軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第22話 異世界兵と対人戦の後、幼女をひろう

野生のレッドベアーに仲間のメイドを殺された。

人間を食ってた。

レッドベアをやっと撃退したのに、敵兵に追いつかれた。

敵はグレートボアにまたがった騎士。反則だった。

マリアは振り向いて斧を振り回す騎士を乗せたグレードボアに向かって、拳銃を撃った。

パンパンパンパン

しかし、巨大なグレードボアには、全く効いていないようだった。そのまままっすぐに突っ込んできた。

グモオオオオオ!

「マリア!人を狙って!」

マリアは斧を振り回す騎士に銃を撃った。

パンパン!

「ぐあっ!!」

騎士は斧を振り落とした。

よし!やはりプレートメイルでは銃は防げない。それだけ装甲が薄いってことだな。分厚すぎれば身動きができなくなるほど重くなるため、プレートメイルの装甲はそんなに厚さが無い。9ミリでも十分貫通するようだ。

しかし・・グレードボアの勢いは止まらなかった。

マリアは轢かれる前に横に飛びのいた。

俺はその先の街道脇の草むらに寝そべって隠れていた。イオナが俺の前あたりに立ちはだかって守ってくれている。

「ラウル!あなたは逃げなさい!あなただけでも!」

イオナが叫んでいる。

俺はそれを無視して寝そべってグレードボアの目のあたりを狙い、M16を連射した。

パララララ

グギャァァァ

グレートボアは苦しがるように体を大きくゆさぶり止まった。乗っていた騎士はグレートボアから振り落とされた。どうやら俺の弾がグレートボアの眼球に直撃したようだ。マリアが走り寄ってくる。ミーシャは森から出た先20メートルあたりでへたり込んでいるようだ。

とにかく急いで、俺たち3人はミーシャのところに駆け寄った。

「大丈夫ですか?ミーシャ!」

イオナは話しかけた。

「・・は・・はい。なんとか・・」

涙を浮かべ震えながらミーシャは答えた。

グレートボアは怒りに満ちた目でこちらをにらんでいる。すると絶望的な事に・・森の奥からさらに2匹のグレートボアが走ってきた。上には2人づつフルプレートメイルを着た騎士をのせていた。

いや、反則だろ・・どうすんだよ・・これ。

俺たちはここで死ぬのか?

武器の説明なんかしている暇はない、しかし俺がやるしかないのだが体が小さく大きな武器が持てない。

「母さん!これを担いでください!」

俺は急いでスウェーデンサーブ社製のAT4使い捨て対戦車ロケットランチャーを召喚した。

イオナはそれを木材でも担ぐように担いだ・・

「ちがいます!」

その間も森の中から2匹のグレートボアが近づいてくる。俺は無我夢中だった!相当慌てていたが頭の中は冷静だった。

「母さんここをこう!そうですそうです。そしてこの筒の穴を前を走るグレートボアに向けてかまえてください。反動がきますがこらえてください。」

手を添えながら早口で教えた。

「ええ、えっと・・」

イオナはなにがなんだか分からず、いわれるがまま俺の指示を実行した。俺は慌てながらも急ぎ安全ピンを抜き、コッキングレバーを引く。

「僕が合図をしたら敵に向けてこれを押しながらこのでっぱりを押してください!!後ろから反動を抑える噴射がでます!気をつけて!!相手をひきつけて!!ミーシャうしろに立たないで!」

矢継ぎ早に指示をだす。安全レバーと発射トリガーの押し方を伝えながらミーシャに叫んだ。

2体のグレートボアが森を出て、月の光の下に出てきたその距離20メートル!

「押して!」

俺が叫ぶとイオナは言うとおりにした。

バシュゥーー ズガバーン!!!

先頭のグレートボアの首のあたりに命中した!

爆音とともにグレートボアは肉と血をまき散らして派手に吹っ飛んだ!前にまたがっていた騎士も爆発に巻き込まれて四散し、後ろの騎士は派手に空中を舞って地面に叩きつけられていた。

後ろを走っていたグレートボアが吹っ飛んだ前のボアに巻き込まれて前のめりに転がった。

乗っていた二人も前方に勢いよく飛び出して俺たちの目の前あたりに落ちてきた、一人目の騎士は意識が飛んだのか体に力が入っていないように転がった。もう一人は落下し倒れたまま叫び声をあげた。

さらにそこに後ろを走っていたグレートボアが転がってきて二人の男は潰された。

イノシシは猪突猛進、そんなのにまたがってるからこんなことになるんだ!ざまあみさらせ!

ロケットランチャーが、命中したグレートボアは死んでいた。ピクリとも動かない。

イオナも、マリアもミーシャも、あまりの事に呆然としていた。片目を撃ち抜かれ睨んでいたグレートボアと一番後ろを走って転がったやつが驚いて森の中に走り去ってしまった。最初に振り落とされた兵士も、うめき声を上げて立ち上がろうとしたところで・・

目の前に立ったマリアからこう告げられた。

「死になさい!!」

叫びながら撃った!

パン!

騎士は眉間に穴をあけて仰向けに倒れた。

急にそのあたり一帯に静寂が訪れた。

「母さん、大丈夫ですか?」

イオナはガランっと音をさせ空になったAT4を落とした。

「ラウル…これは…。」

「ロケットランチャーといいます。」

「…」

イオナはへたり込んだまま動かない。

「イオナ様、お怪我でもなさいましたか?」

マリアが聞いてもイオナは呆然としていた。ミーシャも似たようなものだった…ミーシャはまだ幼さが残る、アンバランスなほど目が大きい人形のような顔を恐怖にゆがめて腰を抜かしていた。

「マリア。銃を貸して下さい。」

マリアの銃には弾がなかった。運良くギリギリ弾を使いきったようだった。俺はP320をフル装填しカバンにあったベレッタも充填して渡した。

「マリアはこの2丁を使って下さい。」

「はい、わかりました。」

イオナはようやく落ち着きをとりもどした。

「母さん、まだ追手がくるかもしれません…。とにかく逃げましょう。」

マリアはミーシャに近寄り声をかけた。

「ミーシャ動けますか?」

ミーシャはガタガタ震えて目の前の惨劇を見つめていた。

「ミーシャ、辛いですがしっかりしなさい!私たちにはイオナ様とラウル様を守る使命があるのですよ。」

ミーシャは、ハッっとした顔でマリアを見上げた。マリアにしがみついて泣いた。

「うぇうぇ…ヒックヒック…」

ミーシャも少し落ち着いてきた時だった。すると後ろの遺体の転がったあたりから、物音が聞こえた。

ガシャリ

どうやらランチャーが当たったボアの後ろに乗っていたやつが生きていたようだった。そばの剣をひろいあげ近づいてきた。

「よくもやってくれたな…殺してやる」

足をひきずりながらも鬼気迫る表情で男がせまってきた。

俺はすぐさまM16を構え狙ったが引き金がひけなかった。指が震える・・に人間を殺すのか?やらなきゃやられる。さっきはイオナのランチャーで死んだじゃないか!同じことだ…しかし…指が動かない。

するとイオナが立ち上がり叫んだ。

「私はサナリア領主グラムの妻、イオナ・フォレストである!それを知っての狼藉か!下郎が!恥を知りなさい!」

「ん、お前が…おお…たしかに女神も霞むほどの美人だな…皇帝が捕らえろと言ったのもわかるぜ」

男は物凄く下卑た笑いをうかべイオナを下から上に睨めあげた。

「下品な!騎士の風上にもおけない!」

「よくいうぜ、強力な魔法で俺の仲間をぐちゃぐちゃにしやがって」

凄みを聞かせてにらんでくる。そうとう怖い膝がふるえてきた。しかし俺は引き金がひけなかった。

「バルギウスの兵士か?」

「そうだったらなんだってんだ。さっきの強力な魔法を撃ってみろよ!詠唱に時間がかかる強大魔法だ、その前に皆殺しにしてやるぜ!」

魔法を警戒しているのか、ジリジリと近づいてくる。

「お。おまえ本当に美人だなあ。へへぇ〜女子供を殺したあとで、じーっくりとかわいがってから皇帝のもとに連れて行ってもバチは当たんねえなあ、これだけ仲間を殺されたたんだからなあ…、まずは邪魔な奴らを殺して裸にむ…」

パン!

男はこめかみから血を吹き出して死んだ。

「イオナ様に対する無礼聞くに耐えません、死になさい!!」

マリアが引き金を引いていた。さらに死体に歩みよっていき、パン!パン!パン!とひとりひとり丁寧に頭をぶち抜いていった。

「ま、マリア…」

マリアこえええぇ!ブチ切れるとこうなるのか。怒らせないようにしとかないとな…俺は気をとりなおし、

「い…いきましょう。」

と皆をうながした。

全員で立ち上がりとにかく北に歩く事にした。しかし…さっきのような奴らがここまで来たということは…道中で追い越してきた避難民は絶望視したほうがいいかもしれない。

馬はそう遠くへ逃げてはいなかった。

イオナが身重なため負担にならぬよう馬に乗ってもらい、手綱はミーシャが握ることになった。ミーシャは牧場主の娘で幼い頃から馬の扱いには慣れているらしく、馬も静かにあるいていた。しかし馬は妊婦の体にはかなりの負担だ…俺の妹か弟よ、頑張ってしがみついていてくれよ!

そして俺のM16も馬にくくりつけてもらう。

「マリア、これを使って下さい。」

マリアにショルダーバッグを渡した。

「バッグに銃をしまってください。そのときはこの安全装置をカチッとはめてください。これで暴発を防げます。」

「ラウル様、お気遣いありがとうございます。」

ずっと銃を握りしめているのも何だしな。

夜通し歩き続けて疲労がピークになってきた。あたりは明るくなってきているが、いつ奴らが追ってくるとも限らなかった。マリアと俺は極度の緊張と歩き続けなのでヘロヘロだ。俺は思わずよろめいてしまった。

「皆さん、一旦休みましょう。」

「は、はい…。」

俺は疲れのせいで頭がガンガン割れそうに痛かった。

馬を道端の木にくくりつける。馬もだいぶ…へたってきたようだった。道端の草を食べ始めた。

みな空腹のため血糖値が低下しているようだった。

「あの母さん…。なにか食べましょうか?」

「ラウル…夜の戦いでもうなにもないのよ…」

「いえ、大丈夫です。」

俺は目を瞑りデータベースから自衛隊戦闘糧食Ⅰ型を呼び出した。椎茸飯缶、マグロ缶、ハンバーグ缶、野菜煮缶、乾パンをドサドサと呼び出した。前回は呼び出し出来なかった缶切りもプラスチック製スプーンもある。データベースの日々のバージョンアップのおかげだ。

「これは?」

イオナはこれが何かわからない。

「ちょっと待って下さい。」

俺は全部の缶を開けた。食欲はないが食べなければ確実に動けなくなる。とにかくなんでもいいから口にしてもらおう。缶の蓋を皿がわりにして、椎茸飯を盛り付けスプーンと一緒にみなに渡す。

「では、食べてみます。」

口に入れると椎茸のだしがきいてて最高だった!和食最高。食欲はないがなんとか食べれる。続いてマリアも食べた。

「いただきます。」

口に入れた。

「イオナ様。美味しいですよ。」

イオナもミーシャも恐る恐る口をつけた。

「美味しい!これは初めて食べました…どこの国の料理なんでしょう?」

「本当です。不思議な味…でも美味しい!」

よかった、食欲がなくて食べれないかと思ったよ。俺は次に乾パンを開けて、パンの上にハンバーグを乗せて頬張った。

見よう見まねでみなが同じようにやってみる。

「美味しい!ちょっと冷たいですが、これはお肉ですね?何のお肉か分かりませんが、冷たくても柔らかいですわね。」

イオナは不思議そうに食べた。ミーシャはマグロ缶に手を伸ばした。

「美味しい!ちょっとしょっぱいですが、身がほぐれてきます。」

椎茸缶がからになったので、水分補給をしようと思う。

「母さん。ここを水で満たしていただいてもよいでしょうか?」

「はい。」

イオナの水魔法で満たしてもらう。それを皆でまわし飲んだ。

「ラウル…この魔法はいつ頃から使えていたのですか?」

「3才か4才ころだったと思います。」

「そう…そんなに前から…私はてっきりあなたには魔法の才能が無いものだと思っていました。しかしこんなに素晴らしい魔法が使えていたなんてすごいわ。あなたのおかげでここのみんなが生き延びたのよ。グラムが生きていたらさぞ喜ん…だ…こ…」

イオナは泣き出してしまった。マリアもミーシャも泣き始めた…

「母さん。まだ安心するのは早いです。どこか身を隠すところを探しましょう。」

「そうね。これを食べたらすぐに動きましょう。」

街道沿いにすすんでいくと川が現れた。しかし、隠れるとなると馬が邪魔だった。どうしようか考えていたとき川辺に人がいるのが見えてきた。

「母さん、助けを求めましょう。」

「ええそうね…」

するとマリアがすでに動いていた。

「あのーすみません。この辺のかたですか?」

「おおー、あんたらもサナリアから逃げてきたのか?」

農家風のおじいさんだった。

「前にも誰か来たんですか?」

「人が数人と馬で数頭いたよ。昨日の夜分についてもう出ていきなさった。」

「実はちょっと休むところを探してまして…」

「それなら、うちの小屋を使えばいいさ。」

「ありがとうございます。」

俺たちはおじいさんについていくことにした。川辺のそばに小屋はあった馬小屋もあったので馬を繋いでもらった。

「すこしだけ休ませてください。」

「なんもないけど気を使わず適当に休んでください。」

とても人の良さそうなお爺さんだった。

「ひとりで住んでるんですか?」

「孫が一緒におるよ。おーいミゼッタおいでー!」

「はーい」

来たのは俺と同じくらいの幼い女の子だった。俺たちをみてにっこり挨拶をした。

「おはようございます。」

「おはようございます。」

俺たちも挨拶をかえす。

「あの?2人で暮らしているんですか?」

「息子….この子の父親もいたが…戦争に行ったきり帰ってこなんだ。」

「………」

「私が話します。」

イオナが言った。父親の死や国の敗戦のことを話すといっている。

「ラウル。」

「はい。」

俺はミゼッタちゃんを連れて外にいく。

「川を見たいんだ一緒に遊ばないかい?」

ミゼッタはおじいさんを見た。

おじいさんはニッコリ笑ってミゼッタに頷いた。

俺とミゼッタはしばらく外で川を見ていた。すると急に眠気が襲ってくる。疲れた…川辺がキラキラと輝いていてきれいだな…

「ミゼッタは何才?」

「7才だよ!」

「俺と同じだね。」

「そうなんだ、名前は?」

「ああ、ごめん。ラウルだよ。」

「ラウルはどこからきたの?」

「サナリア…」

もう限界だ…目を開けていられない・・

「……ウル……ラ…ウル…ラウル。」

ハッと覚めた!すると頭が柔らかい何かに乗っていた。

「ラウル大丈夫?」

ミゼッタの顔が真上にある。

「あっ」

と身を起こす。どうやらミゼッタのひざ枕で寝ていたらしい、少し寝たせいか頭痛もひいてスッキリした。

「どのくらい寝てた?」

「一刻ほどよ。」

太陽がだいぶ上にある10時くらいかな?

「そろそろうちに戻ろう。」

「わかった。」

3時間くらい寝ていたらしいので心配で急いで家まで戻ってきた。とくに何かが起きてはいなかった。イオナとマリア、ミーシャも仮眠をとったらしい。すでに話も終わっていた。

おじいさんの名前はバンスというそうだ。バンスは起きてきたみんなにスープを出してくれた。

あたたかい…

なんといい人なのだろう。いきなり来た俺たちにこんなにしてくれるなんて。

「イオナ様。お目覚めですか?」

バンスは丁寧な言葉使いになっていた。

「気遣いありがとうございます。」

「いえ、サナリアの領主様の奥方とは知らず無礼な口をきき申し訳ありませんでした。」

「いえこちらこそいきなり来てしまってすみません。いささか体も休まりましたのですぐに旅立てます。」

「本当に何もできませんで申し訳ございません。ただ…おりいって頼みがあります。」

「なんでしょうか?」

「ミゼッタもここにいては危険が及ぶかもしれません…、何卒この子も連れて行ってはくださりませんか?」

「それではあなたも一緒に来てはいかがでしょう?」

「イオナ様そうしたいのはやまやまでございますが。老い先短い私めなど足手まといにしかなりません。足が・・悪いのです。」

バンスは父親を失ったミゼッタを連れて行ってくれと言う。

「もはや敵軍はいずれここまで来るでしょう。そのとき私は嘘をつきます。イオナ様の行き先について違う情報を流します。わずかでも時間稼ぎになれば。」

「ばれれば殺されてしまいますよ。」

「時間稼ぎができるならワシの命など惜しくはないです。何卒お気になさらぬように。」

バンスは息子の忘れ形見をなんとしても守りたいのだ、その気持ちは痛いほどわかる。

「分かりました。ミゼッタちゃんはつれていきます。」

すると、いきなりな展開にミゼッタはついていけずにいた。

「おじいちゃんなに言ってるの?」.

そりゃそうだ、いきなりそんなこと言われても納得できるわけがらない。急に見知らぬ人達と出て行けなんて言われても納得できる方が変だ。

「だってお父さんが帰ってくるんだよ。待ってないとお父さん悲しむじゃない。」

「ミゼッタ…昨日の夜に来た男どもも言っておったのじゃがな…この国は負けたんじゃよ」

「え…」

ミゼッタはイオナを見た。

「ごめんなさい…」

「そんな…」

「そういうことじゃミゼッタよ…どうか聞き分けておくれ…迷う時間もすでにないのじゃ。敵がすぐそこまで来ているやもしれん。」

あまりの突然のことに茫然となっていた。

「無理だよ!おじいちゃんといるよ!お父さんは帰ってくるもん!」

「ダメじゃ、恐ろしい魔獣を従えた軍隊がくるのだぞ!」

「いやだ!」

「聞き分けなさい!」

バンスは強く言った。ミゼッタはビクッとして静かになった。

「あの…イオナさま。うちの荷馬車を持って行ってください。馬に牽かせれば皆で乗って行けるでしょう。皆様が寝ている間に馬にエサと水をやっときましたからしばらくはもつでしょう。あと何枚かの毛布を持って行ってくだされ。」

「ありがとうございます。」

「ミゼッタ…すまない…本当に…お前の父親はもう帰ってはこんのじゃ…。お前まで失ったらあの世でアイツに顔向けできん…後生じゃ許しておくれ。」

バンスは泣きながらミゼッタに諭すように話す。

「うわあぁぁぁん!うわぁぁ!」

ミゼッタも泣いた。もう帰ってくることのない父親、いきなり今生の別れを叩きつけて来た祖父のバンスにしがみついて泣きじゃくった。非情すぎる世の中を呪うように…

しかし。あまり悠長なことも言っていられない現状だった。渋々出かける準備をしたミゼッタを荷台に乗せてミーシャが馬を進ませる。

「ミゼッタ!なんとしても生きなさい!わしはお前の父親と一緒に見守っておるぞ!」

「おじいちゃん!おじいちゃん、」

叫ぶミゼッタをイオナが泣きながら抱き抱えた。

「ごめんなさい。ごめんなさい…。」

そんな苦悩も知らずに草原をわたる風が優しく撫でていくのだった。

つかれた俺たちを労るように涙を拭うように。