軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

6

「ヴェッタ。ルピナの事を頼む」

野営のテントの入り口で、ランドリック様は心配そうにこちらを見る。

「任せておいて。結界張っておくから、ルピナ様には指一本触れさせやしない」

「心強いな」

「ランドリック様。お心遣いありがとうございます」

「一緒にいられなくて済まない」

当然の事なのだが、ランドリック様とはテントは別だ。

王族であるし、異性でもある彼が同じテントにいられるはずがない。

(大丈夫、ですよね……?)

食事時のフォースナー様の様子を思い出すと、不安がこみあげてくる。

彼は毒の治療をわたしが故意にしないと思っているようだった。まさかとは思うけれど、噂を確認するために部下の食事に毒キノコを混ぜたのではとも思ってしまう。

(他の人の食事には混ざっていないようでしたけれど……)

フォースナー様がなにをしたいのかわからない。

とにかくわたしを責めたてたいだけなのだろうか。

「ほら、ルピナ様。ここに座って」

「えっと……」

ヴェッタさんが手招きする。ぽんぽんと叩くクッションは随分と豪華に見える。

座るとふんわりと座り心地が良くて、恐縮してしまう。

(そういえば、このテントの中は外から見るよりも広いですよね?)

外から見た時は二人で丁度良い大きさに思えたテントは、中に入るとベッドまで置いてあり、少し裕福な平民の部屋ぐらいの大きさがあると思う。

「さっきは食事途中だっただろう。残った食材を適当にパンに挟んできたから、食べるといい」

てきぱきと簡易テーブルの上にパンを並べ、紅茶まで淹れてくれた。

食事途中だったのは確かで、空腹も感じていたからありがたい。

「あの、この中って、どうなっているのですか?」

「あぁ、広いから? 空間魔法を見たのは初めてだろうか。実際の大きさと同じ外見にすることもできるのだが、二人で使うのに大きすぎると文句が来そうだっただろう? だから、外から見た時は小さく、中だけ広々と空間を広げてある」

「王宮魔導師様だと、そんなこともできるのですね」

「いや、私が特別だからだね。ほら、紅茶が冷めないうちに飲みなさい」

驚くことばかりだが、素直に紅茶に口を付ける。

暖かい紅茶がお腹の中に溜まっていくと、急に、涙がこぼれた。

(え、なぜ?)

ヴェール越しに、ヴェッタさんが困った顔で微笑む。

「今日一日ずっと、張り詰めていただろう。あれほど一方的になじられ続けたんだ。心が疲れ切っているんだよ。これを食べ終わったら、ちゃんとゆっくり休みなさい」

ぽんぽんと、頭を撫でられて、余計涙が止まらなくなる。

昼間殴られた頬はもう痛くもなくて、徒歩での移動はヴェッタさんに助けられて。

毒の治療も無事に済ませられたし、なにも失敗していない。

みんなに助けられているのにずっと不安だった。

食事を食べ終わると強い眠気に襲われて、わたしは、ヴェッタさんに促されるまま眠りについた。