軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第208話 カースドラゴン討伐作戦

「これが進化!ラウル様!我々は初めて進化をしましたぞ!」

人間に見えるが牛のような大男が言う。

タロスだった。

今回、ユークリット奪還部隊に加わったダークエルフ、オーク、オーガ20名の隊を率いてきたタロス。ミノタウロスの長タロスが進化し人間の様になってしまったのだ。もともとルゼミア軍の最高戦力だった男は、これで物凄いレベルアップをした。ダークエルフ、オーク、オーガも進化を遂げている。

「このたびの戦いではミノスやラーズ、ドラン達に守られるばかりで足を引っ張ってしまい誠に申し訳ございませんでした。デモンがあれほど強さとは思いもよりませんでした。」

「仕方がないよタロス。今回はデモンが3体もいたから・・想定外だったよ。あのデモンの主はかなりのものだったしな。」

「どうやらそのようですな。しかし今回のユークリット奪還作戦で、ミノスらラウル様直属部隊の戦いをみておりましたが、恐ろしいほど能力が向上しておりましたな。正直羨ましかったです。ですが見ての通り我らも進化を遂げました!」

「ミノス達やゴブリン達そしてセイラは2度の進化を経ていたからね。どうやらお前たちもデモンが3体もいたから大きく進化したようだな。」

「そのようです。」

タロスを含む20名の魔人が自分たちの進化に驚いていた。ダークエルフはラテン系のイケメンに、オークは渋いおっさんに、オーガはイケメンやいぶし銀の戦士に変わっていたからだ。

「みんな見た目がすっかり変わっちゃったな。」

「はい。ラウル様寄りになりましたな。」

後参入の魔人達20名が人間寄りになった。しかも魔力量がおそろしく上がっているのが分かる。

くるるる。

セルマが喉を鳴らした。

「ああセルマ。お前はなんか可愛い熊になったな・・魔力がそなわったのか。俺の魔力が直接入っちゃったみたいだけど。」

セルマは毛並みが良くなった。そして目がくりっとしていて可愛い・・ちょっとぬいぐるみのような可愛さだ。

20メートルあるけど。

「とにかく。かなりの戦力アップになったのは間違いない。カースドラゴンを仕留めるためにも頼もしい限りだよ。」

かなり頼もしい。シャーミリア、カララ、アナミス、ミノス、ラーズ、ドラン、セイラ、ティラ、マカ、ナタの10人に関していえば5回のデモン討伐進化を経たことになる。

そして俺はバルギウス戦で大量の人間を殺し、ユークリットでは恐ろしい数の屍人を破壊した。そのおかげでデータベースがバージョンアップしたようだ。

場所 陸上兵器LV5 航空兵器LV3 海上兵器LV4 宇宙兵器LV0

用途 攻撃兵器LV7 防衛兵器LV4

規模 大量破壊兵器LV3 通常兵器LV7

種類 核兵器LV0 生物兵器LV0 化学兵器LV3 光学兵器LV0 音響兵器LV2

対象 対人兵器LV7 対物兵器LV6

効果 非致死性兵器LV3

施設 基地設備LV4

日常 備品LV5

連結 LV3

各兵器の呼び出せるレベルが上がっていた。宇宙兵器、核兵器、生物兵器、光学兵器だけはLV0のままだった・・このあたりのレベルはどうやったら上がるんだろう?

《気になる所は・・どうやら兵器LVの上限はLV7のようだな・・気になる所は大量破壊兵器LV3と化学兵器LV3、そして連結LV3か。》

しかし今は検証をしている余裕はない。行き当たりばったりで使うわけにもいかないので時間をかけて検証する必要があった。いきなり使って自分達が被害を被らないとも限らない。

《とにもかくにもカースドラゴンだな。》

「さてと、じゃあ計画を話す。みんな聞いてくれ!エミルとグレース、ケイナもよく聞いてくれ。」

「了解。」

「はい隊長。」

エミルとグレースとケイナが返事をする。

俺はカースドラゴンを始末する方法を魔人の配下達と、彼らに伝えるのだった。

皆が俺の作戦に聞き耳を立てた。

。。。。。。。。。。。

説明が終わる。

「以上だ!大体わかったかな?」

かなり端的に話したと思うがみんな理解できただろうか・・

「OK」

「俺もわかりました。」

「わたしも。」

「みんな。ご主人様のおっしゃる通りに動きましょう。」

「「「「おう!」」」」

「名付けて天の岩戸作戦開始!」

俺が言うと皆が作戦行動に移った。

俺が召喚した迫撃砲を30本設置した。そしてその周りには1000発の照明弾をおく。そして俺から受け取った軍用サーチライトを皆が持つ。

そしてティラが発電機を回す。

ブーン

発電機が稼働し、巨大なサーチライトを2つ両脇に置いた。

そしてその先に俺はある仕掛けをした。

「じゃあ・・エミル行こうか。」

「了解だ。」

「シャーミリアは外から飛んで続け。」

「かしこまりました。」

「皆よろしく!無理はするなよ!ケイナ!よろしく頼む。」

「わかりました。お任せください。」

「じゃあグレース派手に頼む。」

「了解でーす。」

俺はMH-60M特殊作戦用ブラックホーク戦闘ヘリを召喚する。

「うはあ・・かっこいい・・」

エミルが感嘆の息をもらす。

「良いなあ・・乗りたいなあ・・」

グレースが言う。

「後でな。」

「絶対ですよ!」

「ああ。」

話を終えて、俺とエミルはMH-60M特殊作戦用ブラックホークに乗り込んだ。

パパパパパパパパ

ローター音をたてて漆黒の機体が飛びあがり暗闇に紛れ見えなくなってしまう。

俺達が上空に消えると地上部隊の作戦が始まった。

LARD長距離音響発生装置を4つ召喚して置いてある。スピーカーはユークリット王都方面に向けてあった。グレースは俺が召喚したハンヴィージープ系四輪駆動車の天井に立つ。すると巨大サーチライトが両サイドからグレースを照らした。

マイクに向かってグレースが高い声で歌い始める。

まるで高音のオペラ歌手のようだ。電子音の様にも聞こえる。

その歌に合わせて魔人全員が軍用サーチライトを振るのだった。そうグレースのステージに色を添えるように、リズムに合わせて軍用サーチライトを振る。

「心が澄んでくるようだ。」

「何という美しい歌声だろう。」

「おお・・胸が打ち震える・・」

「本当だ・・我は感動で涙が出てきたわ。」

「うん。素敵な歌。」

「本当だ・・いい声。」

「はあ・・ため息が出るね。」

虹蛇の化身であるグレースの歌声は神が地上に響かせる極上の魂の歌。その美声にミノス、ラーズ、ドラン、タロス、ティラ、マカ、ナタがそれぞれ感想を述べた。

きっと・・ラウルが聞いたら嫉妬するはずだった。

「いや・・ラウル様の方が素敵だわ。」

「そうよ・・皆聞いていないから分からないんだわ。」

ラウルの味方がいた・・カララとアナミスだった。バルギウスで聞いたラウルの歌声の方が数段良いと思っているようだ。

親馬鹿ならぬ配下馬鹿だった。

しかし前世でも林田はカラオケで95点以上を必ず出す驚異の歌唱力を持っていた。ラウルはそれを見越してこの作戦を思い立ったのだ。

サーチライトはその歌に合わせて右に左に揺れる。地上に降りた天使の歌声に作戦行動である事すら忘れるようだった。そこにもう一人・・歌と言えばセイラ。セイレーンのセイラが美しい声でハモリ出す。極上のハーモニーは魂を揺さぶる力を持っていた。人間なら夢遊病のように集まってくるだろう。

盛り上がりのサビの部分に差し掛かった時、カララが迫撃砲に照明弾をどんどん放り込んでいく。

バシュゥー

バシュゥー

バシュゥー

そう。コンサートで言うところの花火だ。カララは景気よくどんどん打ち上げる。

アギャァァァァァ

グギャァァァァァ

王都の方から何かの叫び声が聞こえた。

カースドラゴンだった。

カースドラゴンはまだ王都に留まっていたのだ。根城にでもしてしまったのかもしれない。

「出てきましたね。」

ケイナが言う。

ケイナは先ほどから何かをやっていた。魔人達の周りで手をかざし何かを施しているようだった。

何をしているのか?

それはケイナがエルフの里で授かった土の上位精霊ノームの力で、地中に穴を掘っていたのだ。数本の穴が魔人の周りから後ろに向けて深く掘り下げられていく。穴は合計で30以上あり魔人一人が入れるくらいの大きさの穴だった。セルマ熊用の穴だけ特大だ。

手をかざすだけで、地面に穴が出来て地中に向けて掘り下げられていくようだった。穴の前には岩の障壁が作り上げられた。

「見えてきたぞ。」

ミノスが言う。

カースドラゴンは2体揃ってユークリット王都から悠々と飛んでくる。知能が無いためにただ音と光に反応して向かってきているのかもしれない。更に通りの良いグレースの歌声はLRADを通して遥か彼方まで届いていた。もしかするとカースドラゴンはその歌声に引き寄せられているのかもしれない。

そろそろ朝が近づいてきているのか空が薄く青みがかってきた。そのおかげでカースドラゴンの姿がはっきりと見る事が出来る。

「二人は穴に!」

グレースとセイラはラーズの掛け声とともに歌いながら穴に入っていく。無線で飛ばされた歌はLRADのスピーカーから声高らかに発せられている。

そして皆もペンライト代わりの軍用サーチライトを放り出して穴に潜り込んでいく。最後のカララも穴に潜るが糸だけはせわしなく迫撃砲に照明弾を入れ続けていた。

バシュ―

バシュ―

歌と一緒に景気よく上がる照明弾とサーチライトの光に誘われてカースドラゴンが来た。

カースドラゴンは黒炎を吐いた。

ドズゥウン

黒炎はハンヴィーに直撃してハンヴィーが吹き飛んだ。ハンヴィーは爆発して炎があがる。しかしサーチライトは光り、照明弾はあがり続け、歌もまだ聞こえている。

その光景に何か違和感を感じたのか、カースドラゴンはサーチライトの光の手前でホバリングしている。しかし、しびれを切らしたようにサーチライトに向かって黒炎を吐いて潰していく。LRADは壊されライトも少しずつ消えていく。

ステージは崩壊していくのだった。

しかしまだ残った1つのLRADスピーカーが歌を歌い、迫撃砲が照明弾を上げ続けていた。その残りにも2体のカースドラゴンが黒炎を吐く。

最後のスピーカーと迫撃砲に黒炎が当たろうかとした時だった。

カースドラゴンのはるか上空から音もなく何かが落下してきていた。

その巨大ななにかが全く音をさせずに重力に引かれて落ちてくる。

寸前で気が付いたカースドラゴンが骨の扇を体の上に大量に広げた。しかしその落下してきた塊は爆発する事もなくそのまま、骨の扇にのしかかりそれごとカースドラゴンの胴体に直撃した。

グガガガガガァ

ゴガァァッァ

叫び声をあげながら地面に向かって落ちていく2体のドラゴン。羽をばたつかせるが、その落ちてきた何かに逆らえずあっというまに地面に激突した。その落ちてきたものはカースドラゴンに突き刺さり地面に立った。

ドッゴーン!

土砂が巻き上げられ、衝撃波が広がる。

・・落ちてカースドラゴンごと地面に突き刺さった物とは?

海上自衛隊の大型輸送艦”しもきた”と”おおすみ”だった。数千トンの重量を持つ巨大艦艇を上空4500メートルから落下させ、カースドラゴンにぶつけて落としたのだ。確実に命中させるために軌道修正はシャーミリアが行った。

見事に激突しカースドラゴンは体を大破させて地面に落とされるが、まだ死ぬことはなくうごめいているようだった。

《やれ!》

俺はティラ、マカ、ナタに指示を送る。

《《《はい!》》》

カチ!

カチ!

カチ!

ドッッッゴーン

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

大型輸送艦に押さえつけられたカースドラゴンの付近から巨大な爆発が起こり、艦艇を包み込むように大きなキノコ雲が生まれる。

ラウルは6000千トンのTNT火薬をカースドラゴンの落下地点に仕込んでいたのだった。ゴブリン隊がその起爆スイッチを押した瞬間にカースドラゴンは粉々に粉砕されて燃え尽きてしまった。

遅れて物凄い爆風が来てハンヴィーの残骸やLRADの部品などを吹き飛ばしていく。魔人達やグレースとケイナは穴の中に入っているので全く問題はなかった。

爆炎がきえて・・半壊した海上自衛隊の大型輸送艦”しもきた””おおすみ”が地面に突き立っていた。もうカースドラゴンはどこにも見当たらなかった。

《凄い爆発だったがみんな大丈夫か?》

俺が念話で皆に問う。

《《《《《《問題ありません。》》》》》》

魔人全員から返事が来た。

「ラウルさん・・ものすごい爆発だったよ・・核じゃないよね?」

一人ごとをつぶやいたのはグレースだった。

それだけに6000トンのTNTに俺の魔力を加味した爆発は強烈だったのだ。

カースドラゴンの討伐は完了した。