軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第二百五十四話 家庭

「なあ、二人とも、知ってたか?」

俺は某麻薬調合さんと天動説さん……ユリアとテトラに尋ねた。

二人とも、上に布を羽織っただけの半裸だ。

蝋燭の光により、二人の肌が艶めかしく照らされる。

ユリアも俺と同い年の二十五歳。テトラは二十三歳。

二人とも、戦争が一段落するまでは子供はいいと言っていたので、危険日等は避け、安全日に事を致し、そして種子が植木鉢にヒットしないようにしていた。

しかしアリスの出産に触発され、そして戦争も一段落したということで……

再び積極的な子作りをし始めたところだ。

せっかくの夫婦の時間なので、子供のことを尋ねてみたのだ。

フィオナとアンクスのお友達のことである。

「うん、知ってたよ。フィオナ、よく話してたし」

「アンクスも……知らなかった?」

全然知らなかったよ、パパ。

悲しいなあ……

「まあ、アルムスに話すのは気が引けたんじゃない?」

あまり考え過ぎるなと、ユリアは俺を慰める。

まあ、子供同士は関係ないとはいえ、親同士は宿敵だ。

正直なところ、倒した都市国家や小国家がたくさんあり過ぎて俺自身覚えていないし、そもそも戦ったのはバルトロやアレクシオスやロン、ロズワード、グラムなわけで……

全く思い入れは無いのだが。

しかし言い難いのは理解できる。

「でも、もう少し話した方が良いんじゃない?」

「うーん、そうかな? まあ確かに最近は時間を作れなかったからな」

俺は子供たちと過ごした時間を思い返す。

夜はユリア、テトラ、アリスと過ごしているが……

午前と午後は基本、政務に追われていた。

確かに子供たちと触れ合う時間は少なかった。

反省だな。

もう少し、会話を増やそう。

というか……

「二人はどこで会話を?」

「私は薬草の調合とか、呪術を教えたりするし」

「私は数学」

どうやら自分の一芸を子供たちに教えることで、コミュニケーションを取っているらしい。

よし、俺も何か……

何も無かったわ。

子供に教えられるようなこと……

家臣の扱い方とか、どう考えても早いだろうしな……

そもそもフィオナとか、女の子には不必要だな。

「大丈夫、みんなアルムスのことは好きだから。アルムスの方から聞けば、喜んで話すと思うよ?」

「そうか?」

「うん、みんな遠慮してるだけ」

そうか……

じゃあ、話してみようかな。

フィオナは 紫紅色(ラベンダー) 色の髪の毛と、灰色の瞳の女の子だ。

顔立ちはユリア似で、性格の方もどちらかと言えばユリアに似ている。

ユリアから呪術などを習っているからかもしれないが、やはり薬草だとか呪いだとかに興味があるようだった。

まあ、フィオナの養育に関してはユリアに任せておけば問題はない。

アンクスは灰色の髪の毛と、青色の瞳をテトラから受け継いでいる。

顔立ちはとてもテトラに似ているが、性格の方はテトラよりも俺に似ている。

あまり勉強は好きではないみたいで、よくテトラから逃げているようだ。

テトラはアンクスに数学の美しさを教え込みたいようだが、アンクスの方はあまり興味が無いようだ。

アンクスは勉強よりも体を動かすことが好きなようだ。

木剣で軽く相手をしてやったが……

「ぐぬぬぬ……」

「そりゃ、七歳の子供に俺が負けたら面目丸潰れだろ」

軽くアンクスを往なした後、アンクスの頭を撫でた。

「でも、お前くらいの時の俺よりは強い。凄いぞ、アンクス」

そもそも俺に七歳の時の記憶はないのだが、細かいことは気にしない。

アンクスがそれで励みになるのであれば、問題ないだろう。

俺から褒められたのが嬉しかったのか、アンクスはこれからも剣を頑張って練習し、いつか俺に勝つと言ってきた。

うーん……

十年後には負けるかな……

加護無しだと。

加護アリならば、身体能力で押し切れるのだが。

とはいえ、剣ばかり振って勉強をしないのは問題だ。

アンクスには剣だけではなく、ちゃんと勉強もするようにと言い聞かせた。

ユリアの子である、三歳のソフィア。

灰色の髪、瞳は俺に似ているが、顔立ちはユリアに似ている、将来どんな美人になるか楽しみな子だ。

この子はとても大人しい。

三歳児というのは、好奇心旺盛で目を離すとすぐどこかに行ってしまうイメージがあるが、ソフィアはいつも静かに人形遊びをしている。

同じ腹から産まれた姉である、フィオナが割とお転婆なのに比べると、その大人しさが目立つ。

ユリア含め、周囲は心配しているようだが俺はそこまで心配していない。

というか、我が国の連中はユリアに慣れ過ぎだ。

一人で平然とどこかに出かけてしまうユリアが基準なので、違和感を感じているだけ。

むしろお姫様としてはソフィアが標準に近いのではないのだろうか?

「おとーさま、よんで!」

「ああ、分かったよ」

ソフィアはよく絵本を読みたがる。

日本ほど絵本、というか物語の数が少ないので何度も何度も同じ話を読むことになるのだが、飽きたりはしないようだ。

初めは俺の膝の上で熱心に耳を傾けているが、すぐに眠りこけてしまう。

それを召使に預けるまでがいつもの流れだ。

テトラの子である、三歳児フローラ。

テトラと同じ青色の髪の毛、瞳と顔立ちは俺に似ている。

しかし中身はテトラに似ているようだった。

とても寡黙で、割と真面目に何を考えているのかさっぱり分からない。

時折雲を眺めては、俺に「雲ってなーに?」と聞いてくるのだ。

うん、昔テトラにも同じこと聞かれたわ。

しかしさすがのテトラ二世も、まだ幼いせいか理論をあまり理解できていない。

成長した後、テトラと同じくらい利発になるのか、それともテトラほどではないのか……はたまたそれ以上なのか……成長が気になる子だ。

最後は王太子であるマルクスだ。

黒の強い灰色の髪の毛。

俺に似た顔立ち。

唯一、ユリアから貰ったモノは 紫紅(ラベンダー) 色の瞳だ。

性格の方はユリアにも俺にもあまり似ていない。

まだ小さいせいか、とても人見知りをする子で見知らぬ人が来るとすぐに隠れてしまう。

とくにバルトロは酒臭いのがダメみたいで、避けられている印象がある。

一方、アレクには割と近づく。

まあ、酒臭い中年オヤジとイケメン好青年ではそもそも比べるのが可哀想だが。

正直なところ、子供たちの中で一番心配なのがマルクスだ。

大人しすぎる。

こういうと、ソフィアの時と矛盾しているではないか。

と言われるかもしれない。

だがソフィアは女の子だ。

大人しくても問題はない。いや、むしろアデルニア人の女性への価値観を考えるとフィオナのように活発な子より、ソフィアのように大人しく、気配りができる子の方が好まれる。

だがマルクスは男の子だ。

それも、ロマリア王国の王冠を継ぎ、ロマリア連邦の盟主となる子である。

あまりに大人しく、気が弱すぎるのは若干問題がある。

……まあ、重荷を背負わせてしまうのはあまりに可哀想だとは思っているのだが。

それに加えて、マルクスは体がとても弱い。

すぐに風邪を引いてしまう。

もう少し大きく成ったら、運動をさせて体をある程度鍛えさせる必要がありそうだ。

……

まあ、まだ小さいからな。

これからの成長次第と言えるだろう。

ここまでの内容だとまるでマルクスは一番出来の悪い子。

のように感じるかもしれないが、弱いのは体と精神だけだ。

頭が良いかどうかは分からないが、言葉の発達もかなり早い。

あと、これは若干の懸念だが……

ユリアのことがあまり好きではないらしい。

いや、母親としては好きのようだが、かなり煙たがっている。

まあ、これに関しては俺はマルクスに同情的だ。

というのもユリアが過保護なのだ。

マルクスのことに関しては何かと過剰に反応する。

ユリアからすると待望の男の子なのだから、マルクスを溺愛するのも分からないでもないのだが……

親の心子知らず、とは少し違う気もするが、どんなにユリアが愛してもマルクスからすると、ウザいのだろう。

マルクスはユリアから逃げて、いろんなところに隠れる。

少し前までは普段世話してもらっている召使の部屋とかに逃げていたのだが、そこではユリアの追跡から逃れられないと理解したのか、最近では俺かテトラの部屋に逃げ込む。

先日はライモンドの部屋にも逃げ込んだようで、何故かライモンドが嬉しがっていた。

今まで距離を取られていた姪の子供に懐かれ始めて、嬉しいのだろう。

その原因がお前の姪なのだが、良いのだろうか?

いや、俺の妻でもあるのだが。

そして以外なのが、テトラとマルクスは仲が良いらしい。

俺は基本政務で私室には居ないので、俺が居ない時に俺の私室に隠れても、ユリアに発見されてしまう。

しかしテトラは基本、自分の部屋で本を読んだり数字を眺めたり、魔術を開発したりしているので、常にいる。

だからマルクスが頻繁に利用する逃げ込み先がテトラの部屋なのだ。

テトラも、ユリアの過保護っぷりには同情するのか、マルクスをよく隠れさせてあげているようだ。

継母イジメというのは、物語のテンプレのようだが……

テトラとマルクスの間には適用されないみたいだ。

その分、ユリアが悪者になっているが……

とはいえ、テトラとマルクスの仲は懸念の一つであった。

二人の仲が良いのは、僥倖だろう。