作品タイトル不明
シンギ・ファイアールの愛情
4月8日、天気は晴れ。
今日は王都魔法学校の入学式だ。
新品の制服を着ると気が引き締まる感じだ。
ミカも従者の制服を着て準備が出来た。
王都魔法学校に歩いて行くと髪色は殆ど4属性の人ばかりになる。
今日は子供の晴れ姿を見る為、王都まで来ていた父兄もたくさんいた。
校門を抜けて入学式が行われる講堂に向かう。
左手には魔法射撃場がある。
蒼炎の魔法で空いた大穴は今は補修がされて綺麗になっている。
防御結界も新しくかけ直したそうだ。
僕は何となくホッとした。
講堂の入り口では大勢の父兄が 屯(たむろ) っていた。自然と同じ髪色で集まって雑談している。その時僕は赤い髪色の集団を見てびっくりした。
赤い髪色の集団の中央にファイアール公爵家宗主シンギ・ファイアールがいたからだ。
確かにシンギは僕の父親だ。だけど僕の入学式に出席するとは夢にも思わなかった。
シンギは僕とミカに気が付き、こちらに向かって歩いてきた。
「アキ殿、この度は王都魔法学校にご入学おめでとうございます。ファイアール公爵家一同、心から喜んでおります。今日はアキ殿の晴れ姿を拝見しに王都まで足を運ばせていただきました」
まさかとは思ったが、僕の入学式を見にきたのか。片道7日間もかけて。僕は背中がむず痒くなった。
「お祝いの言葉ありがとうございます。わざわざ遠い王都まで足を運んでもらい恐縮です。学校ではしっかりと勉強していきたいと思います」
シンギはニッコリと笑い言葉を返した。
「アキ殿の事は何も心配しておりません。これからの学生生活が有意義になるよう心からお祈りさせていただきます。それでは失礼します」
そう言ってシンギは赤い髪色の集団に戻って行った。赤い髪色の集団にシズカの父親であるベルク・ファイアードがいた。こちらを睨んでいたが僕と目があったら視線を外した。
そっかシズカも今年王都魔法学校に入学するからな。父親のベルクが入学式に参加するのに父親のシンギも一緒にきたのかな?
僕と父親のシンギとの会話を聞いていたミカが僕に話しかけてきた。
「ねぇ。アキくんの父親のシンギさんってずっとアキくんをいないものとしてきたんだよね」
「そうだね。会話は全くしてないし、顔を見るのもたまにだったね」
ミカが僕の目を見ながら言った。
「今年の新年のパーティでのシンギさんとの会話や今の会話を横で見ていると、それが信じられないのよ。さっきのシンギさんの顔は本当にアキくんの入学を喜んでいる顔だったわ。愛情すら感じるもの」
「本当だね。なんでだろね?」
そう軽く返して講堂に入って指定されてる席に座る。
ミカに言われたことは僕もそう思う。
父親のシンギからは深い愛情を感じる。
冒険者ギルドで交わした契約があるためこちらに配慮をしているが、表情の端々で愛情が出ている。
今まで全く気にかけられてこなかったため、今の父親との距離感に戸惑っている自分を感じる。