軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第17話 サナリア領の人たち

旅の途中で初めて生き物を殺した。

馬鹿でかいオオカミだった。

とにかく実弾を使った。モデルガンではない実弾をだ。間違いなく銃は使えたし威力も確認できた。

銃は確実に武器として使えるのは間違いなかった。

そして俺達は兎にも角にもサナリアに無事ついた。

俺がサナリアに着いてまず驚いたのが、住居となるフォレスト領主の屋敷の大きさだった。執事もいるしメイドもたくさんいた。代官は、サナリア領でも1番大きな豪農のストーン家に任されていた。

ストーン家の主人のジヌアスがそのまま引き続き財務長として税の管理や会計の仕事を続けることになっているらしい。メイドや使用人達の管理や他の事務職に関しては執事のスティーブンがおこなっていた。

あ…執事の名前はセバスチャンじゃないのね…なんか執事といえば、セバスチャンだと言う変な先入観がある…

スティーブンは凄く有能な人物といった感じだった。すべてを先回りしてきりもりできる、キレものと言った感じだ。白髪と口ひげがいかにもテンプレといった感じで好感がもてる。

ジヌアスは田舎のオッサンといった感じだがまだ若いらしく30代後半なのだとか。可哀想におっさんにみえるわ…ストーン家の先代が病気で早く亡くなってしまったそうだが、30代なのに普通のおっさんみたいで逆に好感がもてる。

グラムがいない間は、この二人が協力しながらきりもりしていたらしい。

それよりも驚いた事がある。使用人の中には亜人と呼ばれる人間以外の種族がいたのだ。貴族は普通、亜人を奴隷としてあつかうのだそうだが、グラムは平等に扱うらしい。領内には亜人の村も容認しているのだとか。やっぱりグラムは人道的に優れた人物らしい。

コンコン!

俺の部屋がノックされた。

「はい。」

ドアを開けて入ってきたのは亜人のファミルだ。なんと!ケモミミだ。猫かタヌキかわからないが短い耳とふっさふさのしっぽが生えている。タレ目が印象的だがメイド服とのアンバランス感が…いい!

「シーツの交換にまいりました。」

「ありがとうございます。」

俺の部屋も王都の時よりデカくなった。

グラムは男爵の出だが生まれたフォレスト領は長男がついだ。グラムは軍に入り戦の功績と軍への貢献度で目立ち、さらには近衛団長からの推薦と王宮の重鎮でもあるイオナのナスタリア伯爵お父さんからの推薦で、男爵という爵位をもらいサナリア領を与えられたんだそうだ。

おそらくは、ほとんどイオナの家の力だろう。

シーツを替える作業をする度に揺れるしっぽを触ってみたい衝動に駆られる。どうなっているんだろう?

「あのー」

「はいなんでしょう、坊ちゃま。」

「しっぽって服のとこはどうなってんですか?」

「はい。小さく穴が空いておりそこから出しております。」

「穴が?スースーしないんですか?」

「いえ、しっぽのおかげで暖かいですよ。」

ジーっと見てしまう。

「見ますか?」

「いいんですか?」

「はい。」

本当だ服に穴が空いてる?これは特注のメイド服なのだろうか?

「あの?こんなメイド服があるんですね。」

「いえ、普通は貴族の家に亜人のメイドなんていませんよ。グラム様とイオナ様が特別なのです。」

「そうなんですね。」

「本当に感謝しているんです。」

「ファミルの故郷には獣人だけなんですか?」

「ええそうですよ。」

…男のケモミミかあ、あんまり見たくないな…

「ラウル様は獣人は嫌ではないのですか?」

「ええまったく。」

「本当にフォレスト家の皆様は変わっていらっしゃいます。」

と、ファミルはニコニコして出て行った。しっぽをわさわさとふりながら。俺は基本平和ボケの日本人だ、平等主義者のグラムに好感を持ってるくらいだよ。基本この館のひとはみな穏やかだ。領主の人柄のおかげだろうか?

そして俺は外出を許された。王都ではひとりでは外に出られなかったが、サナリアでは自由に外にでることができた。外を歩くとみんなに挨拶されるので、こちらも元気よく挨拶を返した。

街の中は家が立ち並び、商店街や宿場や食堂などもあった。どの店に入ってウインドウショッピングしても、誰も文句を言わずに自由にさせてくれていた。一番いいことは武器屋の話を聞くことができることだ。王都の店よりさらに品揃えがわるいが、主人は凄く知識が豊富でいろんな話が聞けた。

領主の息子最高!特別扱い!

市場を歩けばただで果物をくれるし、ほんとオヤツにもことかかない。俺はてっきり王都よりずっとつまらない生活になるんだと思い込んでいた。

郊外に出ると畑が広がっている。前世の食べ物と一緒かどうかはわからないが、葉物や芋などが植えてあるようだった。りんごか桃かわからんような果物の木もあった。王都に運ぶにはあのルナ山を超えねばならず、大量に運ぶのは無理なのだろう。昼夜の寒暖の差が農作物にはいいらしかった。

俺は家をでて郊外を歩いていた。

「坊ちゃん!こっちこっち!」

俺は呼ばれる方へいってみた。

「こんにちは。」

「坊ちゃんはいつも元気だべさ」

「はい。農作業にせいがでますね!」

「これ持っていってけろ。んでも、坊ちゃんにはまだもてねえか…」

と袋を渡されたので持ってみた。これを家に持って帰れと言う。

ズシっ!

えっと4歳にはまあまあの重量だ。

「おや!小さいのに力持ちだねえ。これを持てちまうなんてね。」

たしかに重い。右に左に持ち替えながら運んだ。街中をヒイヒイいいながら袋を背負って進んだ。すると後ろから声をかけられた。

「ラウル様。」

振り向くと女性騎士シャンディと部下の騎士がたっていた。

「あ、シャンディさん。警備ですか?」

「ええ見回りです。ずいぶん大きくて重そうな袋をぶらさげていらっしゃいますね。」

「はい。農家のかたからもらいました。」

「私が運んで差し上げましょう。」

正直限界だった俺は素直に頼んだ。

「お願いします…」

「えっ?これをお持ちだったのですか?」

と両手で袋を担いだ。

「え、ええ。まあ。」.

俺は女性のシャンディに荷物をもってもらい家路を急いだ。俺は女性騎士に興味があり質問してみた。なんかジャンヌダルクっぽいし。

「シャンディさんは騎士になって長いんですか?」

「私は騎士になって3年になります。」

「戦には行ったんですか?」

「いいえ、1度もありませんよ。」

「どうして騎士になったんですか?」

「領主様が戦から戻られた凱旋の時に拝謁して、憧れました。親には女だてらに!と言われましたけどね。」

戦か…どんな戦だったんだろう?

「戦の事を知っていますか?」

「はい、なんでもバルギウス帝国の北の領と我が国の領の小競り合いが発展して、我が国の領が占領されそうになったらしく、どちらも国軍が出ることになったそうです。我がサナリアにも要請がきて出陣したときいています。」

「そうなんですね。」

「グラム様はその戦でも獅子奮迅の活躍だったそうです。」

なるほどーうちのお父さんは強いんだなあ。

「そういった戦はよくあるんですかね?」

「国軍がでるような大きいのはそうないのですが、小競り合いは度々あるようです。そういった戦でグラム様は名をあげてこられたらしいです。」

そうかバルギウス帝国が、きな臭いというのはそんなところからもきてそうだな。

そんな話をしているうちに家についた。

「ありがとうございました。」

「いえいえ、お安い御用でございます。」

「キッチンまでお運びしますよ」

「いえ大丈夫です。」

俺は袋を担いだ。

「力持ちでいらっしゃいますね。」

シャンディは感心しているようだった。

「いえこれぐらいは。ありがとうございました。」

せいぜい5キロくらいだ。たしかに4才には重かったが平気だったけど。

もうすっかり夕方になっていた。俺はキッチンに袋を持っていったら、キッチンメイドがバタバタと夕食の準備中だった。セルマが気づいて近づいてきた。

「おや、ラウル様どうなされました?」

「あの…これ農家さんにいただきました。」

「あらまあ、ツル芋じゃないかい。これをいま担いでらっしゃいましたよね?」

「はい….?それがなにか?」

「…なんでもありません。」

「ではおねがいします。」

「はい。」

俺はキッチンを後にした。うしろからセルマのよいしょ!っていう声が聞こえた。セルマはもういい年なのかな?

俺は食堂に向かった。グラムとイオナがなにやら話し中だったようだ。

「ただいま帰りました。」

「おかえり。」

「おかえりなさい。」

「どうだ?領内は。いいところだろここは。」

「はい、皆が親切ですごしやすいところだなと思いました。」

「ラウルここには素朴だけど美味しい食堂もあるのよ。今度母さんといきましょう。」

「はいぜひ!」

なんか、前世でいうところの、田舎の実家に帰ってきたみたいな感じがする。ものすごく安らぐんだけど。たしかにいいところだ。

とりあえず夕食まで時間があるので自分の部屋にもどる。

《それじゃあまた日課を復活させようかな。》

そう…武器のデータベース作りだ。

データベースにはすでに銃 小銃 ライフル 機関銃 ガトリング バズーカ ロケット砲 無反動砲 火炎放射器 手榴弾 地雷 ミサイル 戦闘車両 航空機 船舶までかなり網羅している。俺のパソコンに入っていた兵器のデータは7割はおこしたと思う。あとは記憶力との勝負となっている。

まあ、もう十分じゃないのか?といわれそうだが、これは俺が前世で生涯をかけた趣味なのだ、やめるわけにはいかない。そもそも車両や航空機など巨大すぎて呼び出せるかもわからない。呼び出したところで操縦もできんしな。

記憶を呼び出そうとやっきになっていると、ドアがノックされた。

「失礼いたします。」

マリアだった。この世界で俺のことを唯一理解してくれる女性だ。実は話があるとよんでいたのだ。

「すみません。来ていただいて。」

「夕方にとのことでしたので…いかがなさいました。」

「あの。ここに私が出した物を隠すところってありますかね?」

「そんなに大きなものでなければ、地下室がございます。あそこなら箱が置いてあっても誰も開けないと思います。」

「そうですかありがとうございます。あとこれなんですが…」

と言ってミリメシの炊き込み飯の缶を出した。

ボトッ。

「これは?」

「これは缶詰といいます。」

「缶詰?」

「そうです。どうぞ手にとってみてください。」

「これはなんですか?」

「食べ物です。」

「これがですか?鉄に見えますが…」

マリアの頭の中にはハテナがたくさん浮いているのが分かった。

「この中に食べ物が入っているのです。外で食べたいのですが、スプーンを2本用意して下さい。」

「わかりましたご用意しましょう。あと困ったことはございませんか?」

「このあたりに、僕の武器を使っても目立たない森や人目につかない空き地がないか知りたいです。」

「では、イオナ様にラウル様の領内の案内の提案をいたしましょう。その時に私がご案内します。」

「ありがとうございます。いまのところそれだけです。」

「わかりました。とにかく困ったことや辛い事があれば、すぐに私にお話ください。」

「はい。」

そしてマリアは部屋を出て行った。

俺の気持ちを打ち明けた時から、マリアは凄く親身になってくれるようになった。とても心強かった。データベースを作るための羊皮紙と羽根ペンとインクを常に調達してくれた。

俺とマリアはチームのようなものだな。身動きがあまり取れない俺の代わりに、大人でなければできないことをしてくれている。

と、データベース作りをしようかと思ったら、マリアがすぐに戻ってきた。

「ラウル様、夕食のご準備ができました。」

「あ、もうそんな時間ですか…」

マリアと一緒に食堂に向かった。