作品タイトル不明
何度目の甲斐国か
慶長元年(1596年)六月二十日
甲斐国 躑躅ヶ崎館
「典厩様、お久しぶりにございます!大殿が北条家経由で武蔵国の成田殿へ文を届けていたので、話は聞いております。改めて、しばらくの間、世話になります!」
「なに、六三郎殿や赤備えの皆は、甲斐国の民達からは勿論じゃが、武田家から見ても特別な存在なのじゃ!気にせず実家の様な感じで過ごしなされ」
皆さんこんにちは。成田家に3日お世話になってから、甲斐国を目指して本日到着して典厩様に挨拶しております柴田六三郎です
もう何度目の甲斐国か分かりません。分かっている事として、播磨国より甲斐国に居る時間、いや、年数が長い事です
あれ〜?俺は織田家の家臣の中で秀吉と並んで同率1位の領地を持っている武将の筈なのに、その領地に居た事が無いなんて
どう考えてもおかしいよな?しかも何故だろう、播磨国へ行く前に何か1つ余計な仕事がある、いや、巻き込まれそうな気がするのだが
ダメだダメだ!そんな事を考えていたら、現実に起きてしまう!考えるな!今はリフレッシュ休暇と捉えよう!
※六三郎は現実逃避しております
「典厩様、お言葉に甘えたいと思います」
「うむ。そうしてくだされ。御館様と五郎殿が到着するのはいつ頃になるのか分からぬが、前年の長月には信濃国に入っていた
それに、伊達家の財政改善の為に冬の間は京で商いをやるとも右府様は仰っていたから、そこから察するに早くて卯月、遅くとも五月には
出立しておるはずじゃろう。なので、それまでは赤備えの皆の実家に寄ったりしても良いと思いますぞ」
「お気遣い、誠に忝うございます」
「はっはっは。相変わらず六三郎殿は腰が低いですな!今や日の本随一の武将とも、織田家の鬼神とも呼ばれておるとは思えませぬな!」
そんな風評は遠慮したいのですが?まあ、典厩様に言っても仕方がないか。かなり強引だが、話を変えよう
「ところで典厩様、拙者が右府様にお頼みした竜芳殿の娘の竜代殿と北条家の長老の幻庵殿の曾孫達の縁談は
どの様な結果になったのか、知っておりましたら教えていただきたく」
俺のリクエストに典厩様の答えは俺の予想の遥か斜め上でした
「ああ、その件なのじゃがな。右府様は、前代未聞の途轍も無い縁談をまとめ上げられたぞ、先ず幻庵殿の嫡男の孫の嫁に五郎殿の三女の鈴を嫁がせて、
その孫の妹を里見殿に嫁がせて、次男の孫に五郎殿の四女の仙を嫁がせて、次男の妹を勝二郎に嫁がせたのじゃ」
「大殿は里見家と北条家と武田家をまとめて縁戚にしたのですか!?何と豪快な」
「儂も知らされた時は六三郎殿と同じ状態になった。まあ、それくらい右府様は関東南部から東海道沿いの安寧を考えておられるのじゃろう
じゃが、その件でまだ確定していない者達が居るのじゃが、この機会に六三郎殿へ紹介しておこう。次郎右衛門と豊次郎、軽殿と子供達を大広間へ連れて来るのじゃ!」
「「はい!祖父様!」」
典厩様は孫の次郎右衛門くんと豊次郎くんを動かして、軽さんと言う人と子供達を大広間に連れて来るらしい
武田家の親戚筋かな?と考えていたら、俺に
「六三郎殿、飯富源太郎殿と源次郎殿に件の家族を会わせたい。二人とも少なからず関係があるのじゃ」
源太郎と源次郎にも会わせたいと言って来たので、現在俺の側に居る真田兄弟のうち信幸さんに動いてもらいます
「源三郎!済まぬが源太郎と源次郎を連れて来てくれ!」
「ははっ!」
信幸さんが大広間を出て間もなく
「「祖父様!連れてまいりました!」」
次郎右衛門くんと豊次郎くんが件の家族を連れて来ました。その家族に典厩様は
「皆、此方の方は織田家の重臣であり、御館様の義兄にあたる柴田播磨守六三郎殿じゃ。六三郎殿は甲斐国の人間全てが
どれ程の感謝をしても足りない方じゃ。自己紹介をさせたいが、六三郎殿の家臣が皆に関係あるので、その者達が来てからの自己紹介と行きたい!六三郎殿、済まぬが」
俺の事をかなり大袈裟に紹介していたけど源太郎と源次郎が到着してから自己紹介をすると言っているので
「分かりました。少しばかり待ちましょうか。慌てる事でもありませぬし」
とりあえず了承しましたら
「六三郎殿、忝い」
典厩様がお礼を述べました。それから少し待ちましたらドタバタと走る音が聞こえて
「「殿!お呼びと伺いましたが、何かありましたか?」」
源太郎と源次郎も到着しました。お前ら、アラフォーなんだから、こんな時くらい大人の振る舞いを、と思ったけど、まあ今はいいか
「源太郎と源次郎、典厩様がお主達兄弟に会わせたい家族が居るとの事で呼び出したのじゃ。典厩様、全員揃いましたので、そちらの家族の自己紹介をお願いします」
俺がそう促すと、典厩様は家族の長女らしき女の子からの自己紹介を促す
「武、お主から自己紹介せよ」
「はい。長女の武田武と申します」
「長男の武田田之助と申します」
「次男の武田義衛門と申します」
「三男の武田新三郎と申します」
「四人の母の軽と申します」
「ご丁寧な挨拶、感謝します。柴田播磨守六三郎と申します。典厩様、こちらの家族が武田家の親類という事は分かりましたが
源太郎と源次郎とどの様な関係があるのかそろそろ教えてもらえませぬか?」
「分かりました。源太郎殿と源次郎殿は、驚く可能性が高いですが、心の準備をしておいてくだされ」
典厩様が前フリみたいな発言をして来たけど、そんな重要案件なのか?
何も知らない六三郎と飯富兄弟は、この後どんなリアクションを取るのか?