軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

学園祭

「たくさんお客様が来てくれたわね。お菓子が無くなりそう」

そんな声が聞こえてくる。

十分用意した焼き菓子は売れ行き好調でカフェは混み合っていた。

「ルビナさん休憩しましょう。他のクラスも見てきたいわよね」

「はい。交代ですものね」

ソフィアさんとエプロンを畳みながら話をしていた。

「普段は行かないようなクラスにも行ってみましょうか?」

そう言いながらソフィアさんと騎士科コースの棟に来た。

「人がいっぱいですね。さすが騎士科は人気がありますね」

男女共に人気だということがよく分かる。

「あ! あの金髪の方、確か騎士科のエリートですっごい人気なんですって」

「わぁ。令嬢に囲まれていますね。人気なんですね」

演武を披露していたようで、きゃぁきゃぁと令嬢達はまだ騒いでいた。

テスト毎に上位成績優良者は掲示板に張り出されるので名前は見たことがあるかもしれないけれど、顔と名前が一致しない。学年末には成績優秀者の表彰があったりするからそういう時にようやく顔と名前が分かるのかも知れません。

「君たち見ない顔だね?」

いかにも騎士科! といった感じの上級生が声をかけてきた。

「はい。そうです」

ソフィアさんが答えました。

「一年生? 二人とも可愛いね。良かったら一緒に学園祭回らないか? これもきっと何かの縁だと思うんだ」

「いいえ。私たちは休憩中ですぐに戻らなくてはいけませんから」

ソフィアさんはキッパリと断った。すごい。

「その格好を見るとカフェをやっているクラスだよね?」

しつこく話しかけてくる騎士科の先輩らしき人達。

「あの……、」

「ん? 何?」

ソフィアさんばかりに任せてはいけないと思い話を切り出した。

「私たちそろそろ行きます。戻らなくてはいけませんから」

ソフィアさんの手を繋ごうとして手を出した時の事。

「まだ良いだろう? 話している途中だし、あ! そうだ教室まで送っていくよ」

グイッと腕を掴まれた。

「え? きゃぁぁ」

突然のことで驚いてしまいちょっとした悲鳴をあげてしまいました。

「行こうか?」

腕を掴みながらも笑顔の騎士科の人。腕を離そうと力を入れるも、やはり騎士科の人に力では敵わない。

「その手を離してください」

ソフィアさんが助け舟を出してくれた。

「君も一緒に行こうか?」

ソフィアさんがもう一人の騎士科の人に肩を触られた。どうしよう。ここで大きな声をあげたら大事になってしまうし……キョロキョロと周りを見渡しても誰もこっちを見ていない。

グイッと引っ張られた時だった。体勢が崩れそう……

「ちょっと待った!」

額に汗が光っていた。急いできてくれたのだろう。

「ジェイ様?」

「なんですか? あなたは!」

騎士科の人が言いながら怪訝そうな顔をしている。

「この子の知り合いだよ。手を離してもらおうか。彼女は私と約束があるんだ。そこの君も手を離してくれるかな? あれ君は確か……ソリオ伯爵の令息か。父君にそっくりだね」

「なんで知って、」

にこりと余裕な笑みを浮かべるジェイ。

「私の名前はジェイ・ハドソン。私は三男だから知らなくても罰することはしないけどね」

「ハドソン侯爵の……っ申し訳ありません」

深々と頭を下げ始めた。その顔はさぁーっと血の気の引いた様に青白くなっていた。

「謝る相手は私じゃないよね。令嬢に謝るといい。許されるかどうかは分からないけど」

騎士科の伯爵令息はソフィアさんに謝っていた。

「ところで君はいつまで彼女の腕を拘束しているのかな?」

令息の腕を取り捻り上げた。

「いたっ……」

「君、騎士になるんだろう? これくらいで痛いわけないよね? 一般人に少し触られただけだよ?」

ジェイ様は笑いながら令息の腕を捻り上げていた。でも余裕そうだしそんなに力が入ってないんだよね? 何かを耳元でボソッと言うと令息は顔を青ざめその場にお尻をついてから逃げていった。

「クラスに行ったら休憩中だと聞いたから、学園内の散策をしていたんだけどなんでこんなことになってるの?」

「あ……助けてくださってありがとうございました」

ソフィアさんもお礼を言って、自己紹介をしていた。

「気にしなくていいよ。あの令息達はもう君たちにちょっかいかけることはないだろうから安心していいよ。この学園にもおかしな生徒がいるんだね。騎士の風上にも置けないよね」

……ジェイ様何したの?

「今回も何とか回避出来たけど……どうしようか……はぁ」

困ったように呟くジェイ様と目が合った。困ったな……どうしよう。

「ハドソン卿、よろしかったらお茶でもいかがですか? ルビナさんと約束をされていたんですよね? 私は先に行って用意してきますね。それでは教室でお待ちしています。ルビナさん少し時間がかかるから、 ゆ(・) っ(・) く(・) り(・) 来てね」

手を振りながらソフィアさんは行ってしまった。残されたルビナとジェイ。

「ゆっくり来てと言われたね。学園の案内をしてくれる? 初めて来たんだよ」

「ソフィアさんったら……ジェイ様がお返事する前に用意をするだなんて」

ジェイ様はクラスに来てくれたみたいだから良いのかもしれないけれど、返事をしてなかったのに早とちりしちゃったみたい。

「この前会った時に行く。と約束したんだから来るに決まってるよ。さて、どこを案内してくれる?」

******

「お菓子の残りはありますか?」

休憩に入る前には残り僅かだった。ソフィアは急いで教室へ戻った。

「もうクッキーしか残っていませんが、あるにはありますよ」

そう言われてソフィアはクッキーを死守した。

「ソフィアさん、ルビナさんと休憩に行っていたのでしたよね? ルビナさんは?」

デボラさんとレイチェルさんだった。

「ハドソン卿がきて、私たちが騎士科の生徒に絡まれている所を助けてくださったの! 今ルビナさんといて、もうすぐ二人で来るのよ!」

「「きゃぁぁっ」」

素敵素敵~と盛り上がる三人。すると先生が教室内の様子を見て言った。

「お菓子もほぼ売り切れたから、閉店にして家族や招待客を呼んで休憩にして下さい。後は自由に使っていいから好きに過ごすと良いわよ。みんなお疲れ様、頑張ったわね」

店終いとなり教室には生徒のゲストを呼んで良いと言うことになった。

「ちょうど良いわね!」

「ルビナさんの作ったクッキーありました!」

「準備万端ね!」

ルビナ応援隊の三人は張り切っていた。