軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第03話:初めての武器召喚

ヨロイの騎士が帰ってきて…

魔法をまのあたりにして…

朝ごはんを食べることになった。

日本人の記憶が戻ってから初ごはん。パニックをおこしながらの朝ごはん。

《目がまわる。》

父親のグラムが奥で対面にイオナ、俺はその隣に座らせられ朝食をとることになった。

マリアはメイドらしくグラムの後ろの壁際に立っている。

うわあ、リアルな騎士と魔法使い2人を前にしたら緊張してきた。お母さんもメイドも魔法使いだあ…

《すげえ…》

朝食は硬めのパンを温めたものと、野菜がふんだんに入ったスープと煮た魚だった。全体的に味が薄い。不味くはないのだが、塩気がなく味気なく思ってしまう。

ここが異世界という現実を知って、テンパってて味がわからないだけかもしれない。

《いや…俺の前世の朝食はもっとお粗末だったか。》

一人暮らしというのもあり、朝はトーストとコーヒー。忙しいときには出勤途中のファーストフードでハンバーガーだった。それに比べたらなんと健康的な事か。

ただ、この食事は3才の俺には十分だが、筋肉もりもりの大人には物足りないんじゃないだろうか?いや添加物がない食事っぽいしこれは健康的でいいのか。予想だが化学調味料なんてない世界だよなあ。

そして、グラムの食事の脇にはワインらしきものが添えられている。夜勤明けだし晩酌みたいなものか。

しかし皿もグラスも食器類のセンスがいい。どれも高そうだがさりげなくおしゃれだ。そんなことを考えながら食べていると、グラムが俺に話かけてきた。

「明日は一日中家にいる予定だ。ラウルといっぱい遊んであげれるぞ」

「よかったわねー」

イオナに言われ俺が返事をした。

「やったー!」

とりあえず3才らしく喜んでおこう。

しかし、昨日の夜に前世の記憶に目覚めてしまってからは、俺の精神年齢は31才だ。遊んでもらうとはいえ、グラムは俺より6、7才歳くらいは下だと思う。きっと楽しくはないだろう。

前世の職場で例えるなら。俺が新入社員にあやされたり遊ばれたりしてるようなものだ。恐ろしい。

「なにがしたい?騎士ごっこか?冒険なお話してやろうか?」

グラムが矢継ぎ早に聞いてくる。

会社の新入社員とチャンバラしてる映像が目に浮かんできた。(えい!やあ!おいそんなんじゃ新規客とれないぞ!うふふふぅ〜…)うーむ。逆に笑えてきた。

にしても何がしたいか…俺は少し考え答えた。この世界を少しでも知ることができないかな?とにかく家の外を見たいな。

「お父さんと散歩がしたいです。」

「おお!そうかそうか!じゃあ母さんも一緒に出かけるとしよう。マリアも同行頼めるかな?」

俺を見ながらグラムはものすごく目尻を垂れ下げてそう言ってくる。俺にはとても甘い父親らしい。なんだかムズムズする。

「楽しみですわ。ラウルお外行きましょうね〜」

イオナも嬉しそうだ。

後ろに立って聞いていたマリアが言った。

「ならばお弁当にはサンドウィッチと、若鶏のソテーなどはいかがでしょう。」

「おお!それがいい。マリア。適当に用意してくれ!ならば馬車を出して少し遠出してみようか?」

グラムは更に上機嫌になった。

「かしこまりました。では明日の朝までに昼食のご用意をいたします。」

マリアはそう言ってグラムの空になったグラスに、ワインのような液体をそそぎこんだ。色からしてワインに違いない。

手際がいいできた人だ。いやメイドなら普通なのかもしれない。だが日本人の10代にこんな気配りのできる人がいるだろうか?

《しかし、ただの散歩のつもりが、馬車でピクニックになるのか?馬車に乗れるのか!すげえ楽しそうじゃないか!少しでも異世界が見れるのなら楽しみだ!》

朝食も終わりグラムは酒も入ったのと、昨日から朝までのぶっ通しの警備の仕事疲れも相まって眠くなったようだ。そのまま寝室に行って寝てしまった。

イオナは先ほど脱がせて洗った、フルプレートアーマーの手入れをするそうだ。マリアは食器を片付けて自分の賄いを食べるため台所に行った。

俺はリビングに1人残された。みんなやることがあって、結構1人になれる時間はありそうだ。

とくに何もすることがない俺は1人で庭に出てみた。玄関から外に出てみると、庭は良く手入れされていて、職人の手のものだろうと思われる剪定された植木が何本もあった。それほど広い庭ではないが、良い庭だ。色とりどりの花が咲いている。

振り返って家を見上げると「おお!」と声をあげてしまった。凄くおしゃれで豪華な洋館じゃないか!俺は異世界のいいとこのお坊ちゃんなのか?そう思って周りを見渡すとこの辺の家はみな同じような洋館だった。

うちが特別ってわけじゃないのかな?

とりあえず俺は裏庭にまわって座り込み、さっきイオナに取ってもらった弾丸をポケットから取り出してじっくりと見てみる。

ただの拳銃の弾丸の弾頭部分だ。

これが前世の俺の命を奪ったのか…まさか一緒に転生されてくるとはな、やっぱり運命的な何かがあるのかね。いろいろな思いを胸にしてぎゅっと弾をにぎって目を瞑ってみた。

ふいに…ふわっと暗くなって、慌てて目を開けた。

なんだ?変な感覚。

もう一度握りしめて目を瞑ってみた。

また暗くなって血が巡るような、体が熱くなるような、目眩のような感覚に襲われる。今度はそのまま続けてみる。

すると…

弾丸の薬莢部分も含めた全容が、暗い中に浮き上がって来た。ものすごくはっきり見える。質感がリアルですぐそこにあるみたいに見える。

9mm-19mmのパラベラム弾、フルメタルジャケットだ。

まあよくある拳銃の弾だな。

てかサバゲーの運営の管理がずさんだったのか、本物の拳銃を持って会場内に入れるなんて、チェックが甘くてもちこまれたんだな…

そこに浮かびあがる弾丸は、あまりに質感がしっかりして見える。まるで触れそうな感じがする。思わず手を伸ばしてみた。暗い意識の中の弾丸に手が届いた時確かな感触があった、手がそっと触れられた瞬間に弾丸の映像が消えた。

目を開けると、ぽとりと土の上に何かが落ちた。

薬莢つきの9m mパラベラム弾だ。

ん!!なんだ!?

弾丸が出て来たぞ。反対の手にはイオナに渡された弾頭が握られたままである。地面にはそれとは別の薬莢つきのパラベラム弾が落ちていた。

それを慌ててポケットに入れた瞬間、急に眠気が襲ってきた。俺は家の壁にもたれかかって今起こった出来事を考える間もなく、眠ってしまった。

目が覚めると、ベッドの上だった。どうやら誰かが俺を運んでくれたらしい。体を起こすと壁際に椅子がありマリアが座っていた。起きあがった俺に気がついて、「ラウル様…」と言って部屋のドアを開け出て行った。

まだ日は高い。数時間ほど寝ていたようだ。気を失ったというのが正しいかもしれない。

マリアがすぐにグラムとイオナを連れて戻ってきた。

イオナが言う。

「ラウル。大丈夫?」

「はい」

心配そうだ。

しかしグラムは俺に変なことをたずねた。

「ラウル。眠る前に何か力が巡るような感じはしなかったか?」

《あの、ぐるぐるのことかな?》

「しました」

俺は素直に答えた。

「ラウルはそのあと眠ってしまったんだよな?それは魔力切れの症状に似ている。もしかすると3歳にして魔法に目覚めたのかもしれんぞ!」

「魔力?魔力…切れですか?」

よく理解が出来ずに俺は聞いてみた。魔力って魔法使いのあれだよな…?俺が?

「うむ。魔力は人によって使える量が決まっていてな、無くなると体がだるくなったり、お前みたいに小さい子は気を失ったりするんだ。」

「えっ?魔力って限りがあるの?」

「そうだ。」

「えっと…魔法って誰でも使えるの?」

「いやそうじゃない。魔力のある人間は稀なのだが、本来は魔法というものはな、理を学び力の流れや意識の操作が出来ねば、使えないものなのだ。まあお前にはまだ難しい話しだがな。」

グラムはそう答えた。

ん?俺、理や力の流れなんて学んでないけど?

「父さんは魔法使えるの?」

「使えない。父さんは気の流れを操作して体を強くすることができるが、魔法とは違うものなのだ。しかし母さんやマリアは使えるんだぞ」

それは朝に見た。マリアはロウソクに火をつけていたし、イオナは水を空中に浮かべていた。おそらくあれだ。

イオナが言った。

「母さんはね水魔法が使えるの、汚れを洗い流す程度のものですけどね。お風呂もためられるわ。」

それ見たな。

「私は火魔法を少し。ロウソクに火をつけたり料理の薪に火をくべるのに使います。」

あわせてマリアが言った。

それもさっき見た。

グラムは魔法じゃないって言ってたけど、身体強化は魔法じゃないのか?気ってなんだ?そして水魔法に火魔法か。えっと、なんか属性的なものがあるのかな?そこで俺は聞いてみた。

「他にも何かあるの?」

するとグラムが答えてくれた。

「魔法は、水、火、土、風、光、闇、神聖、治療などの種類があるんだよ。小さな魔法から大きな魔法まであるんだ」

「大きな魔法?」

「そうだ。宮廷魔術師様となれば大きな火の玉を出したり、岩を飛ばしたり、魔物を凍らせることも出来るんだ。聖女様は怪我や病気をたちまち治すんだぞ。足をなくしたヤツが元に戻してもらったりな。」

おーっ、ここにきて大きな情報!体の欠損部分を修復する魔法があるとか!前世じゃありえない。夢が広がる。

しかもだ!魔力が俺にもあるだなんて!

「貴方の魔法はなんなのかしらね?」

イオナが嬉しそうに言う。

「学んでみればそのうちわかるだろうな。」

グラムは嬉しそうに言った。

良く考えてみると…あれ?俺は9mm弾を出したら眠ったんだっけ。ポケットに手を入れるとそこに弾がはいっていた。異世界には銃があるかわからんし、これを親に見せるのは何故かためらわれた。転生したのがバレたら良くない気がしたのだ。

でも魔法か…。サバゲくらいしか、これといって得意なものがない前世に比べたらすごいが…

「僕もなんの魔法が使えるのか楽しみです!役に立てればいいのですが…」

俺はとりあえずそう答えた。

てことはもう俺は魔法が使えてるんじゃないのか?でもさっき聞いた中には召喚魔法なんてのはなかったぞ。召喚と言ってもピストルの弾を出しただけだけどね。学んでないのに使えたらおかしいよね?

そして…召喚で呼び出すものって普通は、精霊とか悪魔とか魔獣とかそういうものだよなあ。まさか前の世界の弾丸が呼び出せるとは不思議だ。

不思議だけど…弾丸の召喚?

この世界には前世の近代的な銃なんかはなさそうだ。弾だけあってもどうしようもないじゃないか!ひょっとして使えない魔法だった?

ラノベならば、ピストルの弾を売って日銭を稼ぐ魔法使い。てタイトルになっちゃうな。全く売れそうにない。

ちょっと悲しくなってきた。

《父さん母さんすみません。たぶん俺使えない魔法使いです。》

俺はがっかりしながら。それを悟られないようににっこり微笑んだ。

みんなも期待をこめて笑っていた。