軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

008_初めてのダンジョン

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008_初めてのダンジョン

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転生4日目にして、俺は探索者になった。探索者ギルドでは名前を登録して、レコードカードを確認された。

生きている俺からレコードカードを取り出せるとは思ってもいなかったから、確認すると言われた時は普通にはいと言ってしまった。

事前に村人Lv1は異常だと言われていたので、旅人にしておいた。旅人ならレベル1でも問題ないからね。

ダンジョンに入る時はジョブを村人にするつもりだけど、ダンジョンの外では旅人だ。

職員が「白日の下に彼の業を示せ」と詠唱したらレコードカードが胸から出てきた。職員はレコードカードを確認し、返却してきた。

返却されたレコードカードは氏名、性別、年齢、ジョブ・スキル・犯罪歴が記載されていた。もちろん、犯罪歴はない。

今さらだが、俺の名前はトーイになっていた。ステータスでもトーイだったから俺は本当にトーイとしてこの世界で生きていくんだと感じたよ。

スキルは健脚しか表記されていなかった。旅人のスキルだけだ。ユニークスキルがスキルとして表記されていないのはなぜだろうか?

生まれながらに所持しているスキルが、ユニークスキルだとアンネリーセは言っていた。生来のものだから、普通のスキルよりも強力なんだとか。普通のスキルじゃないから、スキル枠から出てユニークスキルになった。だからスキルには表記されない。そう考えておこう。

でも俺に戦闘スキルはない。便利だけど、ちょっと残念だ。

そう言えば、盗賊のレコードカードを持っていたんだっけ。政庁に行けばお金になるとゴルテオさんが教えてくれたけど、すっかり忘れていた。

「死んだ人のレコードカードって、ずっと消えずに存在するの?」

アンネリーセに聞いてみた。

「死んだ人のレコードカードは、1年で自然に消滅します」

今すぐ換金する必要はないが、忘れていると換金できなくなるか。今日は時間が時間だから、ダンジョンに入れない。政庁へ行き換金して宿に帰ることにしよう。

「これは?」

俺のレコードカードを見せる。

「生きている方の場合はすぐに消えますから、仮に盗まれても問題ありません」

自然に消えてまた出せるらしい。便利なものだ。

忘れずにダンジョンの冊子を購入した。1階層から5階層のモンスターの情報と簡単な地図が載っているものだ。

地図を見て一瞬これは何かと思ったが、よく見るとボス部屋までの経路が描いてあるものだった。これを地図と言っていいか、甚だ疑問なものだ。

ギルド内の食堂に入った。喉が渇いたから飲み物を頼もうと思ったんだけど、メニューにあった飲み物はエールとワイン、そして水の3択しかなかった。

俺は水、アンネリーセはワインを頼んだ。ご主人様が水なのに、奴隷がワインを飲むシュールさよ……。

「水でもお金を取られるのにビックリだったけど、金取っているのに温いのがムカつく」

「ギルドの酒場で水を飲む人が居ないのです。冷たい水が飲みたいなら、井戸から汲んできましょうか」

「……いや、いいよ」

老婆に労働させるのは、俺的にアウト。

そしてここが酒場だった件について。だって屈強な男たちが何の肉か知らないけど、骨付き肉に豪快にかぶりついているんだぜ。酒も飲んでいるけど、食堂だと思うじゃん。

酒場で温い水を飲んでいる間に、レコードカードは10分程で自然に消えた。やっぱり異世界なんだと思うような、不思議な現象だ。

アンネリーセに案内してもらった政庁でも、俺のレコードカードが確認された。犯罪歴はなかったから全然問題ない。

政庁で待っている間にダンジョンの冊子を読んだ。今でも不思議だが、この世界の文字が読める。

冊子を読んでいると処理が終わり、お金を受け取った。冊子のおかげでいい時間つぶしになったよ。

お金を受け取ったが、7万グリルしかもらえなかった。いや、70万円だからそこそこの金額なのかもしれないが、5人の命の代価としては少ない気がする。

1人当たり1万グリルではなく、雑魚は1人5000グリルで盗賊の頭が5万グリルだった。

転生5日目の朝、俺たちはダンジョンに向かった。

昨夜もベッドはアンネリーセに使ってもらった。お婆ちゃんに床で寝ろとか言えない。部屋を大きなものに変えてもらおうかと思ったけど、床で寝るのは苦じゃないからこのままでいいだろう。

問題は季節が晩秋から冬へ移り変わっていくことだな。今後、床で寝るのが寒くなったら考え直そう。

ダンジョンは町のやや外にある。ちょっとした林の中だ。林の中に急に黒い渦が現れる。ぽっかりあいた空間の穴と言うべきか。

その周辺には木々を縫って露店が出ていた。さらには多くの探索者と思われる武装した人々も多く居る。

その探索者たちの中にジョブが村人の人が居る。かなり数が多い。彼らはジョブ・村人でダンジョンに入り、剣士などのジョブへの転職条件を満たそうというのだろう。

昨日から村人のレベルを確認していたが、15くらいの人も居た。探索者だけではなく町中で確認した結果だ。

どんなことでも経験値を得てレベルが上がるのは確かなようだ。

村人の探索者たちは、剣か槍を持っている。弓はなく、剣か槍の2択だ。

もちろん魔法使いも居ない。村人なんだから当然だ。

「弓を持っていないのはなぜ?」

魔法は無理でも、弓があれば遠くから攻撃できるはずだ。

「弓は矢が消耗品で剣や槍よりもお金がかかるから、誰もやりたがらないのです」

金銭面の話か。

「パーティーで矢を買うとかしないの?」

「普通はしないです」

個人負担じゃ、矢を買う分だけ費用がかさむ。その分報酬の分配が多ければいいが、そんなものはないんだろう。

「運よく魔導書が手に入ったら、パーティー内の誰が使うの?」

「リーダーかモンスターを倒してる者が使うか、あとは売ってお金に替えるかです」

「リーダーは分かるけど、多くモンスターを倒している人だと、逆に戦力ダウンになるんじゃないかな? だって、モンスターを多く倒しているということは、それだけ剣士や槍士への転職が近いわけだよね。そういった人が剣士や槍士になったほうが効果があるはずじゃないか」

「そういった考えはないです。魔法使いは強力だから、皆がなりたがります。だから貢献度が高い人がなります」

「ふーん。非効率だね」

「………」

俺は効率が悪いと思うけど、人生がかかっているわけだからそういうものなのかもしれない。

話を聞きながら露店で池イカの姿焼きを買った。アンネリーセの分もちゃんと買っているが、歯ごたえがあるから喉に詰まらせないか心配だ。その前に噛み切れるかな?

「池イカはゲソのほうが美味しいと思いますよ」

これはゲソも買えと催促しているんだろうな。

おじさんは苦笑したが、商売になるから俺をジッと見てくる。

「……ゲソを2つもらうよ」

「あいよ!」

いい笑顔を浮かべたおじさんの返事が返ってきた。

アンネリーセの歯はまだしっかりしているようで、池イカの姿焼きとゲソ焼きをあっという間に腹に収めた。

俺はまだ姿焼きさえ食い終わってない。そんな俺が持つゲソ焼きにアンネリーセの視線が釘付けになっている。

「食べていいよ」

「遠慮なく」

アンネリーセの食欲はどこから来るのだろうか? 体の動きは俺よりもゆったりとしているから、そんなにエネルギーを使ってないはずなんだが。

朝食もアンネリーセは自分の分と俺の半分を食っているのに、本当に摩訶不思議だ。

村人の5人パーティーに続いて俺とアンネリーセもダンジョンに入っていく。

皆が入っていくから続くけど、誰も居なかったらこんな不気味な穴に入ろうなんて思わないだろう。

何も感じず、一瞬でダンジョンの中に入れた。石の床、石の壁、石の天井だ。蛍光灯も松明もないのに、うす暗い程度の明かりはある。

「ダンジョンの中は人工的な造りなんだな」

「一説には魔王がダンジョンを造り、モンスターを生み出していると言われております」

「魔王……」

異世界物ではベタなワードだけど、この世界にも魔王が居るんだ。いや、言われているだけで、居るとは言ってないか。

俺は歩きながら魔王についてアンネリーセに聞いた。

魔王の正体は誰も知らないらしい。誰も会ったことがないらしい。

「魔王に会ったこともないのに、なんで魔王が居ると言えるの?」

「昔からそう言われています」

なんというか、迷信や勘違いの積み重ねで魔王という存在しないものを作り出している感じか。

本当に居るかもだけど、居ないほうに1票。できるだけ魔王イベントはないほうがいい。これがフラグにならないことを祈って……。

さて、無駄話ではないが、口よりも手を動かそう。いや、まずは足だ。