軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第83話 蒼炎の属性は??

研究室の4人が座れるテーブルと椅子に移動する。

ミカが立っているとサイドさんがミカにも座るように促した。椅子に座ったミカにサイドさんが言った。

「ミカさんも折角だから一緒にやらないか?」

ミカが恐縮した声で返す。

「私は従者ですから」

「何を言ってるんだい。ミカさん、僕たちは一緒にダンジョン潜った経験のある仲間じゃないか。アキくんもそう思うだろ」

優しい笑顔で僕とミカを見ているサイドさん。

「折角だからミカも一緒にやろうよ」

こう言った僕に、ミカも諦めたのか頷いた。

サイドさんが話を始める。

「それではアキくんの魔法実技の授業を始めます。まずは授業の目標だね。蒼炎の新しい魔法を開発だったね。それでは復習です。魔法が発現するためには何が必要かな?」

僕に聞いてきた。

これは、以前校長室でヴィア主任が言っていた。

思い出しながら答える。

「正しい呪文の文言の詠唱とその魔法に適した属性の魔力です」

「よろしい。正解だ。今アキくんは蒼炎の魔法しか使えない。それでこの授業では君の蒼い属性の魔力に対応した呪文の文言を作る事を最終目的とする。ここまで良いね」

ここでお茶を啜り一息ついてからサイドさんは続ける。

「ここで初めに注意点を言っておこう。実は呪文の文言は厳密には同じじゃなくとも発動する。そうだな。実演してみようか。ミカさんは金属性だからちょうど良い。安全だからね。ミカさんは障壁の魔法が使えるね。障壁の魔法の呪文の文言はこうだ」

サイドさんが紙に障壁の呪文の文言を書く。

【金剛の心、我らを守護する壁となれ、障壁!】

「障壁の魔法はそれほど強い魔法ではないね。起動の句の【金剛の心】を【金剛の力】でも発動はするんだ。ミカさん試しにそちらに向かって【金剛の力】で呪文を詠唱してくれるかな」

言われたミカは【金剛の力】で詠唱してみる。通常と同じ障壁の魔法が発現した。

「ありがとう、ミカさん。このように全く文言が同じじゃ無くとも魔法は発現する場合がある。では何で障壁の魔法は【金剛の心】が一般的になっているのか。まず【金剛の心】のほうが障壁の耐久力が高いんだよね。それに魔力消費量も若干だけど少ないんだ。これは先人達が長い年月かけて、呪文の文言の精査をし、硬度実験等を積み重ねた結果なんだね」

サイドさんは講義を続ける。

「それでは注意点を言っておこう。障壁のようにそれほど威力が高く無い魔法の場合は数文字の文言が違っても発動する事がある。ところが蒼炎の魔法の様に高火力の魔法の場合には文言を少し変えると魔法が発動しない確率が格段に上がるんだ。蒼炎の魔法の呪文の文言を少しでも変えるとたぶん魔法は発動しないと僕は思う」

そこで僕が質問する。

「それでは蒼炎の魔法の新開発は難しいと言うことですか?」

落ち着いた口調でサイドさんが返す。

「まぁ待ってくれ。そうではないよ。それに概念がごっちゃになっているから訂正してから話をするね。蒼炎の魔法の開発と言う言葉がおかしいんだよ。水色又は蒼炎色が何属性かまだわからないんだよ」

そう言ってサイドさんは机の紙にペンを走らせた。

赤色→炎属性→ファイアーボール、ファイアーランス

黒色→金属性→防壁、硬化

水色か蒼炎色→?属性→蒼炎

「この様な感じかな。つまり君の髪色である水色がどの様な属性と繋がるのかが分からない。ここが分からないと中々先には繋がらないね」

こちらを見てサイドさんは話を続ける。

「例えば赤色から炎で炎の特性のある魔法。炎の特性は物を燃やして消し炭にする。破壊だね。だから赤色の炎属性は燃やし尽くすような強い攻撃力」

僕の理解が追いつくようにサイドさんはゆっくり話してくれる。

「黒色から金属で金属の特性のある魔法。金属の特性は強固。だから黒色の金属性は強固な守備力になるんだ」

サイドさんは「ここまで良いかな?」って聞いてから講義を続ける。

「それでは本題の蒼炎だ。蒼炎の魔法の色は君の髪よりほんの少し濃く感じる。多分この魔法の色は君の髪色の水色か蒼炎の魔法の色となる。ではその色が表しているのはなんなのか?これがまだ分からない。それなら特性は?それはある程度類推できる。蒼炎の魔法の特性を考えて逆算して属性を考えることができる。蒼炎の魔法の特性はなんだ?蒼炎が当たったところには何も残らない。全てを無にしている。全てを無にするって何なんだろうね?これは長老に聞かないと分からないかもね」

だいぶ頭がこんがらがってきた。一つ一つ質問してみよう。

「すいません。質問なんですけど、つまりは水色又は蒼炎色は何属性って考えることが大切で、それは蒼炎の魔法の特性から逆算して属性を考えるって事で良いですか?」

「その通りだよ。なかなかの理解力だね」

褒めてくれたサイドさん。僕は細かいけれど質問を続ける。

「先程から蒼炎色って言ってますけど蒼色では駄目なんですか?」

「厳密にいえば蒼色と蒼炎の色は違うんだよ。最近蒼色が青色に近いと勘違いしている人がいるからね。こっちの蒼色は深い青緑色かな。人の見方にもよるけど、こっちの蒼色は僕は深い緑色に青を混ぜた色に近いと思うよ」

サイドさんが紙に「青色」と「蒼色」と書いて区別してくれて説明してくれた。

「それならば蒼炎色って緑色に近いのですか?僕の魔法の蒼炎は青色系統の色だと思うんですが?」

「蒼炎って言うと青色系の色の事を指すね。君の魔法の蒼炎の色で間違いはないよ。関係の無い話になってきたね。一度休憩しようか?」

「じゃ、休憩前に最後の質問良いですか? 長老って誰なんです。その長老って人に聞けば全てを無にする蒼炎の魔法の特性から属性が分かるかもしれないんですよね」

みるみる顔が青褪めるサイドさん。

小声で僕とミカに言う。

「長老って言葉はできれば忘れて欲しい。研究所でヴィア主任は裏で長老って言われているんだよ。本人が聞いたら怒るからね。僕が長老って言ったことは内緒だよ」

なるほどヴィア主任の隠れたあだ名なんだ。

でも長老ってヴィア主任は本当に何歳なんだ。

「ヴィア主任には内緒にしておきますね。でもヴィア主任って何歳なんですか?」

その言葉を聞いて冷や汗まで出てきたサイドさんは真剣な口調で僕に言った。

「ヴィア主任の年齢を僕に聞いちゃいけないな。また他の人にも聞いちゃいけないし、考えてもいけないよ。これは年長者としての忠告だからね」

そう言ってサイドさんはお茶を淹れに行った。