軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第692話 フレイムデモン駆除

俺達はM1エイブラムス戦車で、大量にフレイムデモンを消去しながら地下道を進んで来た。魔石が浮かんでいる地下講堂に到着する頃には、フレイムデモンもその数を減らし追加でやってくる奴もいなくなってきたようだ。

「やっと…やっとフレイムデモンの後続が切れて来たようですね」

俺が言う。いつまで攻撃し続ければいいのかが分からない状況に辟易としていたのだ。

「どうやら敵さんは、この場所に全部のフレイムデモンを集めていたようじゃな」

モーリス先生の言う通りかもしれない。

「まるで私たちが、ここに戻ってくる事が分かっていたようです」

「やはり敵の目的はアトム神という事なのじゃろうな」

サイナス枢機卿の意見にも同意だった。

「間違いなくそうですよね。これほど抵抗があるという事は、よほどここに戻って来られたくない何かがあったのだと思います」

俺がこの地下で戦った時と基地へと押し寄せてきていたフレイムデモンの数を考えれば、これでほぼ打ち止めじゃないかと思えた。

「この中はとにかく狭くて息苦しいのう」

狭い戦車内に一人定員オーバーしているため、かなり無理な姿勢を強いられてきたサイナス枢機卿がつぶやく。俺は操縦席に座っていたのでそれほど感じなかったが、射手と装填士とプラスアルファいる車内は確かにギチギチだ。モーリス先生もサイナス枢機卿もほっそりしているので、どうにか入れているだけだ。

「すみません四人乗りですので」

「いや、文句を言うわけではないのじゃ」

「なんじゃサイナス!歩いてこいと言われんだけでもよいじゃろ!」

「なんじゃ!ジジイが歩けばよかったじゃろ!」

「なんじゃと!」

「おじいちゃんたち!!」

アウロラに叱られ、モーリス先生とサイナス枢機卿がシュンと静かになった。

「さて、あの入り口を入れば地下講堂、魔石が浮いている部屋です」

「まだデモンはおるかの?」

「分かりません。ですが既に後続が来なくなったので、いない可能性もあります」

デモンがいようが居まいが、ここまで来てしまったのだから行くしかない。

「私はどうしても行かなきゃいけないの!」

アウロラが言う。

「わかった。その前に俺とマキーナが偵察してくる」

「ご主人様、私だけでもよろしいかと」

「いや、俺が状況の把握をしたいんだ。万が一の時は一目散に逃げてこればいい」

「かしこまりました」

「では、皆さんはここに残って、私が出たらハッチを締めてください」

「わかったのじゃ」

俺とマキーナがM1エイブラムス戦車をでて装備を整える。

俺は接近戦を想定しアメリカネイビーシールズが使う自動小銃、Mk 14 EBRバトルライフルを召喚した。コンパクトに設計されており7.62x51mm弾を毎分750発の速度で射出する。マキーナにはShAK-12アサルトライフルを渡す。アサルトライフルでは6㎏と重めだが、さらに威力の高い12.7×55m弾を毎分500~750の速度で射出する。

いつもマキーナが使っているM240中機関銃は12.5㎏もあり、バックパックも合わせると30㎏の重量になってしまう。シャーミリアならともかく、マキーナ本来の高速移動のためには少しでも軽量化をしてやるのが得策だった。

「行くぞ」

「は!」

俺とマキーナは壁に沿うように先へと向かっていくのだった。

ギァス!と叫んで残骸の中からフレイムデモンが飛びあがって来た。それを俺がMk 14 EBRバトルライフルで撃ち落とした。やはり咄嗟の時には軽めの武器がいい。俺とマキーナが慎重に先に進んでいく。中にはぴくぴくと生きているフレイムデモンもいたが、ひとつひとつ丁寧に殺していくのだった。

地下講堂への入り口に到着し、入り口の両側の壁に体をつける。

《俺が先に入る。援護を頼む》

《かしこまりました》

俺が先に入り口から入り、後ろからマキーナがついて来る。俺に何かあっても瞬時に対応できるようにだ。入り口の通路の終わりに差し掛かり、俺はまた壁に体をつけて中を見る。

《マキーナ、なぜか4体のフレイムデモンが手すりの上にいるぞ》

《罠でしょうか?》

《どうだろう?全く動かないんだが》

《殺しましょう》

《分かった》

俺達はさっと入り口から中にはいり、すみやかにアサルトライフルで4体のフレイムデモンを始末した。

《これで終わり?》

《いえ、気配はしますが…ここにはいないようです》

《さっきまであんなに突撃をくりかえしていたのにな》

周りを警戒しながら、俺とマキーナが踊り場の手すりまで滑り込む。

《下で気配がします》

《了解だ》

すぐさま軍用のペリスコープを召喚する。ペリスコープとはいわゆる潜望鏡だ。頭を出して双眼鏡をのぞけば頭を撃ちぬかれるため、壁や障害物からのぞく時に使うスコープだった。

《いる…》

《やはり…》

《床一面にびっちりと…生みつけられた卵みたいにいて動かない》

正直、蛾の卵が産みつけられているようで気持ち悪い光景だ。

《待ち伏せでしょうか》

《ロケットランチャーをぶちかましてみるか…もしこっちに襲ってきたらすぐに戦車まで戻ろう》

《かしこまりました》

俺はパンツァーファウスト3を召喚して、スッと手すりの上から顔を出して構える。

《来るかな…》

《どうでしょうか》

バシュゥ!パンツァーファウスト3から勢いよくロケットが飛び出して行った。床のフレイムデモンに着弾し爆発を起こして、周りのフレイムデモンを四散させながら勢いよく吹き飛ばした。

《どうか?》

・・・・・・・

どういう事だろう。フレイムデモン達はその穴を埋めるように集まり、何事も無かったように動かない。空いた穴を補っただけのようにみえた。

《マキーナ、フレイムデモンが動かないぞ》

《どういう事でしょう?》

《わかんないけど…もう一発》

再びパンツァーファウスト3を召喚して撃ち込む。だがさっきと全く同じように、殺されたデモンの穴を塞ぐように集まっただけで動かなかった。

《来ないぞ》

《分かりやすいですが…》

《なんだ?》

《待ち伏せではないでしょうか?》

《待ち伏せ?》

《もう手数が無くなって、下に降りた者を殺すつもりではないかと思います》

《…なるほどなるほど…じゃあやる事は決まった。マキーナはここで見張っていてくれ。もしデモンが上がってきたら引け》

《は!》

俺は急いでM1エイブラムス戦車に戻り、ハッチをあける。

「フレイムデモンがビッチリいます」

「なんじゃと?」

「でも待ち伏せしているようで動かないのです」

俺はM1エイブラムス戦車に乗り込み操縦席に座り、部屋に向かって進めるのだった。入り口は少し狭いらしく思いっきり加速してツッコむと壊れて広がった。

「すみません。少し揺れました」

「どうなったのじゃ?」

「少しこすっただけです」

「そうか」

部屋に入るとマキーナはそのまま見張っていた。

《動きは?》

《ございません》

《よし》

俺がM1エイブラムス戦車から外に出た。

「マキーナ、どうせ来ないんだから念話じゃなくてもいいぞ」

「かしこまりました」

「これからあいつらを駆除する。もししびれを切らして上に上がってきたら戦車に乗り込もう」

「は!」

「おにいちゃん!」

戦車のハッチの上から声が聞こえる。

「アウロラ!まだ出て来ちゃダメだ!」

アウロラがハッチの上から上半身を出している。

「そうじゃないの、あの敵はおもいっきりやっちゃっていいよ。と伝えたかったの!」

「おもいっきり?」

「ここにきてはっきり声が聞こえるようになったの!そのまま言うと、この結界はその攻撃ではびくともしないから、おもいっきりやっていいんだって!」

「アトム神か?」

「うん」

「フーン…じゃあわかった。マキーナ!戦車に乗れ!アウロラはハッチをあけててね」

「かしこまりました」

「わかったー!」

マキーナがM1エイブラムス戦車に乗り込むのを確認して、俺は手すりの所まで行った。講堂の床まではかなり距離があるから、いきなりデモンが這い上がって来ても十分逃げ出せる。俺は手すりの上から手を差し出して、MK.81スネークアイ119kg爆弾を召喚して床に向けて落としてやる。急いでM1エイブラムス戦車に戻ってハッチを締めた。

ゴゴォォオン!という爆撃音と共に車体が揺れる。44kgの炸薬が大爆発を起こしたのだった。

「どうかな?」

戦車の窓から外を見ても煙で何も見えなかった。恐らくは地下講堂を破壊してその粉塵が舞い上がっている事だろう。

「みなさん。しばらくおまちください」

「ふむ」

「わかったのじゃ」

「煙で見えませんね」

しばらく待つ。

「そろそろいいかな?」

「では私が確認してまいります」

マキーナが戦車から出て手すりまで行って確認をする。

《ご主人様、成功です。半分以上が消えました》

《よし!》

それならもう心配ない。

《マキーナ。そこに主砲を撃つから射線をあけろ。被害の及ばないところまで移動してくれ》

《は!》

「じゃあ先生、あの手すりに向かって一発」

「わかったのじゃ」

ドゴォ!M1エイブラムス戦車の120㎜主砲が炸裂し、手すりの一部が無くなった。

「よし」

そして俺はアメリカ軍のM50ガスマスクを召喚した。それをかぶってみんなに伝える。

「掃除してきますのでコホー、もう少々お待ちください。コフーコホー」

「わかったのじゃ」

そしてすっかり手すりが無くなった踊り場に向かった。

《マキーナ手伝ってくれ》

《は!》

俺は手すりが無くなって見渡せるようになった場所に行く。

「コホーコフー」

粉塵が舞い上がっているので、それを吸い込まないようにマスクをかぶったのだがちょっと苦しい。そして俺はM134ミニガンと台座を召喚した。そしてビスを召喚してマキーナに伝える。

「このビスで台座を床に固定してほしい」

「かしこまりました」

マキーナが拳骨トンカチで一発ビスを叩くと根元まで入った。シャーミリアやファントムほどではないが、マキーナも人外のパワーがあるのでありがたい。

「よし」

そして俺はまるでヘリの機銃の台座に座るようにしてM134を構えた。キュィィィィィィ!ガガガガガガガガガと床にびっしりといるフレイムデモン達を掃除していく。

「サクサク感がたまらん…」

綺麗にフレイムデモンが倒れていくのが何とも言えず快感だった。俺の感覚もとうとうここまで来てしまったらしい…

キュウウ…とM134ミニガンを止めた。

本当は爆撃で殺した方が良かったのだろうが、酸素が無くなってしまうとこの後の行動に支障が起きるためこの方法を取ったのだった。

「綺麗になった」

「はい」

「すまんがマキーナは上空から、まだ生きているであろうフレイムデモンを掃除してくれ」

と言って、マキーナの得意武器M240中機関銃とバックパックを召喚した。マキーナはそれを装備して踊り場から、地下講堂へと飛ぶのだった。早速、煙の奥ではM240の掃射音が響いて来る。

ガパン!と俺はM1エイブラムス戦車のハッチをあけて言う。

「皆さん。出ていただいてよろしいかと思います」

「はーい!」

「うむ」

「ようやく出れるのか!」

「わかりました」

アウロラ、モーリス先生、サイナス枢機卿、カーライルが戦車から出て来た。粉塵もおさまってきたため、俺もガスマスクを外す。

《ご主人様。フレイムデモンの反応はすべて消えました》

《了解だ》

「フレイムデモンは全て消しました」

「おにいちゃん!」

「ん?」

「たぶん。私がここに来るのをなんとしても阻止したかったんだと思う」

「という事は、アウロラのことが相手にバレてると?」

「よくわからないけど、たぶんそうじゃないかな?」

「…わかった。それでどうするんだ?」

「あの魔石の下に私を連れて行って!」

「わかった」

《マキーナ戻れ!》

アウロラの言葉を聞いてマキーナをすぐに戻らせる。

《は!》

マキーナがすぐさま俺達のもとに戻ってきた。

「俺達が下におりる!護衛しろ」

「は!」

「ならば、わしが結界をはろう」

「お願いします」

モーリス先生が結界を張り、俺達はそれに包まれながら階段を降り始めた。既に粉塵はだいぶおさまっており、地下の奥ではあの巨大魔石が光っているのが見える。

一体なぜアウロラなのか?俺の疑問はそこに集中していた。

《あのアトム神が何か変なことしなきゃいいんだけど》

《その時は私が始末を》

《いやー、神殺しはまずいだろ》

《かしこまりました…》

マキーナとこそこそ話をしつつ、俺達は警戒して下へとむかうのだった。