作品タイトル不明
ギリギリの抵抗
3月1日の朝、僕は受験に行く準備をした。午前中に記述テストと魔法実技テスト、午後から面接だった。ミカが宿にお弁当の手配をしてくれていた。
ここの宿は王国魔法学校から近い。ゆっくり歩いていった。受験生が多い。赤色、青色、緑色、黒色の髪色ばっかり。薄い髪色の僕は目立つ。多分水属性の劣等生と思われているんだろうなぁと思った。
僕はマジックバックに【黒龍の杖】を入れてきた。蒼炎をそのまま撃つと危険だろうなって思っている。
始めの記述の問題は簡単だった。まぁまぁの点数は取れたと思う。帝国の学院を卒業しているミカに教わっていたから当たり前か。
その後、魔法射撃場に移動になる。
マジックバックから【黒龍の杖】を取り出す。隣の受験生の青色の髪色の女の子から「魔法実技テストに杖は使っちゃ駄目なのよ。募集要項に書いてあったでしょ」と言われた。僕は冷や汗が出た。
本当に今日、ダンジョン外でそのまま蒼炎の魔法を使うのか?一応それでも杖を使って良いと言われるかもと思い【黒龍の杖】を魔法射撃場に持っていった。
まずは属性ごとに分けられる。僕は火属性のところに行った。試験官に本当にここで良いのかと再三確認された。僕の順番は真ん中だ。殆どの人がファイアーボールを撃っていた。杖を使う人はいない。試験官が僕のところに近寄ってきた。
「君、試験に杖は使っちゃ駄目だよ、その杖は預かるからこちらによこしなさい」そう言われた。
僕は焦った口調で返答した。
「この杖は魔法の威力を抑えるものです。僕の魔法は威力が凄いのでこの杖を使わせてください」
試験官は怒った顔になった。
「そうかわかったぞ。君が以前、問い合わせをしてきた子か!私たちが作った魔法射撃場の結界を壊せるはずがないだろ!早くその杖を渡しなさい!」
僕は項垂れながら【黒龍の杖】を試験官に渡した。
どんどん試験が進んで行く。僕は死刑台に向かう心境になっていた。その時歓声が上がった。
試験官が笑顔で言った。
「12歳であれだけのファイアーランスを使えるのは素晴らしい。貫通力も高かったな」
そのファイアーランスを撃ったのはシズカ・ファイアードだった。
そういえば同い年だったな。
ぼんやり考えた。
前の受験生が魔法を撃ったあとは僕の順番だ。
僕はもう一度試験官に懇願した。
「お願いだから先程の杖を使わせてください。ダメなら試験をダンジョン内で実施してもらえませんか?」
試験官は舌打ちをついて僕に言った。
「そこまで言うのなら分かった」
僕は言葉を疑ったがありがたいと思った次の瞬間続きの言葉を聞かされた。
「俺たちの作った結界を壊してくれるんだろ。それを見せてくれ」
試験官はニヤついていた。
僕は愕然とした。
自分の番になった。身体が震えだす。本当に撃って良いのか?
僕が固まっていると試験官から声が上がった。