軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

38 蜘蛛VS蜂①

初日は必要最低限の巣を作って寝た。

背中の痛みのせいで熟睡できたとは言い難かったけど、寝ている間に襲撃されることはなかったので、そこはホッとした。

襲撃だけじゃなく、怪我のせいで死ぬということも考えられたので、無事に目が覚めたときは心から安堵した。

HPを確認すると、寝る前と変わらない6だった。

回復してないことに落胆すべきなのか、これ以上減ってないことに安堵すべきなのか、微妙なところだ。

二日目は巣の拡張に一日を費やした。

背中の痛みもあり、巣作りは思った以上に難航した。

何回も蜂が近くまで来るので、その度に警戒して作業の手を止めてたのもある。

今までと違って、周りを警戒しながらの作業は神経を磨り減らした。

合間合間に昨日捕獲した蜂をちょっとずつ食べていき、スタミナが切れないように配慮した。

この状況では、何か一つでも切らしたら一気に天秤が傾く危険もある。

特に私はスタミナの依存度が高い。

糸を出すにも、普通に行動するにもスタミナがいる。

それでなくても、少なくとも一戦できるくらいのスタミナは残しておかなきゃならない。

それに、このあと食料が確保できるかもわからないし、持久戦を覚悟すれば、スタミナの管理には慎重にならざるをえなかった。

そして、この日判明したことなんだけど、苦痛耐性のレベルが一気に跳ね上がっていた。

最後に苦痛耐性のレベルが上がった時は、確かまだ2レベルしかなかったはずなのに、巣を作ってる最中に聞こえた天の声(仮)は、

《熟練度が一定に達しました。スキル『苦痛耐性LV6』が『苦痛耐性LV7』になりました》

と、間をすっ飛ばしていきなり7レベルになっていた。

どういうことかと考えたけど、多分寝てる間にレベルが上がってたんじゃないかと思う。

あれだけ寝苦しかったし、苦痛耐性の熟練度の上昇条件が苦痛を感じていることなら、寝ながらでも熟練度が溜まってた可能性は高い。

思い返してみれば、夢現に天の声(仮)が聞こえたような気もする。

で、わかったことなんだけど、苦痛耐性、てっきり苦痛を和らげてくれるスキルなのかと思っていたら、そうじゃなかった。

レベルが7に上がったはずなのに、一向に痛みが引かないからおかしいとは思ったんだけど、どうやらこのスキル、「痛いのを我慢して動ける」というものらしい。

正直微妙。

痛いのに変わりはないし、動けるって言ってもやっぱり限度はある。

スキル手に入れた時は痛みが引いた気がしたんだけど、ホントに気がしただけだったっぽい。

そのあと一日かけて苦痛耐性はレベル8まで上がった。

三日目。

捕えた蜂はもう食べきった。

巣もそれなりに拡張できたし、本格的に次の段階に移らなきゃならない。

すなわち、レベルを上げるための狩り。

問題は、どうやって獲物を捕らえるか。

蜂は近くまでやってくるけど、こっちのことを警戒してるのか、襲いかかってはこない。

無策で襲ってくれればそれこそ私の思うツボだったんだけど、そこまで上手くはいかなかった。

とりあえず、チャンスを待ちつつ、蜂の様子を覗う。

近くに来た蜂をそれとなく挑発してみたりもしたけど、襲いかかってはこなかった。

蜂を観察してわかったことがいくつかある。

まずあいつらは基本5、6匹で一つの隊を形成してるらしい。

その隊に分かれて、それぞれ行動してる。

隊にはリーダーがいる。

『ハイフィンジゴアット LV1 ステータスの鑑定に失敗しました』

ハイなフィンジゴアットだそうだ。

名前からして上位種、もしかしたら進化した個体なのかもしれない。

レベルもだいたい1だし、その可能性が高い。

普通種の蜂も、中には8、9レベルと、進化一歩手前と思われる個体がちらほらいるし、進化したら隊のリーダーになれるんでしょう。

隊長蜂は平蜂より若干色が濃い。

違いと言えばそれくらいで、大きさも形も同じ。

ステータスは鑑定が成功してないからわかんないけど、上位種だけあって平蜂よりも高いと思う。

まあ、それでも私の網を突破できるとは思わない。

向こうもそれを理解してるから、こっちに余計なちょっかいをかけてこないんだと思う。

そう考えると、あの蜂はかなり賢いのかもしれない。

隊は一塊になって縦穴の底の通路に消えていく。

しばらくすると獲物を仕留めて、それを持ち帰ってくる。

ああやって隊を編成して、効率よく狩りを行っているっぽい。

やっぱり頭が良さそうだ。

何匹かのはぐれらしき蜂は勝手に行動していたりするけど。

それよりも、この底でも蜂が狩れる魔物がいるってことは、かなり重要だ。

皆が皆、地龍みたいな化物ばっかりじゃないってことだ。

それがわかっただけでもかなり心に余裕ができる。

それでも、戻ってこない隊があったりもするので、油断はできない。

戻ってこないってことは、つまり、返り討ちにあったっていうことだ。

戻ってきた隊の中にも、仲間の死骸を抱えているのもいたし、危険なエリアであるのは間違いない。

私は蜂の様子をじっと観察し続けた。