作品タイトル不明
奴隷でいる理由
冒険者ギルドを出て帰宅した。ミカがリビングにいたから僕の部屋に呼んだ。ミカが椅子に座ったところで僕は話を始めた。
「ギルド長から奴隷解放について話を聞いてきたよ。良い話じゃない?僕はこの話は賛成だよ。何でミカは奴隷のままでいたいの?」
ミカは俯いたまま会話を始めた。
「特に今のままで問題ないから。ただそれだけよ」
「それなら尚更奴隷から解放された方が良いよ。僕はミカをパートナーだと思っている。命を預け合う冒険者仲間でもある。以前この件で話した時と違って僕とミカとの間には固い絆がある。奴隷から解放しても何も問題が無いよ」
ため息を一つついてミカがこちらを見て口を開いた。
「アキくん、ありがとうね。私の事を考えてくれて。確かに私とアキくんには既に固い絆があると感じている。これは私のわがままなの。アキくんと初めてあった奴隷商会で、隷属の契約の主人をアキくんに変えたわよね。あの瞬間アキくんとの繋がりができたのを感じたの。腕の隷属紋から熱い感情が流れてきたのよ。この熱い感情はアキくんの感情。その感情が凍っていた私の心を溶かしてくれたの。今でもたまに隷属紋を通して、その熱い感情が流れてくる時があるわ。またこの奴隷の証のチョーカーを触るとその時の感情を思い出させてくれるの」
ミカはそこまで一気に話すと唐突に僕にキスをした。
「私がアキくんの奴隷でいたいのは、私が新しく生まれ変わった証なの。お願いだからその証を私から奪わないで」
ミカの瞳から涙が溢れる。そっかそういう事だったんだ。僕が他の冒険者から、皮肉と妬みでミカの事を【囚われの剣姫】なんて言われる事なんて小さな事だ。ミカが僕の奴隷のままでいたいのはミカが新しい人生を歩み始めた証。ミカを縛るようなもんじゃないんだね。
「ミカ、分かったよ。これからも僕の奴隷としてよろしくね」
「了解致しました。ご主人様」
ミカはそう言って涙を流しながら微笑んだ。