軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第167話 前世の友達を仲間に

2日後。

俺のもとにハリスとマーカスの二人が来た。どうやら民の今後の方針が決まったようだった。

「お時間をいただきまして、ありがとうございます。」

ハリスが言う。

「いえ、みなさん決めるのは大変だったんじゃないですか?」

「いえ結局最後は、私とマーカスで民を説得いたしました。」

「マーカスさんと2人で?」

「ええ、ハリスとは意見が割れておりましたが、やはりこれしかないと思うのです。」

「どちらの結果を言われたとしても我々は全力でお手伝いします。」

「やはりハリスの言うとおりなのかもしれないですな。」

「まあ、俺のと言うよりも息子のエミルの意見が強かったですね。」

「エミル君の・・」

「ええ、エミルがラウル様と話した後、あいつはラウル様に付いて行って間違いないと力強く言ってきたんです。エルフのお告げだと。」

「そうでしたか。ということは皆さんが決めたお答えは?」

「我々はラウル様の提案に乗ります。」

「そうですか!よかった、私も出来るだけ死者は出したくない。必ず成功させましょう。」

本当によかった・・いくら敵国の人間とはいえ見殺しにするわけにはいかない。彼らには罪は無いのだから。

「ところでラウル様。息子のエミルとはどういう話し合いをしたのですか?」

「いや、特には・・ただ彼は俺の事をよく理解していたということでしょう。きっと同じような境遇をすごして来たからではないでしょうかね?」

「そういうものですか・・」

そう・・俺とあっちゃんの話し合いで決まった事は、前世の事は誰にも言わない。そしてこの世界のルールはある程度守りつつ、俺達の好きなことで生きていく。ということだった・・

あっちゃんには俺達が戦争をしてきたという事は伝えている、更にあっちゃんのこの世界の母ちゃんを殺したのは、バルギウス兵だったらしい。いくらこの世界の母親だからといっても実際に生んでくれた親、俺と同じく深い情もあり母の無念を晴らしたいと言っていた。

「ではサナリアに居る民は、俺達の仲間になってくれるという事で間違いないですね。ならば皆さんの命を脅かす真似はさせません。ただし、ご協力もお願いしたいのです。皆が生き延びるために。」

「はい。もちろんでございます。」

「決めた以上は協力を惜しみません。」

「ありがとうございます。と言っても今までとそう変わりがありません。この領の維持と発展にご協力いただければいいのです。」

「そのような事でよろしいのですか?」

「ええ。皆さんがバルギウスの家族の元に帰るまでの間でかまいませんので、サナリア領の民がここに帰ってきた時に、不自由が無いようにお手伝いいただきたいのです。」

「わかりました。当然お手伝いさせていただきます。」

「もちろんご協力を惜しみません。」

エミルの言うエルフのお告げというのは、かなりの説得力なのか二人の決心は硬いようだった。俺はここに居る民たちの思いを裏切らないように全力を尽くすとしよう。

「私たちはいずれ世界の全てを取り戻します。」

「世界を・・ですか・・物凄い事をさらりとおっしゃる。ですがあのお力を見せられればそれも可能だと思ってしまいます。」

「まことに・・しかもあの車なるもの・・あれは商人の血が騒ぎますな。」

「はは、でもあれは売れないのですよ。あと商いに使えば目立ちすぎて、すぐに敵に見つかってしまいますしね。」

「そうですな。ほんの少し興味が出ただけです。あれならば物資を運ぶのに荷馬車とは比較にならないでしょうから。」

「私がすべての国を取り戻した時には、その様な商いも可能になるでしょう。」

「楽しみですな。」

マーカスは本当に商売が好きなのかも。将来俺にこれをお納めくださいって賄賂を出してきそうな顔をしている。逆に頼もしい。

「そして私はギルドの復活を望んでいます。国に干渉される事の無い独立した組織。各国の情報の伝達や治安の維持のために必要だと考えているからです。」

もちろん俺の息のかかった組織にするつもりだがね。

「ギルドを・・冒険者たちは喜ぶでしょうね。自由を取られ盗賊や愚連隊となり果てた者も多い、血気盛んなもの達に仕事を与える意味でも必要です。」

「はい、ハリスさんの言うとおり間違いなくそうだと思います。そして私は商業ギルドも復活を望んでいます。」

「おおそれはありがたいですな!今は全てがファートリアに有利な取引となってしまっている。私の商会も全てファートリアという隣国の支配下に置かれて自由がききません。」

「マーカスさん、バルギウスの商業はファートリアに管理されていると?」

「ええ、バルギウスは今やファートリア神聖国の属国ですからな。」

そうなんだ・・バルギウス帝国がファートリア神聖国に従っていたのか・・

「今おこなわれているのは商いなんてものじゃないです。重い税金がかけられて身動きがとれません。さらに私はこうして強制労働などさせられている、自分の商会を大きくする夢も潰えましたわ。」

「おいマーカス・・まだ商売を大きくするつもりだったのか?」

「ハリスよ、俺はバート商会をバルギウス一の商会にしたいと思っているのだよ。」

「欲深オヤジが。」

ハリスはマーカスを汚いものを見るような目つきで見る。ハリスは金もうけとかあまり好きじゃないのかな?

「いや・・ハリスさん。マーカスさんの言っている事は大事な事です。競争があるから発展するんです。ファートリア神聖国はギルドを解体する事で、世界の発展を封じ込めたとみています。」

「世界の発展を封じ込める?」

「どんな意図があるのかは知らないが、今行われている事はそういう事だと思います。」

「今のファートリア神聖国は人を殺してでも、自分達以外の者達の自由を束縛し、全ての利を得ようとしていますからな。しかし発展しなければしりつぼみとなり、利が無くなっていく思うのですが・・」

「金や利権が目的ではないでしょう。情報網の分断で各国の力を削ぐのが目的、いわば反乱の芽を全てつんでしまうのが目的だと思います。」

「なるほど。そう考えるのが妥当ですかな・・」

「以前バルギウス帝国は強い軍事国家でしたが、いきなりファートリアの属国とする宣言がなされました。それがいかなる条件だったのか?なぜバルギウスが屈したのか?いまだに謎ですしね。」

「そうなんですね。バルギウスの人が分からないのでは、敵国の我々には見当もつかないです。もともと我が国のユークリットとファートリア神聖国は同盟を結んでいたはずですから。どうしてそんなことになったのか・・」

「ええ、いきなり祖国がファートリア神聖国の属国となり、軍事バランスが崩れてユークリットに進軍したのですが、かなりの非道な事をしたと聞き及んでおります。」

そうか・・引き金を引いたのはファートリア神聖国。バルギウスじゃないのか・・あの魔法陣を仕掛けたやつらやグラドラムに居た偽神父たちもファートリアか・・どうしてそうなった?

しかしバルギウスの人間から話を聞くことでだいぶ現状を把握できたかもしれない。ただこの二人はただの市民。上層部のやつを捕まえて聞かないと真実は分からない。

「まあ分かりました。」

「ではまず我々がすべきことは?」

「冬が終わるまではこのままです。兵の対処は我々にお任せください。」

どうやら話はついたようだ。とにかく彼らは殺されないために命令を聞いているらしい。

「えっと、それで・・ハリスさん。もしよろしければエミルから私にされたお願いを聞き入れてもらってもいいでしょうか?」

「あいつが、ラウル様になにかお願いを?そんな大それたことを・・すみません。どんなことを願い出たんです?」

「それが、我が軍に入りたいと。」

「えっ?エミルは私とエルフの子ではありますが、これと言って際立った能力はありません。多少光魔法が使えるため守りでは有効かと思いますが・・しかしラウル様達のあの兵器に比べれば・・」

「いえ!彼は我々の軍に必要な人材です。私からもぜひお願いしたいのですが・・ダメでしょうか?」

「ラウル様が直々におっしゃるのであれば是非もない。よろしくお願い申し上げます。」

「わかりました。悪いようにはしません・・私の側に置きます。」

「ラウル様の側近に?」

「ええ、問題でも?」

「粗相など無いといいのですが、ああ見えて礼儀などは教えておりませんので・・」

「大丈夫です。彼とは仲良くなっていけそうです。」

「ぜひ・・良いお導きを。」

「分かりました。」

よっし。あっちゃんゲーット!

「ではエミル君を呼んでいただけますか?」

「あ、はい。」

ハリスが席を外しエミルを連れてくる。

「ああ、エミル君悪いね。わざわざ来てもらって。」

「いえラウル様。光栄でございます。」

「ぷっ・・」

「なにか?」

「いえ、ではエミル君これからわが軍で働いてくれるか?」

「は!よろしくお願いいたします。」

「じゃあ、この後は二人でまた話をしよう。」

「かしこまりました。」

あっちゃんは深く一礼をする。

でも魔人の仲間にはエミルの事をどう説明したらいいものか・・まあいいか。どうせ意識の連結をしたらバレちゃうもんな。

「では話は終わりです。何かあればすぐに配下の誰かに言ってくれれば、すぐに私に伝わりますので遠慮なく言ってください。」

「ありがとうございました。」

「よろしくお願いいたします。」

ハリスとマーカスが礼をしてテントを出ていった。

あっちゃんと二人きりになる。

「淳弥さあ・・笑うなって。」

「いやぁ・・徹底出来ないかも、俺。」

「とにかく人が見ているところではやめた方がいいぞ。」

「まあ・・そうだな。」

この国の身分や立場と言うものがある、人が見ているところでは気を付けた方がいいだろう。

「じゃあ・・俺の能力を教えていくよ。あっちゃんの魔法や力を教えてくれる?」

「ああもちろんだ。興味津々だよ!」

結局、その日の二人はテントの中で現代兵器のマニアックな話に明け暮れてしまった。

そして俺はこれからあっちゃんにしてほしい事を話ていくのだった。

俺はあっちゃんと再び巡り合った事で、劇的に戦況が変わる予感がしていた。

「ではエミル君。そういうことだ・・作戦に必要な物はどれになるかな?」

「なんでもいいの?」

「データベースにあるものならね。」

「よし・・それじゃあ・・」

あっちゃんは俺にオーダーを出すのだった。