せそうにない。」

弾を自分の部屋に置いていたら、いつかは部屋の掃除をするマリアに見つかってしまいそうだ。

今のところ物置が有力候補だが、めちゃくちゃキレイに整理整頓してありうまく隠せそうにない。

とりあえず俺は2階に上がった。

マリアの部屋と俺の部屋があり、その対面に部屋が2つあったがどちらにもシングルベッドが置いてあった。おそらく客が来た時に泊める部屋だろう。

廊下の逆側に進んでいくと幾つかドアがある。最初に開けた部屋は書斎だった。本棚には本なんかも置いてあり1番下にある本をとってみた。字が分からなくて全く読むことが出来ない。字を覚えたら読んでみたいが武器大百科などはあるのだろうか?

手が届く下の段を端から順番に見たがそれらしいところは無かった。とりあえず書斎を出て隣に入った。

隣の部屋を見るとイオナの部屋だろうことがわかる。テーブルと4脚の椅子そして壁際に豪華な3面鏡が置いてあった。その脇にある棚には宝石や人形が飾られていた。ここにもベッドがあるが凄く立派なベッドだ。

《なぜいつも下の部屋で寝てるんだろう?そもそも下の両親の寝室は位置的におかしい気がするが、まあ特に理由がありそうではないな。》

他には特になにか見るべきところはなさそうだ。

その対面の部屋は衣装部屋だった。沢山のドレスやタキシード、靴やブーツ、箱に入った帽子やカバンなどが所狭しと並んでいた。ハンガーラックがずらりと並んでいて、服が部屋いっぱいにあって前世のレンタルドレス屋さんのようだった。

「見つけた!」

ここならば隠せる部分が沢山ありそうだ。ものがいっぱいだった。

しかしさすがイオナは良いとこのお嬢様だっただけはある。先ほどの宝石といい衣装といい凄いものを持ってそうだ。お父さんに甘やかされたと本人も言ってたが甘々だ。貴族の知識はないが男爵である父がこれらの財を成すことは出来ないと思う。

とにかく!ここなら弾の隠し場所くらいいくらでもありそうだ。当面はここに隠すとしよう。

「よし!」

何がよし!なのかは分からないがとにかく隠せる場所が見つかったので後は実行するのみだ。

ガチャっと部屋を出たらイオナと目があった。美人すぎてドキっとする。

「あっ。」

「あら?ラウルそんなところにいたの?」

「は、はい。遊んでました。」

とっさに出た言葉だった。

「なんの遊びかしらね?」

イオナが微笑みながら聞いてきた。

「家の中の探検です!」

「小さな冒険者ね」

「魔物はいなかったよ」

俺は何を言っているんだ。

「見回りご苦労様です」

イオナがいたずらっぽく笑って言った。

切り抜けた!どうやら子供のいたずらだと思ってくれたらしい。というかどう見ても子供のいたずらだよなあ。俺が3才ということを忘れてしまう。

「お父様の話を聞いて影響されちゃったみたいね。」

「ははは」

くしゃくしゃっとイオナに頭をなでられた。

俺はイオナに聞いてみたいことがあった。

「母さんこの部屋には洋服がいっぱいあったよ。全部父さんと母さんのだよね?」

「ほとんど私のだけど、あなたの服もあるわよ。」

「そうなんですね。こんなにいっぱいどうしてあるんですか?」

「ほとんどが贈り物か実家から持ってきたものなのよ。多すぎて処分したいのだけど贈り物ですからね…」

さすが話題になるほどの美人は伊達じゃない。贈り物で部屋がいっぱいになるのね。

「家では着ないのですか?」

「ほとんど着ていないわね。社交会に行く時か正式な場所に出るときに着るくらいよ。」

「きれいな色の服がいっぱいあるのに。」

「うーん。そうね急な来客がある時に着ていたほうが良いのかも知れないんだけど、窮屈だし重いしあまり好きじゃないのよね…」

なるほど。やはり自由な人だ。

「あとは…」イオナが続けた。

「王都にいる時だけだからね、この部屋の服を着るのは。」

「えっ?」

どゆこと?

「ああそうか。ラウルは赤ちゃんだったから分からないのかな?」

何を言っているか話が見えない。

「サナリア領に帰ればここの服はほとんど着ずに領の家にある服を着るわ。ほとんどグラムにもらったものか自分で買ったものだから向こうの服は全部好きなの。」

「サナリア領って?」

「グラムお父さんが治める領よ。」

え!領を統治してるんだ!そうなんだ。そうだよね貴族だもんね領地あるよねー。てことは領からの税が収入源て事かな。てっきり城で働いてる人だと思ってた。

「この家はなんなの?」

「王様より御下賜された家よ。」

あーなるほど社宅みたいなもんかな?でも貰ったって感じの意味だよな。何か国に貢献したってことかな?

考えているとイオナが言った。

「王都での家は確かにここなのだけど、やっぱり私はサナリアが良いわね。自然が無くて物足りないわ。」

「領は今どうなってるんですか?」

「代官が管理しているわ。」

なるほどー、お代官様ってやつか。ということは兵士とかもいるんだろうか?グラムの配下ってことだよな。

「僕も行ってみたいな。」

「当然、お父様のお城での仕事が終われば戻るわよ。」

「いつ頃ですか?」

「夏になる前には帰ることになるんじゃないかしら。お父様のお仕事次第よ。」

「それは楽しみです。」

なるほど。じゃあクローゼットに弾を隠しておくのは考え直さなきゃいけないな。

「領に帰ったらこの家はどうなるんですか?」

「ナスタリア伯爵家の方で管理してもらっているわ。」

「母さんの家の方で?」

「そうよ。使えるものは使えよ。」

笑顔で言っている。イオナって本当にしたたかだ。

とにかく俺の弾の隠し場所はまた探さなくてはいけない。魔法の検証をしたいのだが、とりあえずここにいるあいだはこのクローゼットに隠そうと思う。あんまり使っていないそうだから好都合だ。

その日の夜はグラムは帰ってこなかった。出張かな?遠征っていうのか王城でなにかあるのだろうか?今日もひとりで寝ると言ったらイオナは、

「あら、強くなったのね。母さん少し寂しいわ。」

と寂しさを全面に出して言っていた。

すまん。子離れしておくれ…イオナよ。…まだ早いか。

隠し場所も見つかった。

今日も寝る前に部屋で魔法の検証だ。何をしたいかと言うと弾丸以外の武器召喚に挑戦しようと思う。とにかく欲しいと思うイメージが大事だ。恐らく昨日、魔力が増えたはずだ。手応えはあった。

他の物を呼び出せるのならば、かなり可能性はひろがるはずだ。

自分の部屋に行き布団にもぐる。そして集中力を高めるように瞑想してみる事にした。とにかく気を鎮めよう。

俺は前世の最後の日を想像した。

そうあの全てを変えた運命の日を。するとサバゲーの光景が蘇ってきた。そうだ俺はミリタリーオタだった、武器が好きでサバゲにのめりこんだんだ。そして…戦争映画が好きだったはずだ。

そうだ戦争映画だ。死ぬほど見た。俺はどうしても見たい戦争映画は映画館に1人で行く。イメージの映画館の前にはいろんな映画のポスターが貼ってあった。

するとひとつの戦争映画のポスターが目に浮かんできた。あー懐かしい!戦争映画にハマるのなんか友達の中では俺だけだったな…

そのポスターでは主人公がファイティングナイフをにぎっている。

カッコ良すぎる。握っているナイフは…

オンタリオ OKC-3S bayonet

自動小銃にも着脱できる銃剣だ。イカしてるぜアメリカ軍も採用しているナイフだ…

すると、また暗い闇の中にファイティングナイフが浮きあがってきた。背景が消えナイフだけが質感もしっかりしてそこに実際にあるように見える。

おお!これ手にしてみたかったんだ。日本じゃ法律上輸入できないナイフなんだよな。

はっきり見える。

手を伸ばして触れてみるとストンとした感触。やった!成功だ!

目を開けてみると股の間のベッドに突き立っている軍用ナイフがあった。

危ねぇぇぇ

玉に刺さるところだった。召喚するときは最善の注意を払わねばならない。

あやうく玉なしになるとこだった。

とにかく武器召喚は成功だ。

心置きなく眠るとしよう。今日は魔力枯渇じゃなく…普通に…

満足して眠った。