軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第141話 自縄自縛からの解放【シズカの視点】

【第136話〜第140話のシズカの視点】

ガンギとの婚約は解消されなかった。ガンギは1年間の謹慎の処罰だ。父からはファイアール公爵の屋敷に出向いてガンギを励ますように言われる。

なんで被害者の私が加害者のガンギを励ます必要があるのか! 納得のいかない私はお父様に口答えをした。

「何であんなイカれた奴と結婚しなきゃいけないのよ! 何度も言っているけど、婚約破棄してよ!」

いつもは私の言葉を聞き流しているお父様が今日は激高した。

「うるさい! お前は黙ってガンギ様の子供を産めば良いんだ!」

「冗談じゃない! 私は血を濃くさせる為の道具じゃない! それなら家を出てやる!」

「お前も叔母のようになるのか! お前は学校を辞めさせて家に居させる!」

お父様の命令で私は使用人に取り押さえられてしまう。そのまま屋敷の離れの石造りの部屋に入れられる。

石造りの部屋のため、炎の魔法では脱出ができない。私は部屋の中で途方に暮れた。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

幽閉されてから何日経っただろう。もう今から王都に向かっても新学期には間に合わない。このままだと退学になってしまう。焦って、頭も回らない。

そんな時、部屋の扉の鍵を開ける音が聞こえた。

「お嬢様、大丈夫ですか?」

そこにいたのは使用人のアンナだった。私はアンナに抱きついて泣き出してしまった。

「お嬢様、泣いている場合じゃないですよ。このままだと魔法学校が退学になってしまいます。あんなに努力して入った学校じゃないですか。今から王都に向かいましょう。こちらの服に着替えてください。用意はこちらのカバンに入っております。お金も用意しました。さぁ急ぎましょう」

このままではダメだ。どのような形でも動き出さないと。私はアンナの好意に甘えることにした。

馬車は乗り合いの馬車だったが、既に予約がされていた。アンナって優秀ね。

こうして私はアンナの協力で王都に向かった。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

王都に着いた時、浮かんだ顔はアキだった。ただアキの顔が見たかったのかもしれない。私は真っ直ぐアキの家に向かった。

アキの家のリビングでアキを見た瞬間にそれまで耐えていた気持ちが決壊する。ただ涙が止まらなかった。

アキは私が落ち着くのを待ってくれた。私はこれまでの経緯を話す。

アキくんがミカさんにヴィア主任を連れてくるように頼んでいる。

私は何も考えることができなかった。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

ヴィア主任は私の話をしっかり聞いてくれる。

やはりいきなり私が自立して冒険者になるには問題があるようだ。

ヴィア主任は私達の担任である叔母のシベリーさんに任せたほうが良いと助言をしてくれた。

早く冒険者になって自立したい。今はまだダメなんだ。そう考えると暗くなってしまう。

シベリー叔母さんはすぐに私を迎えに来てくれた。お父様への連絡もすぐに手配する。

次の日から私はおとなしく学校に通う事しかできなかった。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

沙汰を待つ罪人の心境だ。一度アキがダンジョンに誘ってくれた。行きたいが、どうしても気持ちが乗らない。千載一遇のチャンスを逃したかもしれない。でもしょうがないか。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

お父様と公爵家当主のシンギ様が王都にやってきた。シベリー叔母さんと私を加えて、今後の事を話し合う。

シベリー叔母さんと私は婚約解消を主張する。

お父様は婚約の継続、そして卒業後の結婚を主張する。

シンギ様は婚約の解消については慎重な考えだった。

話は平行線のまま歩み寄りは見えなかった。そんな時、シンギ様がアキの意見を聞きたいと言い出した。

何でアキ? そう思ったがシンギ様とお父様はすぐにアキの家に出掛けて行った。残念ながらアキは不在だったみたい。アキがくるまで私はシンギ様と世間話をしていた。

夕方にアキがやってきた。

アキはシンギ様の質問に丁寧に話す。途中でお父様が怒声を上げたがシンギ様がそれを止めた。

シンギ様は熟考している感じだ。

そしてシンギ様が笑顔になる。

「ありがとう。これで吹っ切れたよ」

シンギ様は全員の顔を見渡してから口を開いた。

「それではガンギ・ファイアールとシズカ・ファイアードの婚約は無かったものとする。以上だ」

あれよあれよという間に私の念願の婚約解消が確定した。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

婚約解消になって私は自由恋愛ができるようになった。次の日私は婚約解消のお礼にアキをデートに誘った。一度だけの最初で最後の私の勝負だ。

アキは私の気持ちに気が付いていないようだ。あっさりとお断りされてしまった。

私の初恋はこうして終わった……。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

次の休みの日、アキがダンジョンに付き合ってくれた。あとは蒼炎の魔法を確認して、幼い頃の私の心に報いてあげよう。きっと蒼炎の魔法は、憧れた水色の髪色のように素敵なはずだ。

王都近くの屠殺場ダンジョンに入る。早速オークが現れた。

アキが流暢に詠唱を奏でる。

【焔の真理、全てを燃やし尽くす業火、蒼炎!】

蒼い炎は私の心を惹きつける。

あぁ……。子供時代に憧れた水色の髪色の魔法だ。綺麗だ。

そして威力は規格外だった。オークが消滅するほどの火力だった。

蒼炎の魔法は素晴らしい魔法だった。憧れた水色の髪色は決して劣ってなんかいなかった。

私の幼い頃の純粋な目は間違っていなかったんだ。

これで自ら縛った呪縛から解放された。

これからは新しい人生を歩めそうだ。