軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第113話 分岐の街への潜入

先頭に軽装甲機動車1台、その後ろにウラルタイフーン-装甲トラックが6台連なり、西を目指して走っていた。

グリーンで統一された軽装甲機動車と装甲トラックが異世界を走る様は圧巻だった。

「魔人もすっかりトラックの運転が出来るようになっちゃったな。」

「そうですねラウル様。これまでの訓練の賜物です」

「3年以上訓練したら誰でも運転できるようになるもんだ。」

「おかげで交代制で運転を代わる事もできます。」

二人が話していると後部座席からカトリーヌが驚いたように言う。

「馬車の何倍も速くて乗り心地がいいんですね!」

「ああ、この四駆は日本製だからな。」

「ニホン?」

「えっと気にしないでくれ。」

先頭の軽装甲機動車の中で俺とマリアが話をしていた。後部座席にはカトリーヌが座っている。マリアが運転をして俺が助手席で警戒して周りを見ていた。カトリーヌは回復魔法が使えるため危険を承知でついてきてくれた。

「ギレザム最後尾はどうだ?」

無線で最後尾を走っているギレザムを呼び出す。

「ラウル様!特に問題はございません。順調でございます。」

「異常が発生したら想定通りの行動に入る。」

「わかっております。」

グラドラムを出発したのは約45名の魔人だった。

結局隊長格で参加したのは4種

ライカン隊長のマーグ 竜人隊長のドラグ ダークエルフ隊長のウルド ゴブリン隊長は5人全員連れてきたマリアが隊長になってしまったからだ。訓練で見た事があるのだが・・マーグ、ドラグ、ウルドは一騎当千の戦士だった。この3人だけでも余裕な気がするが・・

俺の配下は全員来ている。

ギレザム ガザム ゴーグ ルピア セイラ ドラン ミノス スラガ ラーズ

後はスライムのルフラ、アラクネのカララ、ヴァンパイアのシャーミリアとマキーナ。

オーガ3名竜人3名ダークエルフ3名ライカン3名ハルピュイア5名サキュバス3名の45名魔人大隊となる。これが俺が考えた必要最低限の人員だった。

あとの約千人の魔人はグラドラムに置いてきた。

そして人間でついてきたのは2人。マリアとカトリーヌだった。

運転しているギレザムの隣にゴーグその隣にガザムが座っている。最後尾のギレザムが運転しているトラックの荷台には棺桶が二つあり、シャーミリアとマキーナは今は眠っていた。ドワーフが作った鉄の棺桶だ。棺桶のそばにカララとルフラが座っている。シャーミリアとマキーナが寝ている隣に護衛に置いていた。アラクネのカララは胴体が大きい為1人でも場所をとった。シャーミリアとマキーナが寝ている棺桶が一番安全な場所かもしれない。

《ヴァンパイアは魔人でも最強格なんだが・・昼間に動けないのが弱点だな。夜間戦闘になれば人間などひとたまりもない。ただ光の破邪の魔法などにも弱いから使いどころを十分注意しなければいけない。》

2台目のトラックに俺の配下が全員のっている。俺に何かがあったら全員が出てくる手はずになっている。運転しているのはオークのラーズだったが、どこからどう見ても長距離トラックの運転手だった。

3台目のトラックを運転しているのはライカンの兵士で、隣には目を爛爛と輝かせて隊長のマーグが乗っていた。

《すっごく楽しそうで何よりだな。》

後部の兵員用スペースには各種族混合で乗せていた。

4台目には食料や必要物資が積んであった。護衛に5人のゴブリン隊長と他の魔人が座っている。

5台目を運転しているのはダークエルフ隊長のウルドだ。もう運転したくて仕方なかったらしい・・竜人のドラグは運転する事が出来なかった尻尾が邪魔になって座席に座れないのだ。兵員と一緒に後ろに乗っていた。

「そろそろシナ村だな。」

「そうですね」

シナ村はすっかりゴーストタウンになってしまっている。敵の気配はないが罠がかけてあるかどうかはわからない。魔法を使える俺もマリアもシナ村から何も感じ取る事は出来なかった。魔力をそそいだら何か起こるかもしれないが、わざわざ虎の尾を踏む必要はない。とりあえずスルーして進んでいく。

この村からグラドラムまで向かうときは凄く苦労したのに、トラックできたためここまでは半日で来てしまった。夜通し走れば明日中にはルタン町につくかもしれないが、俺達はそれをせずに3日くらいかけて近辺を散策しながら行く事にしている。待ち伏せが出来る場所があるか、戦闘になった場合の地の利を生かせる場所の確認をしていく。

「人とか全くすれ違わないな。やっぱり旅人とかいるわけないか。」

「そうですね。それはないでしょうね、ここは既に敵国内ですから。」

「まあ魔人の巣窟になっているグラドラムに向かう人間はいないか・・」

「そうですね。」

冒険者も商隊もすれ違わない。きっとルタン町から東には誰も来ることは無いだろう。

「しかしグラドラムにたどり着いた時の心細さに比べたら、全く不安がないな・・これだけの強者に囲まれてるとまるで観光旅行だ。」

「ラウル様もお強くなられましたしね。」

「あいつらに鍛えられたからな。」

「しかし油断は禁物です。」

「ああ、油断はしてない。いままでさんざん失敗してきたからな、非情かもしれないが俺たちの計画を邪魔する者は全て消す。」

「はい・・」

マリアもグラドラム戦などを思い出して気が引き締まったようだった。

3日かけて念入りに調査しながら隊は西に進み、ルタン町の東20キロ付近の森の中にトラックを隠すため入り込む。トラックに深緑のナイロンをかけてその上から草木で覆っていく。

森の中で全員の魔人が集まっていた。ヴァンパイアの二人はまだ車内にいるが俺と意識の共有が出来ていた。

「計画通りだ。ルタンの街の周りに網をはる!6人ずつ4つの小隊に分かれて森に潜む!」

「「「「「「はい!」」」」」

「潜入するのは俺とマリアとゴブリン隊、ルフラ、アナミス、そしてガザムの10人だ。ガザムとゴブリン隊は街の建物の陰に潜み敵兵の捜索だ。マリア、ルフラ、アナミスは俺と街の中心に向かう。ハルピュイアは全員M240とバックパックをつけて上空待機。」

「「「「「はい!」」」」

「シャーミリアとマキーナは昼は棺桶で待機カトリーヌもここに居ろ、待機中はカララがここの警護をたのむ。緊急時以外は待機でいい、夜になったら行動開始だ。カトリーヌとカララは必ず組で動くようにな。」

「「はい」」

「ルタンにも罠がかけられている可能性がある。万が一発動してしまったら俺を信用して避難する人間はほとんどいないだろう。罠がかけられているとすれば強制的に人間を街の外に連れ出す必要がある。」

「「「「はい」」」」

「潜伏している敵兵がどのくらいいるかが分からない、更に町民に扮している敵兵もいるかもしれない。そのような中で一人の人物との接触が作戦の目的だ。」

今回の作戦はルタン町にいる一人の人物との接触だった。以前にラシュタル商人のニクルスと一緒に来た時に紹介された人物だった。

「これから接触しようとしている人間は敵か味方かわからない。もし敵なら罠が発動するか敵兵に囲まれることになる可能性がある。敵兵に囲まれたならすべての戦力で、俺達潜入部隊を救い出す事に専念してもらう。もし罠が発動したら問答無用で出来るだけ多くの一般市民を街の外へ連れ出すんだ。限界な時は一斉退去で!すべての人間を救おうと思わなくていい。これは厳守だ。」

「「「「「わかりました!」」」」」

「通信機の使用は極力外にいる人間は避けろ。音がなると警戒される恐れがある。あとは支給したこの腕時計というものの使い方だが訓練した通りだ。」

全員にGショックを支給した。ネイビーシールズも使用している耐久性と正確性に優れた腕時計だった。

兵器はそれぞれの種族に適したものを渡している。

オーガ、竜人、ダークエルフ、ライカン、にはM240中機関銃のバックアップ装備を全員に支給し、副装備としてホルスターにはデザートイーグルとフルのマガジンが3本あった。彼らはそれらを軽々と扱う為全く問題はなかった。さらにオーガは左の腰に剣を携えている。竜人はバックパックの脇にスピアが取り付けてあった。接近戦になったらそれらを使うらしい。

ライカンはかぎ爪と牙がある。ダークエルフは俺が召喚したファイティングナイフを腰に携帯している。彼らは弓が得意だが銃があるので必要なくなってしまった。

オークとミノタウロスには。M134ミニガンとバックパックとバッテリーを背負わせている。彼らはパワーがある為100キロを超えるこの武器を軽々と振り回す事ができるのだ。ホルスターには他の魔人と同じくデザートイーグルとフルのマガジンを3本携帯させていた。オークとミノタウロスは斧を腰に横に背負っていた。

巨人化したスラガとマズルにはM61バルカン砲を担がせている。

それぞれの魔人はルタン町の周辺の森に潜伏する。

ここからルタン町迄20キロほど、そろそろルピアが戻ってくるころだ。

バサバサバサバサ

時間通りだった。

「ラウル様。ルタン町の東門、西門、南門には衛兵がおりました。警戒態勢はとってはおりませんでした。しかし町から離れた東も西も南にも兵士の駐屯地のようなものがありこちらには多数の兵士がおります。」

「ここから一番近い駐屯地は?」

「ここからさらに西に15キロほどの町からは5キロ地点になります。ここが一番兵士が多かったと思います。」

「わかった。ならばここからは森の中を通ってルタン町まで行く。」

「「「「「わかりました!」」」」」

「よし!では作戦を開始するぞ。俺達がルタン町に侵入してから60分しても連絡がない時は、第一警戒態勢にはいれ。90分たって何の連絡もなかった場合は全部隊街に突入しろ。では時計あわせ!」

全員で腕時計のボタンを押す。これも訓練で何度も何度も繰り返した行動だった。魔人が腕時計をいじっている姿はとてもシュールだ。

「開始!」

「「「「「はっ!」」」」」

森の中を通過してルタン町方面に向かって走る。

あっというまにそれぞれが所定の位置についた。潜入部隊の俺達もルタン町の北側の森まで森の中を通ってきたのだが、森の中では敵と遭遇する事もなく順調にたどり着くことができた。魔獣が出る可能性のある森の中に兵士はいなかった。

「よしファントムはここで待機だ。何かあったら呼ぶ。」

黄昏時になり日が落ちてきたところで潜入を開始する。

「よし。全員に告ぐ。ウサギは森に入った。」

無言の返答をもらう。

ガザムとゴブリン隊長が町の暗がりに消えていった。彼らは街に潜伏するファートリアバルギウスの兵士の人数を確認する。

俺とマリア、ルフラ、アナミスが町の中に入っていく。俺とマリアとルフラはどこからどう見ても人間なので冒険者のような恰好をして潜入する。アナミスだけは頭の脇に角が生えているので、フードをかぶって魔法使いのような杖を持たせていた。どこからどう見ても魔法使いだ。

町に潜入してみると普通に人がいた。想像ではそんなに活気がある雰囲気だとは思わなかったが、ファートリア神聖国からラシュタルやシュラーデンに行く人もいるのだろう。ファートリア神聖国の人からすれば全て自国になってしまったのだから、簡単に旅行が出来るようになったのだろう。意外に普通に商いなども行われていたので拍子抜けした。

4人はそのまま目当ての店まで進んでいくのだった。