作品タイトル不明
やっぱり開封できない封筒
ニヤリと笑ったヴィア主任を見て、綺麗な人はどんな笑顔でも絵になるんだなと感じた。
「君はイマイチ頭の回転が弱いね。ステータスカードに残されていた思念はなんだ。そう蒼炎の魔法の呪文だよ。こないだの蒼炎の魔法は私も見たが君の魔力、つまり髪色と同じじゃないか。つまりは蒼炎の魔法が使える魔力を持っているものが、ある程度の年齢になった時に祠の結界が開くようになっていたと思う」
頭の回転が弱いなどとはなかなか手厳しい。
へこまずに僕は言葉を発した。
「つまりは蒼炎の魔法が使える才能がある者と年齢がきっかけで祠の結界が解けたってことですか」
「考えてもみたまえ、蒼炎の魔法が使えないのに蒼炎の魔法の呪文を教わっても意味がないだろ」
確かに推論として筋が通っている。あの祠は僕を長い年月待っていたのか?
封筒を持ち上げヴィア主任が話す。
「この封筒の中身が気になるようになってきたね。宛名は【祠を開けた方へ】。つまり【蒼炎の魔法を使える者へ】ってことだ。この封筒の差出人は【ウルフ・リンカイ】だ。初めにこの差出人を見た時に眉唾ものだと思ったが案外ひょっとするかも知れないな。ファイアール公爵家の歴史書にも記録がないほどの古い結界、失われた技術のステータスカード、また失われた魔法の個人の思念を物体に残す魔法。この封筒の中身は伝説の【ウルフ・リンカイ】から蒼炎が使える君に対してのメッセージが書いてあるかも知れない」
ヴィア主任の話を聞いて、僕の憧れの主人公が実在していたかも知れないって思ってきた。
そこでちょっと待てよと僕は思った。
「ヴィア主任、それで始めに戻るのですがこの封筒は開封できるのでしょうか?」
ヴィア主任はこちらを見て言った。
「この封筒の結界の封印魔法も何かしらのトリガーがあると思うんだ。それは間違いなく宛名が君だから君がトリガーになっているはず」
「でも結界の魔法は時間と共に弱まるんですよね。こんな小さな封筒に外部から魔力を吸い込む機能なんて無いと思いますが。待っていればその内結界が弱まりませんか?」
「外部から魔力を吸い込む機能を今の技術で組み込むのは不可能だ。だが魔力を吸い込む物体は存在しているだろ?」
そこまで言われて僕は気がついた。
「ダンジョン……。」
「そうだ。ダンジョンだ。この封筒の結界と祠の結界にはダンジョンの機能が施されていると推測する。未知の技術だな」
「それでは時間をかけてもトリガーが何かわからないと開封できないですね」
「しかしトリガーの推測はできる。可能性が高いのは君の成長と蒼炎の魔法とステータスカードかな。そのどれかか、又は全部かも知れない。まずはできることから始めよう。蒼炎の魔法の研究だな」
そう言ってヴィア主任は蒼炎の研究スケジュール案を僕に示した。