軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第475話 デモンの事情聴取

なんと俺はデモンを配下にしてしまった。

最初はキチョウカナデを使ってデモンを使役出来るかどうかの実験をするつもりだった。しかし術を使った途端に俺が気を失い、気がついたら修復していたアスモデウスのほうから俺に従いたいと言い出したのだ。

「ラウル…。」

オージェがジト目で俺をみている。その理由は…俺がキチョウカナデを犠牲にしようとしていたのを知ったからだ。万がいち何かあった場合、俺はキチョウカナデを処分しようとしていたので、人道主義者のオージェがこんな目を向けて来ている。

「ははっ…結果オーライだ。」

「俺は何も言わん。」

そのやりとりに、当の本人であるキチョウカナデはポカンとして聞いている。もちろん自分の事を話していると分かっていない。

「さて。」

そして今、そのアスモデウスを囲んで情報を聞き出そうとしているのだった。

「アスモデウス。お前さっき言ってたよな?契約があるからお前を差し向けたヤツをバラせないって。」

「確かに言いましたが、君主様の前に血の契約などあって無いようなもの。さらに君主様がその呪縛を解いてくださいました。もう誰にも干渉される事はございません。君主様の御前において全ての契約は無意味なのです。」

「俺が解いた?」

「はい。一声です。」

うーんと。さっきの配下になれってやつ?そんなんで?違うかな?

「まあいい。」

「広き御心に感謝いたします。」

「あとさ。頭は上げたままでいい。」

「めっ滅相もございません!君主様のお姿をこの穢れた目に映すことは不敬にあたります。」

アスモデウスは一度頭をあげて、再び床に擦り付けるように頭をさげた。しかしこんなん話づらくて仕方ないわ!

「じゃあ俺から目を逸らしておけばいい。」

「ではこの醜い顔を晒しますこと、ご容赦ください。」

おいおい…イケメンさんよぉ…皮肉か?あてつけか?俺に喧嘩売ってんのか?

「は、ははぁっ!」

俺のオラオラモードを感じとってしまったらしく、アスモデウスは再び床に額を擦り付ける。

「ラウル。話が進まない…。」

オージェが呆れ顔で言う。

「あ、ああすまん。とにかく顔あげろ!命令だ。」

「はっ!」

アスモデウスは俺の顔を見ないようにして顔を上げた。

「それでいい。」

「はっ!」

「で、お前を俺に仕向けたやつは、なにもんなんだ?」

「デモンです。」

「名前はあるのか?」

「マルヴァズールと言う三下です。」

「三下?三下なのに何故お前は言う事を聞くんだ?」

「血の契約にございます。」

「なんだそれ。」

「はい。私共は通常この世界に肉体は持ちません。」

「魂とかでいるって事?」

「そういう物でもございませんが、存在そのものが他の世界にいるのです。」

「他の世界?」

「デモンの世界です。」

「デモンの世界か…それで?」

「大量の人間を糧にこちらの世界に肉体を得ることができます。一番最初に何らかの原因でマルヴァズールが受肉して呼び出されたようです。」

「そのマルヴァズールとか言うやつの身分は低いんだろ?」

「はい、下々の者でした。」

「それなのに従わなければならないのか?」

アスモデウスはほんの少し苦い表情を見せるが淡々と言う。

「受肉するにあたり契約が交わされます。その誓約が果たされるまで契約は継続します。契約を破る事はできません。」

「お前はその契約を破れたと?」

「私が破ったのではありません。君主様がその契約を反故にしてくださいました。」

「俺が何かやった感じはないんだが?」

「最高権限によりの解除ですので、何者もこれに反意など申し立てする事は出来ないのです。」

「最高権限?」

「君主様の権限です。」

どういうことだろう?アドミニストレーター的な?えーっと、何を言ってるのかさっぱり分からない。俺がバカだと思われるのも癪だし質問を変えるとしよう。

「受肉させたそのマルヴァズールとやらに何を命ぜられた?」

「このマルヴァズールが占領した聖都の防衛、及びこの青い魔石を守護する事です。」

俺達は一斉に頭の上に浮かんでいる巨大な青い魔石を見る。青く光ってただそこに浮かんだままあたりを照らしていた。ゆるく回転して微妙に回っているようだ。

「その任から解かれたと?」

「強制解除かと思われます。」

「なるほど。」

まあなぜそんな事になったのか分からないが、権限が俺に移ったと思えばいいのかな?俺の系譜に入っているのは間違いないからな。事実は事実として受け止めておこう。

「それでお前はここで待ち構えていたわけだ?」

「はい。」

「この巨大な魔石は何だ?」

「申し訳ございません。これの詳細は聞き及んでおりません。」

「なら、なぜこれを守る事になったんだ?」

「あ奴らはこれを使って何かを企んでいたようです。」

「何かを企てていた?」

「はい。」

「何をだ?」

「申し訳ございません。その件に関しましても興味が無かったため聞き及んでおりません。」

なるほどなるほど。ここの防衛とこの魔石を守る契約以外は、マルヴァズールとか言うデモンがやっている事などに興味が無かったって事か。下々の者がやってる事なんてどうでもよかったんだろうな。

「あ奴らと言うと複数か?」

「アブドゥルという矮小な人間です。」

ああやっとその名前が出て来た。

「大神官と呼ばれたヤツか?」

「左様にございます!さすがは君主様!既にお耳に入っておりましたか。」

「まあそうだが、そいつ以外には?」

「もう一人…おそらくはもう一人いたと思うのですが、申し訳ございません。興味が無い為にそこまで詳しく存じ上げておりません。」

「見たことは?」

「深く頭巾をかぶっておりましたが、マルヴァズールと居るのを見たことが御座います。」

「どんなやつだ?」

「背丈は高いかと思います。はっきりとは見ておりませんが肌の色が黒かったと思われます。」

「肌の色が黒いか。」

「はい。」

「わかった。」

俺は腕を組んで考える。

今まで得た情報の中にそんな奴いたっけかな?誰かの話に出ていたようなそうでもなかったような。うん…思い出せない。

「俺からいいか?」

オージェが言う。

「アスモデウス答えろ。」

「は!」

「マルヴァズールとアブドゥル、そしてその謎の男は今回の攻撃で死んだのか?」

「いいえ。あ奴らは逃げおおせました。そもそも頭巾の男は既に聖都にはおりませんでした。」

「どこに行った?」

「あらかじめ設置した転移魔法陣で、隣の部屋からどこかへと消えました。」

「カララ!シャーミリア!部屋を調べろ。」

「「はい。」」

すぐに二人に指示を出すと、一瞬でその場から消え去って隣の部屋に向かった。

「そいつらの行き先は分かるか?」

「お役に立てず申し訳ございません。それも興味が無く聞いておりませんでした。」

「そうか。」

オージェが知りたい内容もアスモデウスは知らなかった。

だが…まてよ。

「オージェ。肌の色が黒いってことは北の人間じゃないのかも。」

「そうか?ダークエルフだっているだろ。」

「ああ…それもそうだな。」

「君主様。よろしいでしょうか?」

オージェと俺の会話を聞いたアスモデウスが恐る恐る発言する。

「なんだ?」

「ダークエルフではございませんでした。魔族なら私が気づいたはずです。人間である可能性が高いと思われます。」

「人間か…。」

「ですが…。」

「なんだ?」

「人間にしては魔力が多かったように思えるのです。」

「…魔力が…多い?」

「はい。」

俺とオージェが顔を見合わせた。それはもちろん、ある事に心当たりがあるからだ。

「もしかしたら転生者、もしくは転移者じゃないのか?」

「ああ、オージェ。その可能性は高いかもしれない。」

「人間で魔力が多いなんてそれ以外考え難いよな。」

「確かに。」

すると隣の部屋からシャーミリアとカララが帰ってきた。

「ご主人様。残念ではございますが、既に隣の部屋に魔法陣はございませんでした。」

「無いか。」

「はい。」

「ですがカララが隠し部屋を見つけました。」

「隠し部屋?」

するとカララが言う。

「はい、扉はございませんが壁の向こうに部屋があるのを確認しました。」

「アスモデウス。」

「はい。」

「その隠し部屋とは何だ?」

「申し訳ございません。私もその部屋の存在を知りません。」

「そうか。」

俺の系譜に連なっているので嘘偽りのない事が分かる。どうやらコイツは敵の悪だくみに与していたわけではなさそうだ。

「お前の身分は?」

「はい、デモン7柱が一人でございます。」

「デモン7柱?」

「私はそこにいる者を生み出した者です。」

アスモデウスが指さした先にはアナミスがいた。

「そうなのか?」

「そのものは既に君主様に心身ともに忠誠を尽くしておるため分からぬのでしょう。」

アナミスが意外そうな顔をしてこちらを見ている。アナミスもこいつに作られたなんて思いたくないのだろう。サキュバスの王って事かな?

「わかった。」

「さらに…そちらにおいでなのは龍神でお間違いございませんか?」

「そうだが?」

「彼の祖もデモンでございます。」

「えっ!そうなの?」

「はい。」

そういえば!セイラの生みの親は龍神だとか言ってたな!となればセイレーンの生みの親がデモンだって言ってもおかしくないか!

「俺?」

オージェが自分を指さして言う。

「そうです。」

「龍の子だけど。」

「龍はレヴィアサンから派生したのです。」

「うっそ。」

「あなたは私と同格のデモン7柱の一人のはずです。」

「知らんかった。」

オージェがあっけに取られている。

「ですが、今はデモン…では無いようです。君主様と似た魂を持っておいでのようですね。」

「そうか。まあ生まれが一緒だからな。」

「生まれが…。」

アスモデウスが何かを思い出すように考え込んでいる。

「どうした?」

「申し訳ございません。言うのを憚られたものですから。」

「言ってみろ。」

俺が言う。

「お気を悪くなさらぬよう…大神官を名乗るアヴドゥルと同じような気配がいたします。」

また俺とオージェが顔を見合わせる。俺達が推察していた核心に近い言葉を聞いたからだ。

「ラウル。」

「ああ、ビンゴだろうな。」

アスモデウスからの話で、今まで謎に包まれていた部分がだいぶ明るみに出て来たようだ。

カツーン

カツーン

そのときいきなり後ろから音がした。

ガシャ!

ガシャ!

静かな部屋に、いきなり鳴り響いた高質な音に俺達は思わず銃を構えた。

しかし

俺達が銃を向けた方向には何もいなかった。だが…確かに音がした。今まで全く気配の無いところから発した音に皆がピリピリしている。

「ご安心ください。」

アスモデウスが言う。

「どういうことだ?」

「あの魔石は魔石を生み出すようなのです。」

「魔石が魔石を生み出す?」

今まで聞いた事のない情報だ。魔石が魔石を生むなんて事があるのか?

「粒のような魔石です。」

「ファントム!拾って来い。」

シャッ

ファントムが魔石の下からすぐにその魔石の粒を拾って持ってくる。

「これが魔石?」

ファントムの手のひらに輝く石を見る。

「普通の魔石とは違うように見えますが、魔力が含まれているので魔石と呼んでおります。」

「そうか…。」

「そしてその粒を使って、あ奴らは何かを企んでおりました。」

「この粒を?」

「その粒を飲ませた人間が死ぬと、光の柱が立つのです。」

「えっ!」

「なっ。」

「!」

「!」

「!」

俺達が思わず息を呑んでしまった。あの謎の柱が立つ原因が”これ”。

ファントムの手の上で光る魔石の粒を見て俺達は、ただ固まってしまうのだった。