軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第02話:たぶん異世界転生?

朝が来た。

女神も真っ青な超美人と、ベッドで一夜をともにした…。

彼女は母親で俺はその子供…それが一緒に寝てただけだけど…。

夜にふと目覚めて前世の記憶が蘇った。

そして…朝。

隣ではまだ美人ママが寝息をたてて眠っていた。

《しかし美人だな。正直、映画やテレビでも見たこと無いレベルだ。ヨーロッパ系の女優かモデルとかだったりして?そんな家に転生できたのだとしたらラッキーすぎるわ。》

俺は彼女を起こさないように、なんとかベッドの端の布団にぶら下がるようにして床にすべり降りた。音をたてずにそーっと部屋を出る。

まだ日が昇ってない。朝5時ごろか?時計とか無いのかな?

俺が寝ていた寝室は家の奥にあった。寝室を出て右手正面には昨日の夜に行ったトイレがあり、寝室の隣にはリビングがある。

《あれ?よく考えてみると父さんが寝室にいなかったな。一緒に寝ていないか、出かけているのか?》

薄暗いながらも見通せるようになった家の中を見てみると、手すりや窓枠などいたるところが豪華に装飾されており、廊下の角に大きなツボが飾ってあった。

《うはあ、ハリウッド俳優とか金持ちが住んでいそうな家だな。広いし多分いい稼ぎなんだろう。間違いなく貧乏ではない…ほっとする。と言うより極端に金持ちじゃね?何となく豪邸ぽい雰囲気がある。マジで女優さんだったりしてな。》

家の豪華さに感動しつつ、とりあえずリビングに行ってみる。

リビングにはテーブルと椅子が4脚、テーブルの上には花瓶が置いてありスズランのような可愛らしい花が生けてあった。ということは今の季節は春ごろか?

《スズランとは違う花かもしれないしそうとは限らんな。》

リビングの左には台所に通じる扉があり、右を見ると食器などが飾られている棚がある。なんとも豪華な棚だがアンティーク調でビンテージ感があるし、さぞ高い物だろう。これは間違いなく大がつく金持ちだ。古い雰囲気だが風格がある。棚には調度品がいくつも飾られていた。

と、棚に何か違和感を感じた。

棚の一部がキラリと光ったような気がしたのだ。吸い寄せられるように近づいて見るが高くて届かない。とにかく無性に見たかったので椅子を引っ張ってきてそれに登ったら取れるかと思い、テーブル脇の椅子の脚をつかんで動かそうとしてみた。

《う、意外に重くてビクともしない。3才って驚くほど非力だ。とにかく本腰いれないとまったく動きそうに無いな。》

「ウーン!」

あっ…

グラリと傾いて椅子が倒れてきた。あわてて押さえてみたが思いのほか重くて倒れてしまった。

ガタン!

ヤバ!こっちに倒れなくて良かった。

椅子の下敷きにならずホッとしていた。しかし倒れた椅子が起こせず、どうしようかボーっと眺めていたら、ガチャっと扉が開いて美人ママが入ってきた。

「ラウル、どうしたの!」

美人ママは心配そうな顔で駆け寄り俺を抱き抱えた。急に来たからビクッとしちゃだけど、冷静な感じを装いながら、

「大丈夫だよ、母さん」

とにかく安心させるように返事をした。

「もう!イタズラでもしようとしたのかしら?」

美人ママは微笑みながら言った。怒ってはいないようだった。

ため息が出るほど美人だ…

「あの棚の上のものを取ろうとしたの」

美人ママは俺を抱いたまま棚に近づき、キラリと光るそれを取って渡して見せてくれた。

俺はそれが何かすぐにわかった。

おそらく拳銃の弾丸だ。サイズ的には9mm弾だ。

ミリオタの俺にはそれぐらいわかる。ただ…なぜここに一発だけ置いてあるのか?3歳が弾丸の事を知っていたら母親は心配するかも知れないので、とりあえず聞いてみた。

「これなあに?」

すると美人ママは優しく言った。

「これはあなたの胸の皮の下から出てきたのよ。神様がこの子のお守りにと、授けたものかもしれないから大事にとっているの。」

《ってことは弾丸がそのまま俺の体内にあって一緒に転生しちゃったって事かな。でも弾丸を神様の贈り物って、ママはどんな神経しとるんじゃ。》

美人ママは続けて言った。

「でもこれが何なのかはお父さまも母さんもわからないのよね」

えっ?わからないの?弾丸見たこと無いのかな?まあ平和な世の中だし武器が好きでもなければ知らないか。ここは銃社会アメリカではないのかな?

「ふーん」

俺はあまりそれについて話さない方が良いと思い、興味をなくしたそぶりをした。

コンコン。

ドアがノックされ部屋の入口に1人の女性が入ってきた。

「奥様おはようございます。ラウル様もお早いお目覚めですね」

「あらマリアおはよう。」

《あ、そういえば昨日もこの人いた!住み込み?昨日までは気にした事なかったけど、えーと…こ、この服装は…メイドだな。うん。》

メイド?

ここヨーロッパのお偉いさんの家?日本じゃコスプレでしか見たことないぞ…。はい!大金持ち確定!

「マリアさんおはようございます。」

俺も慌てて挨拶をした。メイドの名前を知っている。そして母さんの名前はイオナだ…思い出してきた。

マリアと呼ばれた女性はイオナほどの美人ではないものの、可愛らしい顔をした青い目の10代後半くらいの素敵な女性だ。肩までで切りそろえた焦茶色の髪が似合っている。で、ついつい俺も目がいっちゃうんだが、とにかく胸がとても発達していらっしゃる。ぷるんぷるんいってる。

「薪を取りに行こうと外にいましたら物音がしましたので。」

「ああ大丈夫よ」

イオナが答えた。

次の瞬間、マリアはおもむろに自然な動作でロウソクに手をかざした。すると手のひらを淡い光が包み、ポッとロウソクに火が灯った。まだ少し薄暗い部屋に灯がさした。

えと…

いまなにした?

なんか急だったんで、一瞬何が起こったかわからなかった。

《えっ!なに今の?手をかざしたら火がついたように見えたんですけど!手品?このロウソクそういう電化製品かなにか?なんか所作が自然だったな…》

とにかくロウソクに勝手に火がついた。ライターやマッチの類は見当たらない。

「それでは、朝食のご用意をしてまいります。」

マリアはそういって頭を下げ、ふたたび薪を取りに部屋を出て行った。

《なんか…ロウソクに仕掛けは無さそうなんだけどな。でもなんか自然な感じで火をつけたな。イオナもそれを見てたよな。変だとは思ってはいないようだしな…そういえば…この家は電気ないの?昨日の夜トイレに起きた時もロウソク使ってしたな。》

ふいに天井を見上げてある事に気がついた。

蛍光灯が無い。

俺がさっきのメイドの手品や、蛍光灯に考えを巡らせていると、ふと外から何かガシャガシャと物音がした。誰か人が来たみたいだ…こんな朝っぱらから?

イオナは俺を降ろし窓の外を見た。母様の表情がぱあっと明るくなった。

「あら、お父さまがお仕事から帰ってきたわ。一緒にお出迎えしましょ」

《えっ?朝帰り?遊び人?悪い人なのかしらん?夜勤明けか?この大豪邸は両親が朝晩関係なく身を粉にして働いた集大成なのかも。》

2人で玄関に向かいエントランスに出てその部屋の豪華さにビックリ、赤い絨毯とシャンデリアが目に飛び込んできた。エントランスの中ほどから2階に階段が伸びている。

豪華すぎる!すごっ!

前世の意識が戻ってから改めてその部屋を見ると驚いてしまう。

エントランスを通りすぎて俺とイオナは急ぎ玄関に向かった。そして立派な装飾がほどこされた重厚なドアを開けた。

「帰ったぞ!」

「おかえりなさーい」

えっ!

これがお父さん?

ドアの外のそのあまりもの衝撃に固まった…。

いやこの間までの記憶にあるお父さんだけど…でも…

そこには銀のプレートアーマーに身を包み、背に剣を背負った父親が立っていたのだから。

「ようラウルいい子にしてたかー!」

鎧姿の親父に頭を撫でられた。

《いやいやいや…答え合わせ出来ちゃたよ。銀のプレートアーマーのコスプレ?違う違う!こんな本格的な鎧をコスプレで着ない!パパのお仕事って…銀の鎧を着る仕事。家は大きくてゴージャスな屋敷。間違いないわ…映画俳優の家に生まれちゃったよ俺。》

思わずにやける。

《たしかハリウッド俳優のビバリーヒルズの家は豪邸だよな?夢のような状況じゃないか!間違いなく肉体派俳優だ。前世で見たことない顔だけどきっと戦争映画なんかも出てるぞ!あーだからあれね拳銃の弾がお守りなのね!イオナがしらばっくれたのは俺が3才だからだな。ぴーんときちゃった!》

「おかえりなさーい」

イオナにもその格好は違和感がないらしい。やっぱり女優さんは理解あるね。

「でもその格好で帰ってきたの?」

イオナが言った。

あ、やっぱりねそりゃそうだよね。違和感あるよねー!お父さんそれはさすがに逆に恥ずかしいよ!衣装着てそのまま帰って来ちゃダメダメ。

すると、父さんの後ろから声が聞こえた。

「そうなんです!奥方様。グラム様は従者である私の言葉も聞かずにすぐに出てしまわれて」

《従者?マネージャーじゃなくて?従者?》

後ろには若いさわやか系の男がいた。いや…しかもこいつまでフルプレートの鎧だし!

「そう言うなレナード、俺はとにかく早く帰りたかったんだ。可愛いラウルに会うためにな!お前はもう帰っていいぞ。」

「ハッ!それでは奥方様もラウル様も穏やかな一日をすごされますよう。これにて失礼いたします。」

そう言うとレナードと呼ばれた男は爽やかに朝靄に消えていった。

《レナードは俳優仲間?従者の役かな?マネージャーみたいだけど、剣下げてたしな…まちがいなく俳優だな。》

「お城の夜間警備のお仕事大変でいらしたでしょう。それでは貴方、重い鎧をお外ししますので早くこちらへ」

イオナがねぎらいの声をかけ、奥の部屋に入って行った。

ガシャガシャガシャ

《お城の夜間警備?映画のタイトルなのか?ダサいな。まさかエロ系じゃないよな?》

俺は1人エントランスに残って考えこんでいた。

《うむうむ。ははぁーん。ん?でもなあ…ちがうか。お城の警備…?ふむふむ。ぐるぐるぐるぐる。》

疑問だらけだが頭の中で情報を整理していく。

《ううむ。この家の雰囲気といい、本格的なメイドといい、ロウソクの不思議な火の付け方といい、フルプレートアーマーで剣を持って城の警備の仕事。そして従者。》

グラムの仕事…城の夜間警備。

俳優というより…

本物の騎士…だな。

いやまさか…

でも…

《ロウソクの付け方は魔法か?家に電気は通ってなさそうだし…あとマネージャーじゃなく従者って言ってたか…》

少しずつ答えに近づいて来た。

《わかった!俺を子供だと思ってなめてんな!》

俺はピーンと来てしまった。

《ふふふ!もう完全にバレてんだよ!壮大なドッキリなんかやめてもらおう。カメラはどこだ?子供ドッキリ映像だな。俺はただの子供じゃないんだぞ。》

カメラカメラ。

《うん!ちょっとイオナのところに行って直接聞いてこよう。母親だし優しくネタバラシしてくれるだろう。まさか金持ち設定もドッキリじゃないだろうな。》

そんなことを考えながらも俺は完全にテンパっていた。

奥の部屋に行ってみると、もうグラムはいなかった。すでに服を着てリビングに行ったらしい。さらに奥の洗い場に向かっていき、ドアを開けて俺は衝撃的なシーンを見た。

バケツの上でイオナが両手を前に突き出していた。その手と手の間には…水が浮かんでいた。不定形でふわふわと。水が空中に浮かんでいるのだ!

「ラウルどうしたの?」

パシャ

イオナは少し驚いた顔で言いながら、桶に水を落とした。

これ間違いなく…ドッキリじゃねーな。

あれだ…俺も少しは読んだことがある、ラノベのあの世界だ。

魔法と剣の世界。

海外に生まれ変わったんじゃない。

俺は…

異世界に転生したんだ。